ものづくり補助金平成30年度製造業京都府

蒸し工程の内製化による染色加工品のさらなる生産量への対応と、コスト削減の実現

大本染工株式会社

成果蒸し工程の所要時間 2,880分→60分

この事例のポイント

  • 蒸し工程は既設蒸機1台と外注で対応しており、近年は蒸し工程を担う企業が減って納期が長くなっていた。
  • 既設の蒸機1台に加え、蒸機を1台増設して蒸し工程を完全内製化した。
  • 蒸し工程の所要時間 2,880分→60分。蒸し工程を内製化したことで、最適な蒸し条件による品質の安定化が図れる見込みとなった。

事業者のプロフィール

事業者名大本染工株式会社
所在地京都府 京都市
業種繊維工業
技術分野デザイン
従業員数27人
資本金2,000万円
設立1975年

事業の背景

当社は昭和10年創業の染色加工会社で、スクリーン加工やインクジェットプリントなどデジタル加工を含む染色加工全般を請け負っている。主要顧客はアパレル業界で、サプライチェーンの多様化とグローバル化が進んでいる。ヨーロッパではスクリーン加工業者が減少し、当社への依頼が増加傾向にあった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力蒸し工程は既設蒸機1台と外注で対応しており、近年は蒸し工程を担う企業が減って納期が長くなっていた。
  • コスト・採算外注に頼る蒸し工程のため、コストダウンと生産量の増加に同時に対応できていなかった。
  • 品質・精度蒸し工程の条件を最適化し、品質を安定させる必要があった。

やったこと

既設の蒸機1台に加え、蒸機を1台増設して蒸し工程を完全内製化した。蒸機は台湾JUNG HONG社製を採用し、既設のイタリア製は保守や技術支援体制に難があることから台湾製を選んだ。装置の納入から立ち上げまでは期間内に完了させた。本事業の前後で、蒸し工程は外注で2日かかっていたものが内製化により60分に短縮された。最終の整理(糊の洗い流し)以外の工程を社内で完結できるようになった。

加工機蒸機(台湾JUNG HONG社製)

事業の効果

  • 蒸し工程の所要時間 2,880分→60分
  • 生産量25%アップの見込み

蒸し工程を内製化したことで、最適な蒸し条件による品質の安定化が図れる見込みとなった。最終整理以外の生産体制を自社で完結でき、短納期とコストダウンを同時に実現できるようになった。生産量も25%増加する見込みが立った。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.1 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    創業以来の手捺染から多様な加工技術への蓄積が書かれ、蒸し工程の内製化が事業の流れに沿うことは読めるが、経営戦略上の位置付けは明示されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    ヨーロッパでスクリーン加工業者が減る一方で受注が増えている外部環境と、多様な加工設備やノウハウという強みが具体的に書かれている。

  • 課題の認識と解決4

    蒸機の外注で2日かかっていた工程を内製化で60分に短縮し、生産量25%アップの見込みと、課題認識が数字で示されている。

事業の実現可能性60%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    蒸し工程の所要時間が2日から60分に短縮され、生産量25%アップの見込みが示されているが、付加価値額の目標値は書かれていない。

  • 事業を進める体制3

    人財育成として新人採用、OJTとOff-JTの組み合わせ、マニュアル整備が書かれており、体制の一部は読み取れるが、事務処理能力の記述は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    多品種小ロットで低コスト・短納期を求める顧客ニーズや、多様な加工対応という選ばれる理由は読めるが、ターゲットの定量的裏付けは薄い。

  • 事業化までの道筋4

    台湾製蒸機の採用理由、突貫工事での立ち上げ、6月の不具合をオンライン支援で解決した経緯など、遂行方法と課題解決が具体的に書かれている。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    スクリーン染色の普及が減少している中で技術を保つ点はうかがえるが、高付加価値化・高価格化を示す数字は書かれていない。

公的補助の必要性60%
  • 波及効果・雇用3

    伝統工芸の捺染技術の承継と地域経済への寄与に触れているが、雇用創出や波及効果の数字は書かれていない。

  • 費用対効果3

    生産量25%アップとコスト削減の見込みは示されるが、補助金投入額に対する費用対効果の数字は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献3

    ITによる生産指示のデジタル化やロス率・原価率の即時把握など、DXによる工程連携の記述はあるが、サプライチェーン全体への貢献は書かれていない。

政策面50%
  • 成長分野への進出2

    DXの推進や伝統技術の承継に触れているが、市場成長分野への進出や構造転換への言及はわずかにうかがえる程度である。

  • 地域経済への波及3

    京都の繊維染色業として地域経済の発展に寄与する旨が書かれているが、地域特性を活かした具体的な付加価値の記述は薄い。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

今後は人財育成と IT 化による無駄のない生産体制の構築を進め、伝統工芸の捺染技術を継承しつつ地域経済の発展に寄与していく。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成30年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。