ものづくり補助金平成29年度建設業静岡県

独自設計の自動溶接機導入によるプレハブ建築用鉄骨フレーム売上3倍計画

水野建設工業株式会社

成果売上 1倍→3倍

この事例のポイント

  • 主要得意先からのプレハブ建築用鉄骨フレームの供給量増加・納期短縮の依頼に応えられず、売上機会ロスとなっていた。
  • 同社は自社のノウハウを盛り込んだ独自設計の自動溶接機を開発・導入した。
  • 売上 1倍→3倍。溶接作業の機械化により溶接時間が大幅に短くなり、歪みの修正作業もなくなった。

事業者のプロフィール

事業者名水野建設工業株式会社
所在地静岡県 牧之原市
業種職別工事業(設備工事業を除く)
技術分野情報処理,機械制御
資本金3億円
設立1970年

事業の背景

同社は1970年に鉄骨工事業者として創業し、1975年頃には中部火力工事の下請として浜岡原子力発電所内の工事で業績を伸ばした。設計から製造、施工までを一貫して行い、多角化経営を進めている。近年は災害時の仮設住宅用途としてプレハブ建築の供給体制増強が社会的に求められており、同社も主要得意先から鉄骨フレームの供給量増加と納期短縮を多く求められていた。一方、主流の鉄骨であるリップH鋼材は国内で1社しか生産しておらず、近年の震災では生産が追いつかず仮設住宅の建設が大幅に遅れていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力主要得意先からのプレハブ建築用鉄骨フレームの供給量増加・納期短縮の依頼に応えられず、売上機会ロスとなっていた。
  • その他プレハブ建材の主流であるリップH鋼材は国内で特許を持つ1社でしか生産されておらず、調達に制約があった。
  • 生産能力C型鋼材2本を組み合わせる溶接作業をすべて手動で行っており、熟練作業員でも1人1日8組が製造の限界だった。
  • 生産能力手作業の溶接は時間がかかるうえ歪みの修正作業も必要で、後の作業工程の遅延要因になっていた。
  • 人手・技能同社の品質基準を満たす溶接技能者はすぐには増やせなかった。

やったこと

同社は自社のノウハウを盛り込んだ独自設計の自動溶接機を開発・導入した。組み合わせたC型鋼材を2カ所から同時かつ同スピードで溶接する仕組みにした。鋼材の条件(サイズ、板厚)ごとに最適な溶接設定をプログラムし、安定した溶接品質を確保した。この結果、溶接時間は10分の1に低減し、手作業で生じていた歪みの修正作業もなくなった。

加工機独自設計の自動溶接機

事業の効果

  • 売上 1倍→3倍
  • リップH鋼材代替品の最大生産量 8組/日→60組/日
  • 溶接時間 1倍→0.1倍

溶接作業の機械化により溶接時間が大幅に短くなり、歪みの修正作業もなくなった。リップH鋼材代替品の最大生産量は1日8組から60組に増え、需要の変動に対して過剰在庫を持つ必要もなくなった。高い技能を持つ従業員に余剰時間が生まれ、より付加価値の高い業務に時間を割けるようになった。売上も増大し、災害時には早期にプレハブ用鉄骨の供給と仮設住宅の建設が進むことが期待される。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.0 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    主要得意先からの鉄骨供給増加要望に応えられず売上機会ロスが生じていたとあり、既存事業の延長上の取組と読めるが、経営戦略上の位置付けは明示されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    社会的ニーズや供給制約の状況は書かれているが、競合との比較や自社の経営資源の強みとの関係の記述は薄い。

  • 課題の認識と解決4

    手動溶接の限界が1人1日8組と具体的に示され、溶接時間の10分の1削減や60組/日への増産という数値で課題と効果が結びついている。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    売上3倍の目標と、1日8組から60組への生産量増加という数値が示されており、目標の具体性は高い。

  • 事業を進める体制2

    社内に総務・経理、建設事業部等の体制があると記載があるが、補助事業の遂行を担う人材や事務体制の詳細は読み取れない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    災害時のプレハブ供給ニーズや主要得意先からの供給増要望が具体的に書かれ、顧客ニーズの裏付けがある。

  • 事業化までの道筋3

    溶接作業の機械化・自動化という方法は示されているが、スケジュールや導入後の検証計画は事例からは読み取れない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    プレハブ用鉄骨の主流品リップH鋼材が特許を持つ1社しか生産していないと記載あり、希少性はうかがえるが高付加価値化の数値は乏しい。

公的補助の必要性73%
  • 波及効果・雇用4

    災害時の仮設住宅建設の遅れという社会課題への対応が明記され、被災地の早期復興への寄与が国の補助の理由として読み取れる。

  • 費用対効果4

    溶接時間を10分の1に減らし、生産量を8組から60組/日へ増やすなど、投資に対する生産性向上の効果が数値で示されている。

  • イノベーションへの貢献3

    溶接条件をプログラムで最適化する自動化は示されるが、サプライチェーン全体への波及やデジタル技術の活用度は具体的に書かれていない。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    プレハブ建築の供給体制増強という社会的ニーズは書かれるが、日本経済の構造転換への言及はわずかにうかがえるだけである。

  • 地域経済への波及2

    静岡県の牧之原市・御前崎市の拠点は示されるが、地域の特性を活かした雇用や地域成長への言及は乏しい。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

自然災害の際にもプレハブ用鉄骨の供給と仮設住宅の建設がスムーズに行われ、被災者の支援や早期の復興につながることが期待される。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成29年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。