ものづくり補助金平成29年度医療、福祉山梨県

3Dプリンター及びCAD/CAM導入による補綴物製作技術の革新

健翔会ナサルス株式会社

この事例のポイント

  • 手作業での補綴物製作は熟練技工士でないと機械加工ほどの精度が出せず、熟練者であってもムラが生じ、ミクロン単位のズレが患者の違和感や再製作につながっていた。
  • 一般診療用補綴物の製作に機械設備を導入し、職人の手を空けて審美補綴の製作に時間を充てられる体制を整えた。
  • 一般診療用補綴物を機械加工に近い高精度で短納期に提供できるようになった。

事業者のプロフィール

事業者名健翔会ナサルス株式会社
所在地山梨県 甲府市
業種医療業
技術分野精密加工
従業員数3人
資本金200万円
設立2016年

事業の背景

歯科技工士は国家試験を経て資格を得る職業で、技工部長は技工の道に20余年携わっている。歯科技工業界では、中国やベトナムなど人件費の安い国からの低価格品の流入が進んでいる。海外製の補綴物は納期がかかり、口腔状況に合わないこともある。一方で審美歯科の需要が拡大し、ジルコニアなど素材や製作方法も多様化している。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度手作業での補綴物製作は熟練技工士でないと機械加工ほどの精度が出せず、熟練者であってもムラが生じ、ミクロン単位のズレが患者の違和感や再製作につながっていた。
  • 納期・工程手作業は機械加工に比べて時間がかかるため、納期面で患者の要望を満たせなかった。
  • コスト・採算再製作は大幅なコスト増を生み、信用失墜にもつながっていた。

やったこと

一般診療用補綴物の製作に機械設備を導入し、職人の手を空けて審美補綴の製作に時間を充てられる体制を整えた。三次元座標測定機を導入し、ワークの正確な形状をらせん状に測定できるようにして測定精度を高めた。口内をスキャナーで読み取ってデータ化し、CAD/CAMで補綴物を設計してミリングで加工する工程を取り入れた。3Dプリンターでデータから製作する工程も加え、石膏で歯型を作らずに済む仕組みとした。仕上げは手作業で行い、審美性を追求した補綴物は職人の技で完成させる体制を維持した。

加工機3Dプリンター
検査測定スキャナー
加工機ミリング機
検査測定三次元座標測定機
ソフトCAD/CAM

事業の効果

一般診療用補綴物を機械加工に近い高精度で短納期に提供できるようになった。職人の手を審美補綴の製作に振り向けられるようになり、審美補綴の製作時間を生み出せた。三次元座標測定機により測定精度が向上し、患者の満足を得られる精度の高い補綴物を短期間で作れるようになった。納期短縮は患者の満足度向上につながると見込まれる。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.6 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    手作業の補綴製作から3Dプリンター・CAD/CAM導入へ移す方針が示され、既存の技工事業との連続性は読み取れるが、経営戦略上の位置付けは明記されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    中国・ベトナムなど低価格品の流入や海外製の納期長期化を課題とし、短納期・高精度で勝負する方針が明確に示されている。

  • 課題の認識と解決4

    手作業でのミクロン単位のズレや納期遅延が信用失墜につながるとの課題認識があり、デジタル測定と短時間設計・加工で解決する方向が示されている。

事業の実現可能性48%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    付加価値額や賃上げの目標値は示されておらず、短納期・高精度という定性的な目標のみがうかがえる。

  • 事業を進める体制2

    従業員数3人と記載があるのみで、補助事業を遂行する体制や事務処理能力の具体的記述は読み取れない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    審美補綴の需要拡大やデジタル化による納期短縮が患者満足に直結するというニーズの裏付けと、高精度を選ばれる理由として整理されている。

  • 事業化までの道筋3

    三次元座標測定機の導入や職人の技との組み合わせは示されるが、スケジュールや中長期の課題検証の記述は薄い。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    ジルコニアなど審美補綴の拡大が語られるが、同分野での高付加価値化・高価格化の水準を示す記述は限定的である。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用2

    歯科技工の納期短縮が患者の満足度向上につながるとされるが、地域経済や雇用創出など国が補助する積極的理由は示されていない。

  • 費用対効果2

    ミクロン単位のズレによる再製作や納期遅れのコストが課題として示されるが、補助金投入額に対する費用対効果の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献3

    3Dプリンターやスキャナーによるデータ連携で歯科医院との情報のやり取りを変える点はうかがえるが、サプライチェーンへの貢献の記述は薄い。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    歯科技工の高付加価値化やデジタル化は語られるが、日本経済の構造転換に資する成長分野への進出という位置付けは読み取れない。

  • 地域経済への波及2

    甲府市の歯科技工所という立地は示されるが、地域の特性を活かして雇用や地域経済を牽引する記述はわずかである。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成29年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。