ものづくり補助金平成24年度奈良県

ジルコニアを用いた次世代の歯科補綴物加工技術の確立事業

有限会社池嶋歯研

この事例のポイント

  • 審美ニーズに応えるため、透明感の高いジルコニア補綴物の加工技術を確立する必要があった。
  • CAD/CAM(スキャナー、切削加工機)を導入し、ジルコニアの切削加工に用いて高精度な補綴物製作の実現を図った。
  • CAD/CAMの運用により高精度な補綴物製作が実現し、焼結収縮のデータベース化で制作工程の高精度化と省力化、短納期化につながった。

事業者のプロフィール

事業者名有限会社池嶋歯研
所在地奈良県 香芝市
業種医療業
技術分野繊維加工
従業員数20人
資本金300万円
設立1994年

事業の背景

当社は歯科技工士による義歯・補綴物の製作・加工を行う歯科技工所で、社員20名のうち12名が歯科技工士である。若年層を中心に歯の白さや審美性を求めるニーズが高まり、年配層にも広がりつつあった。従来主流のメタルボンドは金属が光を遮断するため透明感や審美性に限界があった。金属アレルギーの心配がなく耐久性や生体親和性に優れるジルコニアが注目されており、当社はいち早く着目して審美歯科治療の主流になると見込み、技術・ノウハウの確立に取り組んだ。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術審美ニーズに応えるため、透明感の高いジルコニア補綴物の加工技術を確立する必要があった。
  • 品質・精度CAD/CAM仕上げ後の微調整(マージンの遊び具合等)は歯科技工士が歯科医師ごとに個別対応しており、精度に差が出ていた。
  • 生産能力個別対応のため受注数に限界があり、納期が長期化していた。
  • 人手・技能CAD/CAMシステムの習得には専門的なコンピュータ技術やソフト・ハードの理解が必要で、職人気質の強い歯科技工士には受け入れにくかった。

やったこと

CAD/CAM(スキャナー、切削加工機)を導入し、ジルコニアの切削加工に用いて高精度な補綴物製作の実現を図った。ジルコニアは焼結により約20%収縮し、種類や切削箇所によって収縮率も異なるため、焼結温度・焼結時間を変えて試作を繰り返し、種類ごとの収縮率データを蓄積してNC(数値制御)のベースとなるデータベースを構築した。生成後のジルコニア同士の結合試作も行った。ジルコニア以外の安価な新素材の加工も可能になった。微調整の問題に対しては、ニーズの平均値を捉えたスタンダードモデルを作成して製作工程の省力化と納期短縮を実現した。習得面では、選定されたトレーナーによるCAD/CAM技術指導を1ヶ月以上受け、OJTで受注時の状況を再現したプログラミング・切削・焼結・補綴物の調整までを反復実習した。

加工機CAD/CAM(スキャナー、切削加工機)

新しい製品・サービス:ジルコニアを用いた歯科補綴物(ジルコニアクラウン/ジルコニアコーピング、仮歯)

事業の効果

CAD/CAMの運用により高精度な補綴物製作が実現し、焼結収縮のデータベース化で制作工程の高精度化と省力化、短納期化につながった。標準モデルの作成で微調整の手間が減り、納期短縮も実現した。ジルコニア以外の安価な新素材も加工可能になり、患者の医療費負担の軽減に貢献する。今後は仮歯製作とジルコニアクラウン等で受注と売上の拡大を目指す。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    従来のメタルボンドの限界を背景に、ジルコニア加工に早期から取り組んできた経緯が書かれているが、経営戦略上の位置付けは具体的に記述されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    審美ニーズの高まりや生体親和性の高い素材の登場など外部環境は記述されているが、自社の強み・弱みと競争優位の関係は示されていない。

  • 課題の認識と解決4

    微調整の手間・精度差・受注数の限界・納期長期化という課題を挙げ、標準モデル化やCAD/CAM導入で対応する具体策が示されている。

事業の実現可能性68%
  • 付加価値・賃上げの目標5

    2年目に4,500本受注・4,500万円、5年目に7,500本・7,500万円という数値目標が設定され、収縮率データ蓄積の根拠も書かれている。

  • 事業を進める体制4

    社員20名中12名が歯科技工士であることや、トレーナーによる1ヶ月以上の指導とOJTの体制が具体的に書かれている。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    ホワイトニング・審美ニーズと患者の医療費負担軽減という価値、高精度・短納期・省コストの特長が整理されている。

  • 事業化までの道筋3

    課題とその解決策は対応づけられているが、中長期の遂行スケジュールは2年目と5年目の目標に留まり、詳細は示されていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    従来のメタルボンドに対しジルコニアの審美性・透明感の高さを示し、審美歯科の主流になると見込んで取り組んでいる点が読み取れる。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用2

    医療費負担の軽減に触れてはいるが、波及効果や雇用創出など国が補助する積極的理由は具体的に書かれていない。

  • 費用対効果3

    工程の省力化や短納期化は記載されているが、補助金投入額に対する付加価値増加や費用対効果の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献2

    CAD/CAMの活用は示されているが、地域やサプライチェーンのイノベーションへの貢献は具体的に書かれていない。

政策面30%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及2

    奈良県香芝市の大手歯科技工所であることは書かれているが、地域の特性を活かした付加価値や雇用創出の記述は薄い。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

2年目と5年目に向けて、仮歯製作とジルコニアクラウン/コーピングの受注本数と売上を段階的に伸ばす計画である。

  • 目標:ジルコニアは焼結により約20%収縮する
  • 目標:2年目:4,500本受注、4,500万円売上目標
  • 目標:2年目:4,500万円売上目標
  • 目標:5年目:7,500本受注、7,500万円売上目標
  • 目標:5年目:7,500万円売上目標
  • 目標:2年目:3,000本受注、300万円売上目標
  • 目標:2年目:300万円売上目標
  • 目標:5年目:4,000本受注、400万円売上目標
  • 目標:5年目:400万円売上目標

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出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。