ものづくり補助金平成24年度岩手県

自動車エンジン部品の受注に向けたオリジナル溶接・切断ラインの開発

株式会社長島製作所

この事例のポイント

  • 東北の自動車メーカーからエンジン部品などの加工依頼があったが、現有設備の加工能力では対応できず受注に至っていなかった。
  • ファイバーレーザー発振装置と多関節ロボットを導入し、自社でオリジナルの溶接・切断ラインを開発・製作した。
  • 3次元形状部品の切断と微細な溶接が可能になり、自動車のエンジン部品や排気部品などステンレス製品の加工で力を発揮すると期待される。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社長島製作所
所在地岩手県 一関市
業種輸送用機械器具製造業
技術分野切削加工
資本金2,000万円
設立1976年

事業の背景

株式会社長島製作所は15年にわたり自動車金属部品の製造を手がけてきた。トヨタの岩手工場、宮城工場の稼働に伴い平成12年から自動車金属部品の受注を開始し、現在はその売り上げが当社全体の半数以上を占める。自動車メーカーは輸送コストを下げるため自動車部品の現地調達率向上を目指しており、なかでもエンジン部品や排気部品に力を入れている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術東北の自動車メーカーからエンジン部品などの加工依頼があったが、現有設備の加工能力では対応できず受注に至っていなかった。
  • コスト・採算3次元形状への追加工を行うファイバーレーザー切断機は市販品の多くが1億円を超え高額だった。
  • 生産能力溶接と切断を別工程で行っていたため加工に時間がかかっていた。

やったこと

ファイバーレーザー発振装置と多関節ロボットを導入し、自社でオリジナルの溶接・切断ラインを開発・製作した。ロボットの可動と合わせてあらゆる角度からレーザーを照射できるよう、角度を変えられるベースを設計した。レーザーの収束具合を調整して同一ラインで切断と溶接ができるようにした。レーザー照射時のビームを防ぐ防護壁を設け、CCDカメラで無害化した映像を外部モニターに映して加工の様子を観察できるようにした。試作では防護壁内でロボットとケーブルが干渉する問題が起きたため、3次元CADで非干渉領域を探して解決した。

新しい製品・サービス:3次元形状の切断と溶接が同一ラインでできるオリジナル溶接・切断ライン

事業の効果

3次元形状部品の切断と微細な溶接が可能になり、自動車のエンジン部品や排気部品などステンレス製品の加工で力を発揮すると期待される。コンピュータ制御のロボットが加工するため作業時間が短縮され、作業者の熟練度に頼らない生産体制を敷けるようになった。切断と溶接を同一ラインで行えるためリードタイムも短縮され、生産性が向上した。社内で開発から組み立てまでを行ったことで市販の類似品の約1/5の費用でラインを製造でき、そのメリットを受注単価に反映して短納期・低コストの製品提供が可能になった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.2 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性80%
  • これまでの取組との一貫性4

    15年にわたる自動車金属部品の実績があり、売上の半数以上を占める事業を基盤に新規分野の受注を目指すと書かれている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    市販品の約1/5の費用で自社開発したことを強みとし、東北の自動車メーカーのエンジン部品の現地調達ニーズに応える内容になっている。

  • 課題の認識と解決4

    エンジン部品の加工依頼に既存設備で対応できず受注に至らなかった課題を認識し、3次元溶接・切断ラインで解決を図っている。

事業の実現可能性60%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    賃上げや付加価値額の数値目標は示されておらず、生産転用の時期(平成29年中)が述べられるのみである。

  • 事業を進める体制3

    藤沢工場の研究・開発部門で社内技術者が設計から組立まで担当し、副社長が開発の責任者を務めたと書かれている。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    東北の自動車メーカー向けエンジン部品・排気部品、主にステンレス製品の3次元加工という対象と用途が具体的に書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    試験運転で課題を解決し、ロボットとケーブルの干渉は3次元CADで非干渉領域を探して解決したと述べ、平成29年中の生産転用を目指すとしている。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    市販のファイバーレーザー切断機は1億円超が多いが、溶接と切断を同一ラインで行える点を差別化として挙げている。

公的補助の必要性67%
  • 波及効果・雇用3

    自動車部品製造をはじめ岩手の金属加工産業の振興に寄与すると述べられ、地域の産業への波及効果がうかがえる。

  • 費用対効果3

    市販品の約1/5の費用で製造しリードタイム短縮や生産性向上につながったと述べるが、補助金額との比較はない。

  • イノベーションへの貢献4

    ファイバーレーザーとロボットを組み合わせた3次元切断・溶接ラインを自社開発し、地域内で同様の設備を持つ企業はほぼないとされる。

政策面50%
  • 成長分野への進出2

    自動車部品の現地調達率向上という既存分野での受注拡大が中心で、構造転換を示す記述は見当たらない。

  • 地域経済への波及3

    東北・岩手の金属加工産業の振興に寄与すると述べられ、地域の経済成長への貢献がうかがえる。

今後の展望

今後も様々な条件下で試験を重ね、平成29年中の生産転用を目指している。自動車部品の受注獲得と新規分野への受注につなげたいと考えている。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。