ものづくり補助金平成29年度卸売業、小売業三重県

鯛養殖から商品加工までの内製化による一貫生産体制の確立

株式会社丸寿海産

成果商品完成までの作業時間 5日→1日

この事例のポイント

  • 養殖事業では利益率が低く、加工品の高付加価値化による収益確保が必要だった。
  • 塩を振って切り身を焼く工程にスチームコンベクションオーブンを導入した。
  • 商品完成までの作業時間 5日→1日。自社工場での一貫生産が可能になり、商品完成までの作業時間は5日から1日に短縮された。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社丸寿海産
所在地三重県 三重県北牟婁郡紀北町
業種飲食料品卸売業
従業員数50人
資本金3,800万円

事業の背景

平成20年より地元東紀州の良好な漁場を活用する養殖産業に新規参入し、現在は総売上の80%を占める基幹事業となっている。養殖魚のうち30%を占める自社ブランド『紀州みやび鯛』は看板商品である。高齢者や単身者が増える一方で魚離れが進んでおり、手軽に摂取できる商品の需要が見込まれていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • コスト・採算養殖事業では利益率が低く、加工品の高付加価値化による収益確保が必要だった。
  • 納期・工程レトルト加工を外部委託しており、輸送期間を含めて委託加工に5日間かかっていた。
  • 人手・技能女性の雇用率が低く、子育て後に再就職を希望しても求人や業種が限られていた。
  • 新製品・新技術外注に頼る現状から脱却し、骨まで入った紀州みやび鯛ごはんの素を内製で生産・販売する体制が必要だった。

やったこと

塩を振って切り身を焼く工程にスチームコンベクションオーブンを導入した。手作業の少量生産から、タイマー式の自動運転で量産できる体制にした。焼き上がった切り身を冷ます工程にはブラストチラー&フリーザーを導入し、冷却までの時間を短縮した。レトルトの高温・高圧調理には小型高温高圧調理機と専用プリンターを、真空パック工程には真空包装機を導入した。これらの導入後、自社工場で水揚げから検品後の出荷まで一貫生産が可能になり、商品が完成するまでの作業時間は5日から1日に短縮された。1日の製造量は切り身とフレーク、秘伝のつゆの各数量が最大88袋で、1か月20日稼働で2種類合わせて最大3,520袋の生産が見込める。

加工機スチームコンベクションオーブン
加工機ブラストチラー&フリーザー
加工機小型高温高圧調理機
その他専用プリンター
加工機真空包装機

新しい製品・サービス:骨まで入った紀州みやび鯛ごはんの素

事業の効果

  • 商品完成までの作業時間 5日→1日

自社工場での一貫生産が可能になり、商品完成までの作業時間は5日から1日に短縮された。これにより、1か月で2種類合わせて最大3,520袋の生産が見込めるようになった。試作品は全国魚市場の展示会で消費者に受け入れられる手応えを得ており、高島屋など大手百貨店からも高い評価を受けている。女性目線で開発された商品として贈答用の期待も大きい。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.8 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性2

    2008年頃からの養殖参入や『紀州みやび鯛』の開発経緯が書かれ、過去の取組との連続性はうかがえるが、経営戦略上の位置付けは明記されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    全国魚市場での試食リサーチで消費者の手ごたえがあったと書かれ、市場要素は読み取れるが、競争優位の根拠となる数値や比較は乏しい。

  • 課題の認識と解決5

    外部委託で最短5日を要した工程を内製化し作業を1日に短縮、1か月で最大3,520袋の生産見込みと数字で課題と解決策が示されている。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    女性の雇用や持続的な賃金上昇が目標として挙げられているが、賃上げ率などの数値目標は示されておらず、実現可能性の判断材料は薄い。

  • 事業を進める体制2

    試作を3年間重ね約1,500人の試食を行ったとあり取組の経験はうかがえるが、補助事業を遂行する人材や体制の記述は乏しい。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    女性目線の『美容・うま味・健康』の3キーワードや、高島屋など大手百貨店からの高評価と贈答需要など、ターゲットと選ばれる理由が具体的に書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    量産決定後の東南アジア進出や一人世帯市場への展開が示されるが、スケジュールや課題の解決方法は具体的に書かれていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    レトルトの鯛めしの素は一般的な分野ではない可能性がうかがえるが、普及度や高水準の高価格化について数値の裏付けは示されていない。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用3

    地域の雇用や消費者の健康への貢献、紀北町の女性雇用の低さに触れており、地域への波及効果はうかがえるが、国が補助する理由の具体性は薄い。

  • 費用対効果3

    5日間の委託工程が1日になるなど効率化の効果は示されるが、補助金投入額に対する付加価値増加の数値は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献2

    高温高圧調理機やブラストチラーなどの設備は示されるが、先端的なデジタル技術や新ビジネスモデルの記述はほぼ見当たらない。

政策面50%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及4

    東紀州の良好な漁場を活かした養殖と地元の鯛を使った加工で、地域の雇用を生み出す点が具体的に書かれている。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

商品の量産決定後は国際情勢の変化を注視しつつ、東南アジア諸国への進出を目指す。国内では一人世帯市場への展開を図り、地域の雇用と消費者の健康に貢献する活動を進めていく。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成29年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。