ものづくり補助金平成29年度製造業栃木県

強いブランド力を生かしたインバウンド向け新商品「NIKKO」を軸とする革新的な洋菓子開発工程の確立

トアヴァルト有限会社

この事例のポイント

  • 深刻な人手不足に加え、テナント料の捻出が難しくなり、2018年に駅中店を閉店せざるを得なかった。
  • 収益性と労働生産性の高い焼き菓子「カステラ」の商品開発のため、高性能のスチームラックオーブンを導入した。
  • 高性能オーブンの導入により、カステラの泡切り工程とプリンの湯煎焼き工程が不要になることが確認された。

事業者のプロフィール

事業者名トアヴァルト有限会社
所在地栃木県 宇都宮市
業種食料品製造業
技術分野製造環境
従業員数40人
資本金300万円
設立1998年

事業の背景

1995年に宇都宮郊外店をオープンして以来、地域密着の郊外型路面店に比重を置き、カナダ仕込みの本格的な欧風菓子を提供してきた。2015年にJR宇都宮駅ビルに駅中店を出したが、深刻な人手不足に加え、東京都心の販売価格の6割が地方都市の適正価格であるためテナント料の捻出が難しく、2018年に閉店した。2020年東京オリンピック・パラリンピックに先がけ日光・中禅寺湖畔への出店を準備していたが、新型コロナウイルス感染症の影響で延期され、計画は一時中断していた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 人手・技能深刻な人手不足に加え、テナント料の捻出が難しくなり、2018年に駅中店を閉店せざるを得なかった。
  • 生産能力生ケーキより収益性が高い焼き菓子の売上構成比を高め、トータルで労働生産性を高める必要があった。
  • 新製品・新技術本社工場で集中製造が可能な焼き菓子を開発するため、職人技術に依存しない製造方法を確立する必要があった。

やったこと

収益性と労働生産性の高い焼き菓子「カステラ」の商品開発のため、高性能のスチームラックオーブンを導入した。カステラは原価率が低く、贈答用として高単価で販売でき、賞味期限が長く商品ロスが出にくい点から選んだ。カステラは通常、生地の泡切り作業が欠かせないが、圧力鍋と同じ原理で焼成するこのオーブンでは泡切り工程が不要となり、職人技術に頼らない製造が可能になった。さらに、カステラと同様にオーブンで焼成するプリンのテストを行い、お湯を張って蒸し焼きにする湯煎焼きの工程が不要になることを確認した。

加工機スチームラックオーブン

新しい製品・サービス:焼き菓子「カステラ」

事業の効果

高性能オーブンの導入により、カステラの泡切り工程とプリンの湯煎焼き工程が不要になることが確認された。職人技術に頼らない製造が可能になり、熱湯を扱う危険性も回避できた。さらに、パン生地を発酵させる能力も見込まれ、将来的にはクリスマス菓子のシュトーレンなどの製造への活用も期待されている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.6 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    1995年以降の郊外型路面店展開と自社製造の歩みが書かれ、焼き菓子への注力は過去の取組の延長として読める。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    カナダ修行の経験や本格欧風菓子、地方都市の価格水準とテナント料の関係に触れており、外部環境と自社の強みへの言及がある。

  • 課題の認識と解決4

    深刻な人手不足と販売価格の制約を課題と認識し、焼き菓子の売上構成比を高めて労働生産性を上げる方針が具体的に書かれている。

事業の実現可能性40%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    労働生産性や収益性の向上を目指すとあるが、付加価値額や賃上げの数値目標は記載されていない。

  • 事業を進める体制2

    パティシエとしての経歴や店舗運営の実績はあるが、補助事業の遂行体制や事務処理体制の記述は見当たらない。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    贈答用で高単価に販売できる、賞味期限が長い、職人技術に依存しないといった製品の強みが整理されて書かれている。

  • 事業化までの道筋2

    カステラとプリンの焼成テストやシュトーレンへの展開期待はあるが、スケジュールや課題解決の方法は示されていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    カステラを焼成工程の職人技術に頼らず製造する点は特徴的だが、ジャンルの普及度や高水準の価格設定に関する記述は限られる。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用2

    地域住民に愛される店や地方の店舗運営に触れるが、国が補助する経済波及や雇用創出の根拠は書かれていない。

  • 費用対効果3

    高性能オーブンを導入し、泡切りや湯煎焼きの工程を省いた点は書かれているが、補助金額に対する効果の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献3

    スチームラックオーブンで泡切りや湯煎焼きの工程が不要になる点が示され、製造工程のデジタル化・機械化の方向性は読み取れる。

政策面50%
  • 成長分野への進出2

    焼き菓子への注力と製造の機械化は書かれているが、日本経済の構造転換に資するという文脈は読み取れない。

  • 地域経済への波及3

    栃木県宇都宮市の地域店舗や地方都市の適正価格に触れ、地域密着の事業であることが読み取れる。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

コロナ禍が終息し好機が訪れたら、日光・中禅寺湖畔への出店を再開し、インバウンド需要を取り込む展開につなげたいと考えている。既存の郊外型路面店では、当店ならではの独自性を強みに商品開発をさらに進め、地域の人々に愛される店を引き続き目指す。

業種と困りごとが近い成果事例

大阪府製造業平成25年度

MRI用超電導マグネット監視装置の生産体制強化

制御基板の試験を自動化するため、基板検査装置を開発し、手作業で行っていた測定端子の接続や測定値の読み取りを自動化する。

効果:測定工数は予定通り約半分以下の時間となった

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成29年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。