ものづくり補助金平成29年度製造業静岡県

国内回帰している自動車部品におけるコスト競争を強化する自動加工工程の構築

株式会社ティーアールシィー高田

この事例のポイント

  • プロジェクション溶接は加工単価が低く、作業能率が劣る作業員によっては利益が出ないことがあった。
  • 本補助金を活用し、溶接用搬送ロボット2台を導入した。
  • ナット打ちプロジェクション溶接の自動化により、作業員のスキルに依存しない均一な加工が可能になった。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社ティーアールシィー高田
所在地静岡県 浜松市西区
業種輸送用機械器具製造業
技術分野接合・実装
資本金1,000万円
設立1965年

事業の背景

株式会社ティーアールシィー高田は昭和33年に創業し、2輪車の燃料タンク板金加工から始め、現在は金型や治具設計からプレス、溶接、表面加工までを手がけ、2輪車・4輪車向けの部品を中心に幅広く生産している。近年はアジアを中心とした新興国での自動車需要拡大を背景に、自動車メーカー各社が生産能力を強化している。海外から国内に生産拠点を戻す動きもあり、海外部品との価格競争に発展しているため、さらなるコストダウンと付加価値の向上が求められていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • コスト・採算プロジェクション溶接は加工単価が低く、作業能率が劣る作業員によっては利益が出ないことがあった。
  • 人手・技能短納期への即応が必要で、作業員のスキルに関係なく能力の高い人が急場対応でルーチン業務を行うミスマッチな状況が続いていた。
  • 品質・精度作業員と検査担当者の2名によるダブルチェックは時間とコストがかかり、目視検査のため不良0を保証することが難しかった。

やったこと

本補助金を活用し、溶接用搬送ロボット2台を導入した。同社の設計・製造技術によりロボットをカスタマイズし、バラ積みされたワークをセンサーで検知して自動で掴めるようにした。これにより、他社で行っていたナット打ちプロジェクション溶接を自動化し、作業員のスキルに依存しない均一な加工が可能になった。また、溶接用搬送ロボットに4台の二次元カメラを取り付け、正確かつ精緻な検査を行う体制を構築し、検査工程を自動化した。プロジェクション溶接と検査の2工程を1工程に集約し、従来の作業員と検査員による目視のダブルチェックを不要にした。

ロボット溶接用搬送ロボット
検査測定二次元カメラ
加工機ナット打ち自動化設備一式

事業の効果

ナット打ちプロジェクション溶接の自動化により、作業員のスキルに依存しない均一な加工が可能になった。検査工程を自動化したことで目視のダブルチェックが不要になり、プロジェクション溶接と検査の2工程を1工程に集約できた。これにより工程に掛かる人員を他の業務に配置でき、熟練者をより付加価値の高い業務に配置して利益体質を強化することができた。さらに、事業実施後は生産体制や企画・提案力が対外的に評価され、これまで受注のなかった生産用機械設備の分野で取引先の製品開発に携わるなど、新たな受注・事業展開につながった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.6 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    1960年代の板金加工からの事業の流れは読み取れるが、経営戦略上の位置付けまでは書かれていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    海外部品との価格競争と国内回帰の動きを挙げ、自動化ラインを設計できることを他社との差別化として挙げている。

  • 課題の認識と解決4

    プロジェクション溶接の低い加工単価と作業員スキル依存という課題を挙げ、搬送ロボットと検査の自動化で解決を図っている。

事業の実現可能性44%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    付加価値向上の目標値は数字で示されておらず、コストダウンや利益体質強化は定性的な記述にとどまる。

  • 事業を進める体制3

    生産管理のシステム化や ISO9001 の認定など体制の記述はあるが、補助事業の遂行体制は具体的に書かれていない。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    短納期・高品質・低コストの強みと作業員のスキル非依存の均一加工は読めるが、顧客ターゲットの整理は薄い。

  • 事業化までの道筋2

    工程の集約と自動化の内容はあるが、スケジュールや課題解決の方法は書かれていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    自動車部品の国内回帰という文脈は読めるが、分野の認知度や高付加価値化の水準は示されていない。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用3

    国内回帰の流れと新たな受注・事業展開への広がりは書かれているが、波及効果の数値は示されていない。

  • 費用対効果2

    作業員のダブルチェック不要化や人員の再配置は書かれているが、費用対効果を示す数字はない。

  • イノベーションへの貢献3

    二次元カメラによる検査体制やシステム化は読めるが、サプライチェーン全体への貢献までは書かれていない。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    国内回帰という産業動向にわずかに触れるが、構造転換への資するかどうかは書かれていない。

  • 地域経済への波及2

    浜松市という立地は書かれるが、地域の特性を活かした付加価値や雇用創出の記述は薄い。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成29年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。