ものづくり補助金平成24年度奈良県

ジンクハット(防食保護キャップ)の新バージョン(形状追加及び緩み止め機能)の試作開発

エイ.アンド.エス.システム株式会社

この事例のポイント

  • 既存の製造工程・生産体制では需要に見合った供給体制とはいえず、受注時の1案件あたりの販売個数が数万個単位となることもあり捌ききれない状況にあった。
  • 既存のベーシックシリーズのうち「シングルナットタイプ」と「シングルナットスプリングワッシャ付タイプ」の2種について改良開発を行った。
  • 新シリーズの訴求要素として、電気防食機能を高付加価値要素とし、鉄道関連事業、電設関連事業、トンネル工事などへの波及を目標とした。

事業者のプロフィール

事業者名エイ.アンド.エス.システム株式会社
所在地奈良県 香芝市
業種非鉄金属製造業
技術分野切削加工
従業員数8人
資本金1,000万円
設立2012年

事業の背景

2006年にEUで施行されたRoHS(特定有害物質使用制限)により、製品の主原料であった鉛の使用が制限された。直接的な影響はなかったものの、大手企業が軒並み鉛の使用を控える動きとなり、素材・環境の変化への対応が急務となった。そこで代替素材の開発に取り組み、5年の歳月をかけてオリジナル合金の開発に成功した。オリジナル合金を活用した製品として、高架や高速道路の防音壁、遊園地の遊具などに使われるボルトナットの錆止め製品「ジンクハット」を開発し、数々のコンテストで評価され多くの賞を受賞した。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力既存の製造工程・生産体制では需要に見合った供給体制とはいえず、受注時の1案件あたりの販売個数が数万個単位となることもあり捌ききれない状況にあった。
  • 人手・技能製品の営業活動において単純な営業力・マンパワーが不足しており、問合せ対応が追いついていなかった。

やったこと

既存のベーシックシリーズのうち「シングルナットタイプ」と「シングルナットスプリングワッシャ付タイプ」の2種について改良開発を行った。シングルナットスプリングワッシャ付タイプは、非防食体への適度な密着性を確保し、イオン電池を確保することで電気防食機能をより効果的に発揮できる仕様とした。これにより、より広い用途や様々な建造物への対応が可能となった。試作開発における各種研究・実証データを元に、更なる機能面での強化・高付加価値化を目指し、新シリーズの開発を進めた。また、本社新社屋(工場)を2019年2月に稼働させ、製造工程の内製化、生産量の向上、生産コスト・販売単価の引き下げ、品質管理の強化を可能にした。併せて営業人員を増強し、自社通販サイトを立ち上げて販路拡大を図る。

新しい製品・サービス:ジンクハットの新バージョン(形状追加及び緩み止め機能)の試作開発、およびシングルナットタイプ・シングルナットスプリングワッシャ付タイプの改良品

事業の効果

新シリーズの訴求要素として、電気防食機能を高付加価値要素とし、鉄道関連事業、電設関連事業、トンネル工事などへの波及を目標とした。新社屋稼働により製造工程の内製化、生産量の向上、生産コストと販売単価の引き下げ、品質管理の強化が可能となった。自社通販サイトの立ち上げにより販路拡大を目指している。試作開発で得た研究・実証データは新シリーズ開発の研究素材となった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.4 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性53%
  • これまでの取組との一貫性3

    既存の防食キャップ「ジンクハット」の改良と新シリーズ開発を継続する方針が示され、一貫性はうかがえるが、経営戦略上の位置付けは具体的に書かれていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性2

    防食・防錆製品の差別化要素として電気防食や広い用途対応がうかがえるが、市場動向や自社の強み・弱みの分析は書かれていない。

  • 課題の認識と解決3

    営業力不足や需要に見合わない供給体制という課題が示され、新社屋稼動による内製化やコスト引き下げが挙げられているが、数値目標は書かれていない。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    付加価値創出や賃上げの目標値は書かれておらず、販売個数や売上などの数値も示されていないため、実現可能性は判断しづらい。

  • 事業を進める体制3

    従業員数8名、営業人員の増強や新社屋の稼動が示されており、体制の一部は読み取れるが、事務処理能力や遂行体制の詳細は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    ジンクハットの電気防食・被覆防食・インヒビター効果や、建造物のボルトナット腐食防止という用途、複数の表彰実績が具体的に示されている。

  • 事業化までの道筋3

    2019年2月の新社屋稼動や自社通販サイト立ち上げ、今後の販路拡大という流れは示されるが、スケジュールや課題解決の詳細な方法は薄い。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    鉛規制を背景に独自合金を開発し、防食キャップとして他に類を見ないオンリーワン製品と位置付けている点が読み取れる。

公的補助の必要性33%
  • 波及効果・雇用3

    建造物倒壊の恐れがある腐食防止や、鉄道・電設・トンネル工事への波及目標があり、社会インフラへの貢献はうかがえるが、雇用や経済波及の数値は薄い。

  • 費用対効果1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • イノベーションへの貢献1

    公開されている事例からは読み取れません。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    安全・安心の社会作りへの貢献がうかがえるが、経済社会の構造転換や成長分野への進出についての記述は乏しい。

  • 地域経済への波及2

    奈良県香芝市に本社を置き、地域未来牽引企業に認定された点はあるが、地域の経済成長への寄与は具体的に書かれていない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

「防食」という短期間では効果が見えない機能について実績を積み上げ、製品および当社の信頼感を向上させる。各種コンテストや展示会へ積極的に参加する。新社屋稼動によって向上した生産力をベースに、海外も視野に入れた販路の拡大・構築を目指す。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。