ものづくり補助金平成27年度医療、福祉大阪府

入れ歯製作の分業化を進め、人材不足に悩む歯科技工所を支援

株式会社 リック

この事例のポイント

  • 義歯の技術者が不足しており、技工所の大半は5名未満の零細事業所で高齢化も進んでいる。
  • 歯の模型をスキャナーで取り込んで3次元データ化し、義歯用CADソフトでクラスプを設計した。
  • 義歯のクラスプ製作を引き受ける分業サービスにより、義歯専門の技工所は歯ぐきなど他の製作に人材や資源を集中でき、経営の効率化が図れる見込みである。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社 リック
所在地大阪府 大阪市
業種医療業
従業員数99人
資本金1億円
設立1997年

事業の背景

株式会社リックは大阪と東京に計3ヵ所の歯科技工所を構え、主に歯科医院から依頼を受けて義歯とクラウン(差し歯)を製作している。2026年4月ではなく平成26年4月に、CAD/CAM冠が健康保険の適用になり、多くの技工所がCAD/CAM冠の製作に参入したため、義歯専門の技工所は製作の軸をシフトし始めた。一方、義歯は今も職人の手作業で製作され、すべての工程を1つの技工所で担っている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 人手・技能義歯の技術者が不足しており、技工所の大半は5名未満の零細事業所で高齢化も進んでいる。
  • コスト・採算デジタル化や機械化に対応するための設備投資は、零細な技工所にとって簡単ではない。

やったこと

歯の模型をスキャナーで取り込んで3次元データ化し、義歯用CADソフトでクラスプを設計した。設計データを基に3Dプリンターでプリントアウトしたものをロウ型として使い、クラスプの製作工程を一新した。チタン素材の切削には金属加工機を導入し、鋳造加工では難しいチタンを削り出せるようにした。義歯の歯ぐき部分は石膏の型に樹脂を流し込んで成型するが、この工程に自動化装置を導入し、焼成炉や鋳造機も増設した。義歯や差し歯は患者の口腔内に合わせた完全オーダーメイド製品で、数マイクロメートル単位の精度が求められるため、精度を保ちながら一部作業を機械化した。

検査測定3Dスキャナー
ソフト義歯用CADソフト
加工機3Dプリンター
加工機金属加工機
加工機歯ぐき部分の自動化装置
その他焼成炉
加工機鋳造機

新しい製品・サービス:義歯専門の技工所向けに、クラスプの製作を引き受ける企業間分業サービス

事業の効果

義歯のクラスプ製作を引き受ける分業サービスにより、義歯専門の技工所は歯ぐきなど他の製作に人材や資源を集中でき、経営の効率化が図れる見込みである。すでに技工所から依頼や問い合わせが届いており、半年以内の本格的なサービス開始を目指している。一部作業の機械化や設備増設により、義歯全体の製作依頼の増加にも対応できる体制を整えた。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.6 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性60%
  • これまでの取組との一貫性3

    平成9年設立以来、技工の高度化や機械化に早くから取り組み、3Dデータ製作の延長として分業化に進んだ経緯が読み取れる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    義歯技工所の人材不足と、CAD/CAM冠参入で技術者が不足する外部環境に触れ、自社の技術者集団を強みとして挙げている。

  • 課題の認識と解決3

    義歯技術者不足という課題に対し、クラスプを引き受ける企業間分業で技工所の経営効率化を図る方針が書かれている。

事業の実現可能性44%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    付加価値額や賃上げの数値目標は書かれておらず、半年以内の本格展開という時期の記載にとどまる。

  • 事業を進める体制3

    技工士の配置や増産体制を整えること、技術者育成に力を入れることが書かれているが、人数などの具体性は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    技工所からの依頼や問い合わせが届いていると書かれ、需要の裏付けは一定あるが、顧客ターゲットの詳細は薄い。

  • 事業化までの道筋2

    海外展開の方向性は書かれているが、遂行方法や中長期の課題検証、スケジュールの詳細は読み取れない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    CAD/CAM冠の参入が増え高い価格で販売できるとあり、義歯クラスプ分野の高付加価値化をうかがえる。

公的補助の必要性60%
  • 波及効果・雇用3

    義歯の技術者不足という事態や、海外受注を目指す記述から、雇用や需要創出への関与がうかがえる。

  • 費用対効果2

    投入額や付加価値増加、生産性向上の数値は書かれておらず、費用対効果は読み取れない。

  • イノベーションへの貢献4

    3次元データ化、CAD設計、3Dプリンター、金属切削加工を組み合わせ、デジタル技術で分業サービスを作る点が具体的に書かれている。

政策面50%
  • 成長分野への進出3

    3Dデータやデジタル技術を核にした技工の機械化・分業化が、歯科技工分野の構造転換に関わる様子がうかがえる。

  • 地域経済への波及2

    大阪と東京の拠点は記載されるが、地域特性を活かした雇用創出や地域成長への言及はわずかにうかがえる程度。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

今後は、シンガポール、ベトナム、マレーシアなど東南アジアからの受注も目指す。今後、クラスプを含めた義歯全体の製作依頼も増えると見込まれる。

事業者の声

社内で、技工士の配置や増産体制を整えることで、半年以内にサービスを本格的に始めたい

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成27年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。