ものづくり補助金平成29年度製造業群馬県

冷凍マグロ専用刺身醤油の試作開発

株式会社フェローズジャパン

成果製造ロット 32.5kg→65kg

この事例のポイント

  • 従来の土佐醤油は鰹節の厚さ調節や抽出時の温度管理ができず、品質にムラがあった。
  • 鰹節の厚さと抽出温度を管理するため、ガス式スチームコンベクション、小型鰹節削り機、プレハブ冷蔵庫、冷蔵ユニット、小型軽量充填機、打栓機を導入した。
  • 製造ロット 32.5kg→65kg。最適な香り抽出条件を設定でき、香気成分が残留することが理化学検査で分かった。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社フェローズジャパン
所在地群馬県 前橋市
業種食料品製造業
技術分野製造環境
従業員数31人
資本金800万円
設立2009年

事業の背景

当社は日本料理店2店とイタリアンレストラン1店を経営し、慶事・法事・宴会にも利用される日本料理店では産地・鮮度・旬にこだわって料理を提供している。懐石料理の刺身で最も人気が高いのはマグロであるが、大半のマグロは冷凍状態で流通する。解凍時には細胞壁から水・旨味・養分が流出するドリップ現象が起こり、熟成期間中にも発生するため、生の熟成マグロより味が劣る。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度従来の土佐醤油は鰹節の厚さ調節や抽出時の温度管理ができず、品質にムラがあった。
  • 品質・精度香りや旨味を最適条件で引き出すことができなかった。
  • 品質・精度冷凍マグロは解凍時のドリップで旨味が失われ、生の熟成マグロより味が劣る。
  • 品質・精度冷凍マグロは鉄の匂いが出やすく、冷凍温度でも旨味成分が酸化して酸味が出る。
  • 新製品・新技術冷凍マグロに合う専用の刺身醤油が無かった。

やったこと

鰹節の厚さと抽出温度を管理するため、ガス式スチームコンベクション、小型鰹節削り機、プレハブ冷蔵庫、冷蔵ユニット、小型軽量充填機、打栓機を導入した。香りだしは荒節本かえし、本枯節本かえし、荒節生かえし、本枯節生かえしの4種類について鰹節の厚さ0.01〜0.06mm、抽出温度65℃、68℃、70℃で試作した。旨味だしは荒節本かえしを選び、鰹節の厚さ0.05〜0.10mm、抽出温度85℃で試作した。香りだしは鰹節0.03mm、加熱温度70℃の評価が高く、旨味だしは鰹節の厚さ0.05mmが最も高い評価だった。これらを混合した4種類の試作品で官能検査と生菌検査を行った。

加工機ガス式スチームコンベクション
加工機小型鰹節削り機
その他プレハブ冷蔵庫
その他冷蔵ユニット
加工機小型軽量充填機
加工機打栓機

新しい製品・サービス:冷凍マグロ専用刺身醤油「鮪が本当に美味しくなる醤油200g」および「土佐醤油300g」

事業の効果

  • 製造ロット 32.5kg→65kg
  • 1回あたり人件費(人工時間) 4時間→2.5時間
  • 製造原価(人件費) 246.15円/kg→153.84円/kg
  • 賞味期限 90日→180日

最適な香り抽出条件を設定でき、香気成分が残留することが理化学検査で分かった。旨味を最大限引き出す鰹節の厚さが判明し、温度時間管理によりメーラード反応が均一になった。スチームコンベクションで1度に寸胴2つ分を仕込めるようになり、1人工の作業時間と製造原価が下がった。冷蔵保存により240日後も細菌の抑制が認められ、賞味期限は180日に延びた。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    従来から土佐醤油を自社製造しており、懐石料理店の経営という既存事業との関係は読み取れるが、経営戦略上の位置付けの説明は薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    他社はカツオエキスやアミノ酸を配合する一方、当社は懐石料理店のノウハウと鰹節の温度時間管理を差別化点として挙げ、強みを示している。

  • 課題の認識と解決4

    冷凍マグロのドリップ・鉄臭さ・酸化という課題を明示し、鰹節の厚さと抽出温度で旨味を補うという解決策を具体的に示している。

事業の実現可能性60%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    賞味期限90日から180日、製造人件費1人工4時間8,000円から2.5時間5,000円、2,268万円の売上見込みなど数値目標が示されている。

  • 事業を進める体制3

    飲食店3店舗と従業員31人の会社であることは読み取れるが、補助事業の実施体制や担当の役割分担の記載は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    顧客は自店の利用客と百貨店・高級宿泊施設とされ、マーケットインで顧客要望に応えた製品と明記されている。

  • 事業化までの道筋3

    試作、官能検査、生菌検査、百貨店・ギフト・水産向けPBへの展開計画は示されるが、中長期のスケジュールは薄い。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    従来の醤油に対し、冷凍マグロ専用という用途に特化し、高級路線の百貨店・宿泊施設向けに高価格帯で展開する点が示されている。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用2

    地域の食品製造業者としての取組はうかがえるが、国が補助する波及効果や雇用創出の記載は読み取れない。

  • 費用対効果4

    人件費が製造原価ベースで246.15円から153.84円/kgに下がり、賞味期限も倍に延びるなど費用対効果の数値が示されている。

  • イノベーションへの貢献2

    スチームコンベクションの温度時間管理は示されるが、サプライチェーン全体のイノベーションへの貢献は書かれていない。

政策面30%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及2

    前橋市所在の企業とわかるが、地域の特性を活かした雇用や地域経済への牽引についての記載は薄い。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

百貨店の地下食品売り場や中元歳暮のギフト需要、高級和食店や高級宿泊施設、水産事業者向けプライベートブランドへの展開を進め、将来的には2,268万円の売上を見込む。

業種と困りごとが近い成果事例

大阪府製造業平成26年度

カバーケースの進化にチャレンジ

代表取締役社長をリーダーに全社一丸の体制をとり、成形機用コンベアを含むインバーターコンプレッサー、新型の射出成形機、デジタルマイクロスコー…

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成29年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。