ものづくり補助金平成29年度農業、林業滋賀県

世界初の新品種・早生デュラム小麦を使った「国産・生パスタ」の製造による新市場の開拓

この事例のポイント

  • 日本の気候では栽培されてこなかったパスタ用デュラム小麦を国内で栽培するには、梅雨入り前に収穫できる早生品種が必要だった。
  • 龍谷大学の丹野研一准教授と協力し、パスタ用デュラム小麦の育種に取り組んだ。
  • 早生デュラム小麦からパスタ用小麦粉と生パスタ麺を一連のラインで試作できる体制が整った。

事業者のプロフィール

所在地滋賀県 蒲生郡日野町
業種農業
従業員数1人
設立2000年

事業の背景

近江屋米店-大地堂は2006年頃、日本で初めて古代種ディンケル小麦の種子をドイツから輸入して国内商業栽培に成功し、純国産ドイツパンやドイツ菓子の製造販売を手掛けてきた。全国のパン屋、カフェ、レストラン向けにディンケル小麦の全粒粉を販売し、本物志向の小麦ユーザーネットワークを形成していた。パスタ用デュラム小麦は世界で広く生産流通しているが、日本では栽培されていなかった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術日本の気候では栽培されてこなかったパスタ用デュラム小麦を国内で栽培するには、梅雨入り前に収穫できる早生品種が必要だった。
  • 生産能力純国産の生パスタを新市場として開拓するため、小麦を製粉し生パスタ麺を生産する設備が不足していた。

やったこと

龍谷大学の丹野研一准教授と協力し、パスタ用デュラム小麦の育種に取り組んだ。早生形質のデュラム小麦を選抜して累代栽培を繰り返し、10年以上かけて形質の安定した新品種(早生デュラム小麦)の作出に成功し、品種登録を行った。導入したカラー色彩選別機で赤カビ粒や未成熟粒を除去し、製粉機で顧客の好みに合わせたブレンド小麦(胚芽や外皮の割合)を提供できるようにした。小型昇降機2台と一時保管タンク2台を組み合わせ、保管から選別、製粉投入までの一連のラインの中核工程を構築した。

検査測定カラー色彩選別機
加工機製粉機
加工機小型昇降機
その他一時保管タンク

新しい製品・サービス:早生デュラム小麦を使ったパスタ用小麦粉および純国産生パスタ麺

事業の効果

早生デュラム小麦からパスタ用小麦粉と生パスタ麺を一連のラインで試作できる体制が整った。今後は高級志向のイタリアンレストランなどに向けて試験販売を始める予定である。また、ディンケル小麦で築いた本物志向のユーザーネットワークを通じ、ブレンド小麦の試験提供を行い、新市場を少しずつ開拓していく。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性4

    2006年頃からディンケル小麦や全粒粉販売で培った小麦ユーザーネットワークを活かし、早生デュラム小麦の製粉・生パスタ事業へ展開する一貫性が読み取れる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    高級志向のイタリアンレストラン向け試験販売や本物志向のネットワークに言及があるが、市場規模や競合に対する優位性の数値は示されていない。

  • 課題の認識と解決3

    生産性向上や歩留り率アップ、ブレンド小麦の安定提供が目指されているが、具体的な高付加価値化の数値目標は書かれていない。

事業の実現可能性48%
  • 付加価値・賃上げの目標1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 事業を進める体制3

    従業員1人の体制で、龍谷大学の丹野准教授との育種協力や10年以上の栽培経験が示されるが、事務処理体制の記述は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    国産生パスタの新市場開拓、ブレンド小麦の好みへの対応、カラー色彩選別による品質向上など、製品の価値と選ばれる理由が整理されている。

  • 事業化までの道筋3

    今後の展望で栽培方法の改良、新品種育種、試験販売の段階的進め方が示されるが、具体的なスケジュールは書かれていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性100%
  • 新しさ・高付加価値5

    国産デュラム小麦・生パスタは国内で栽培されてこなかった分野で、世界初の早生新品種による新市場開拓と明記されている。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用4

    豊かな食文化の創造と食料自給率の向上への貢献が明記され、国産小麦の国内生産という公的意義がうかがえる。

  • 費用対効果2

    補助金額や付加価値額の増加に関する数値は示されておらず、費用対効果はわずかにうかがえるのみ。

  • イノベーションへの貢献2

    色彩選別機や小型昇降機などの設備導入は述べられるが、先端的デジタル技術や新ビジネスモデルへの言及はほぼない。

政策面60%
  • 成長分野への進出3

    国産小麦の自給率向上と新市場開拓に触れ、構造転換に資する方向性はあるが、成長分野としての根拠は示されていない。

  • 地域経済への波及3

    日野町の地域拠点や地域の強みへの言及は薄いが、国産小麦の生産という地域性は読み取れる。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

品種登録した早生デュラム小麦は野生的な性質を持つため、安定収穫には栽培方法のさらなる改良が必要である。より生産性の高い新品種の育種を進め、安定した生産体制を確立する。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成29年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。