ものづくり補助金平成29年度製造業京都府

工程自動化と成形条件DB化による不良ゼロを目指す革新的生産システム構築

株式会社アクトリー

成果稼働時間 13時間/日→24時間/日

この事例のポイント

  • 自動車用トランスミッションギア部品の増産要求が高まっているが、現状の製造体制では増産に対応できない。
  • 既設の成形機に、パーツセット、成形、製品取出し、画像検査、外観検査までの工程を担っていた3名の人員を1名で行える仕組みに変更した。
  • 稼働時間 13時間/日→24時間/日。製造から画像検査、外観検査までを1名で行えるようになり、顧客の増産ニーズに対応できる製造体制を構築した。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社アクトリー
所在地京都府 宇治市
業種プラスチック製品製造業(別掲を除く)
技術分野精密加工,機械制御
従業員数34人
資本金1.5億円
設立1987年

事業の背景

当社はエンプラを含む特殊素材の精密射出成形を、小ロット・短納期で金型設計から一貫して手がけている。主力製品の自動車用トランスミッションギア部品は自動車製造のカンバン方式に組み込まれ、主要取引先から増産を求められていた。近年の世界的なSUV・RV車人気により注文数量の増加が見込まれていた。製品は海外の生産工場にも出荷されている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力自動車用トランスミッションギア部品の増産要求が高まっているが、現状の製造体制では増産に対応できない。
  • 納期・工程注文は前日16時に発注され21時間後の13時出荷が求められ、急な増産には在庫確保と1台の成形機への夜勤張り付けで対応していた。
  • 品質・精度不良品が出荷され生産ラインが止まると多大な損害が生じるため、不良品の発生低減と検出精度の向上が重要だった。
  • 人手・技能製造から検査までの工程に多くの人員を要しており、省力化が必要だった。

やったこと

既設の成形機に、パーツセット、成形、製品取出し、画像検査、外観検査までの工程を担っていた3名の人員を1名で行える仕組みに変更した。新たに全自動パーツフィーダと5軸NC制御取出ロボットを設置し、射出成形機に要していた要員を不要とした。自動で取り出された製品をストック装置まで運ぶ過程に画像検査カメラを設置し、製造から最終外観検査までの全工程を1名で行えるようにした。成形から取出し、画像検査までを連結し、画像検査で検出された不良品と製造時の成形条件を結び付けた。製造時点の成形条件を収集するソフトで、不良品または良品のみが製造される成形条件範囲をデータベース化した。規定した成形条件外のデータを検出するとアラートを発し、アラートが出たショットで成形された製品のみを検査する体制の構築も研究している。

加工機全自動パーツフィーダ
ロボット5軸NC制御取出ロボット
検査測定画像検査カメラ
ソフト成形条件収集ソフト

事業の効果

  • 稼働時間 13時間/日→24時間/日
  • 製造能力 1倍→1.84倍
  • 人員 3人→1人

製造から画像検査、外観検査までを1名で行えるようになり、顧客の増産ニーズに対応できる製造体制を構築した。製造に要していた人員を3分の1に減らし、夜勤に頼っていた稼働時間を機械に置き換えたことで、職場環境の改善と稼働時間の延長につながった。検査工程の省力化と革新的な不良削減が見込まれ、夜勤の減少や仕損じによる製造コストの削減というメリットももたらした。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.0 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    主力のトランスミッションギア部品の増産要求に対応する取組みで、過去の事業との関連は読めるが、経営戦略上の位置づけは具体的に書かれていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    SUV人気やRV車需要の高まりという外部環境と、小ロット・短納期対応という強みが書かれるが、競争優位の説明は薄い。

  • 課題の認識と解決4

    製造能力の限界と発注から出荷まで21時間という課題を認識し、24時間稼働と工程一体化で製造能力1.84倍という効果を示している。

事業の実現可能性64%
  • 付加価値・賃上げの目標5

    製造能力1.84倍、稼働時間最大13時間から24時間、人員3名から1名、人件費3人/時間から1人/時間と数字で目標と効果が示されている。

  • 事業を進める体制3

    既存の人員体制や自動化の内容は書かれるが、補助事業を遂行する人材や事務処理体制についての記述は限られている。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    自動車部品と医療向け部品への取引先ニーズ、クリーンブース保有による選ばれる理由が具体的に書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    成形条件DB化やアラートシステムの研究など今後の段階は示されるが、スケジュールや課題解決方法の詳細は乏しい。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    精密射出成形で高精度部品を扱うと書かれるが、普及度や高付加価値化の水準を示す記述は限定的である。

公的補助の必要性67%
  • 波及効果・雇用2

    取引先の増産要求への対応と働きやすい職場づくりが書かれるが、地域波及や雇用創出など国が補助する理由は明示されていない。

  • 費用対効果4

    人員3名から1名、製造能力1.84倍という効果が示され、費用対効果を数字から読み取れる。補助金額の記載はない。

  • イノベーションへの貢献4

    成形条件のDB化と画像検査を連携させる仕組みで、サプライチェーンの品質向上に寄与する取組みとして具体的に書かれている。

政策面30%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及2

    京都府宇治市の企業であることは分かるが、地域特性を活かした付加価値や地域成長への言及は本文にほぼ見られない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

より微細で精密度の高い製品を省力化・短納期で実現する能力を高めることを目指している。医療向け部品や検査キット製造で、分析・測定器メーカーの研究開発部門と共同で研究を進め、取引先の困りごとを樹脂で解決していく考えである。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成29年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。