ものづくり補助金平成29年度製造業石川県

形状記憶繊維『ShuCODE』の耐久性付与を目指した完全内製化

有限会社ワイ・アール・ティ

この事例のポイント

  • カバーリング後の熱処理を外部に依頼するため、全工程は最短でも4日を要していた。
  • カバーリング糸に樹脂液を塗布するコーティング部と、樹脂を加熱硬化させる熱処理部からなるコーティング・熱処理器を、現行のダブルカバーリング機に増設した。
  • 熱処理を社内で行えるようになったことで、カバーリング糸の完全内製化が実現した。

事業者のプロフィール

事業者名有限会社ワイ・アール・ティ
所在地石川県 石川県かほく市
業種繊維工業
技術分野表面処理
従業員数6人
資本金6,000万円
設立1996年

事業の背景

当社は昭和43年に石川県かほく市で細巾織物業として創業した。インナー、アウターウェア、ベルト、鞄、靴、ラッピング等に用いる細巾織物をニードル織機で製造する一方、撚糸の一種であるカバーリングも行っている。平成28年に形状保持性を有するファッション糸の開発依頼を受け、樹脂製ワイヤーとして形状保持性ポリエチレン糸テクノロートに着目したが、表面が平滑でカバーリングすると滑ってほつれやすいことが判明した。ターゲットとする雑貨市場では大手小売店や通販サイトでの需要が増加傾向にあり、消費者の趣向の細分化に伴い多品種小ロット化が進んでいる。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 納期・工程カバーリング後の熱処理を外部に依頼するため、全工程は最短でも4日を要していた。
  • 生産能力多品種少量・短期生産を進めるには、外注依存から脱却して熱処理工程を内製化する必要があった。

やったこと

カバーリング糸に樹脂液を塗布するコーティング部と、樹脂を加熱硬化させる熱処理部からなるコーティング・熱処理器を、現行のダブルカバーリング機に増設した。これにより、カバーリング工程の一部として連続的に樹脂コーティングと熱処理を社内で行う体制を整えた。従来は熱融着に必要な熱処理設備がなく、融着糸を接着剤として用いて接着することには成功していたものの、熱処理は外部に依頼するしかなかった。

加工機コーティング・熱処理器

新しい製品・サービス:形状保持性カバーリング繊維「ShuCODE」

事業の効果

熱処理を社内で行えるようになったことで、カバーリング糸の完全内製化が実現した。これにより時間が短縮され、受注から発送までを素早く対応できる体制が整った。伸縮性のないテクノロート糸に対応した特殊仕様と、張力を精密管理して緩みを防止する独自のノウハウを持つことが、同業他社にない強みとなった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.4 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    平成28年の形状保持素材の開発依頼を起点に、ShuCODEを自社の主力に育てる流れが読み取れるが、経営戦略上の明確な位置付けの記述は薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    伸縮性のないテクノロート糸に対応した張力精密管理のノウハウが同業他社にない強みと明記されている。市場では雑貨の通販需要増加にも言及がある。

  • 課題の認識と解決4

    外部依頼で最短4日を要した熱処理工程を内製化し、リードタイム短縮と多品種少量生産への対応を課題解決策として示している。

事業の実現可能性36%
  • 付加価値・賃上げの目標1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 事業を進める体制2

    従業員6人の小規模体制であることはうかがえるが、補助事業を遂行する人材や事務処理体制の具体的記述は見当たらない。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    ターゲットは雑貨市場で大手小売や通販の需要増加、個人作家の副業的販売とあるが、顧客の具体的な選ばれる理由は整理されていない。

  • 事業化までの道筋2

    今後は自社HPやSNS、展示会で魅力を浸透させ、ニーズを掘り起こす予定とあるが、スケジュールや検証方法は示されていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    形状保持性を持つカバーリング糸の完全内製化を図り、同業他社にない独自ノウハウで高付加価値化を目指す点が具体的に読み取れる。

公的補助の必要性33%
  • 波及効果・雇用2

    地域の細巾織物業の技術継承や雇用への言及はわずかにうかがえるが、国が補助する積極的理由の記述は薄い。

  • 費用対効果2

    投入額に対する付加価値増加や費用対効果の数値は示されておらず、わずかに効果の方向性がうかがえる程度。

  • イノベーションへの貢献1

    公開されている事例からは読み取れません。

政策面40%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及3

    石川県かほく市で創業し地域の細巾織物業として事業を継続している点は読み取れるが、地域経済の牽引に関する記述は薄い。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

自社HPやSNS、展示会を通じて「ShuCODE」の魅力を一般消費者に浸透させ、消費者とのやり取りやネット上の情報からニーズを丹念に掘り起こし、新製品開発の可能性を探っていく予定である。

事業者の声

会社としてできることは何か考え、守り続けてきた技術と、今後変化していく事に対してチャレンジすることを忘れず、安心安全な商品を製造していきます。

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成29年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。