ものづくり補助金平成29年度製造業京都府

独自接合技法を量産化対応させ自動車計測装置の大幅納期短縮実現

株式会社伊藤製作所

成果生産能力 100%→150%

この事例のポイント

  • 主要取引先の計測機器メーカーから、従来の150%の増産対応を求められていた。
  • ブランキング加工機を2ライン体制とし、当社の既存Aラインと同型の最新型機種を導入した。
  • 生産能力 100%→150%。新接合工法の実用化により、加工精度が1/10mm精度で安定し、材料種を問わず加工が可能になった。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社伊藤製作所
所在地京都府 京都市山科区
業種非鉄金属製造業
技術分野精密加工,接合・実装
従業員数80人
資本金5億円
設立1965年

事業の背景

主力製品は精密機器で、京都で多品種少量生産を行うものづくり企業の多さに着目し、メッキ・塗装・組立まで内作一貫の生産体制を構築してきた。主要取引先は計測機器メーカー、医療機メーカーなどで、取引先からは品質・価格・納期・提案で高い評価を得ている。自動車産業では排ガス規制の強化を背景に、エンジン排ガス計測装置のニーズが急拡大しており、世界シェア85%を占める主要取引先から従来の150%増産が求められていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力主要取引先の計測機器メーカーから、従来の150%の増産対応を求められていた。
  • コスト・採算溶接作業は板金加工の中で最も熟練を要し工数もかかるため、コストアップの要因になっていた。
  • 品質・精度既存のブランキング工程では加工精度が2〜3/10mmしかなく安定した加工ができず、工数も増えていた。
  • 生産能力ブランキング工程の加工スピードアップが必要だった。
  • 人手・技能Bラインは段取り替えの多い単品や小ロットの割込み生産を担当し、熟練工が付きっきりで操作する必要があった。

やったこと

ブランキング加工機を2ライン体制とし、当社の既存Aラインと同型の最新型機種を導入した。この機種は収納された成型金型が加工時のみ押し出されるリフトアップステーション機構を備え、鋼材の両面に金型との干渉キズなしに高い突起を高精度に成型できる。ファイバーレーザ発振器を搭載し、従来のCO2レーザ機種と比較してレーザ径が0.2mmから0.1mmになり集光精度が高まった。新接合工法は、接合箇所に凹凸をつけてはめ込む嚙み合わせと溶接を併用する方法で、最初に位置決めをしてから溶接することで作業を簡素化した。新接合工法で成型する凸部高さ(板厚の75%)について鉄鋼材、ステンレス材、アルミ材で評価し、材料によらず1/10mm精度で安定加工できることを確認した。この工法を協力会社にも開示し、後工程の生産能力を高めた。

加工機最新型ブランキング加工機

新しい製品・サービス:自動車エンジン排ガス計測装置のメインフレーム(新接合工法を適用)

事業の効果

  • 生産能力 100%→150%
  • 鉄鋼板の切断速度 1倍→10倍
  • レーザ径 0.2mm→0.1mm

新接合工法の実用化により、加工精度が1/10mm精度で安定し、材料種を問わず加工が可能になった。最新機の導入で、従来レーザ切断ができなかったアルミ、真鍮、銅など反射率の高い金属にも対応でき、鉄鋼板は約10倍の速さで切断できるようになった。自社と協力会社を合わせて生産能力は150%増強され、ブランキング加工機2台体制により若手や新人を戦力化する期間が大幅に短縮され、受注増加や特急注文への柔軟な対応で売上増加に貢献した。生産技術チームと品質保証部が一体となって取り組んだことで、早い段階から顧客の要求仕様を踏まえた技術開発が進み、顧客対応力も強化された。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.2 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性80%
  • これまでの取組との一貫性4

    1965年創業の金属加工業から、1983年の本社移転を契機に事業を拡大し、後工程まで内作一貫体制を築いた経緯が書かれている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    京都の多品種少量生産企業に着目し、メッキ・塗装・組立まで内作一貫で受けている点や、2017年度の京都府創意工夫功労賞受賞が強みとして示されている。

  • 課題の認識と解決4

    ブランキング工程の精度が2~3/10mmに留まり工数も増えるという課題を明示し、新接合工法と最新機の導入で解決する計画になっている。

事業の実現可能性64%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    従来比150%の増産要求に対し、協力会社含め150%の生産能力増強を達成し、加工時間27%・ランニングコスト56%削減と数値で示されている。

  • 事業を進める体制4

    生産技術チームと品質保証部が一体となって取り組み、協力会社への技術開示も行うなど、遂行体制が具体的に記載されている。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    主要取引先は世界シェア85%の計測機器メーカーで、排ガス計測装置の需要急拡大というニーズの裏付けが具体的に書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    大型筐体の受注に向けて積極的に営業活動を展開すると今後の方向性は述べられているが、時期や段階的なスケジュールは示されていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    従来レーザ切断できなかったアルミ・真鍮・銅にも適用可能となり、鉄鋼板を約10倍の速度で切断できるとあるが、高付加価値化の水準は示されていない。

公的補助の必要性60%
  • 波及効果・雇用3

    協力会社へ新接合工法を開示して外注を可能にし、近隣府県で大型筐体を製作できる業者が少ない地域課題に対応する点が書かれている。

  • 費用対効果3

    加工時間27%、ランニングコスト56%の削減や生産能力150%増強は示されているが、補助金額と付加価値増加の関係は記載されていない。

  • イノベーションへの貢献3

    ファイバーレーザ発振器を搭載した最新型ブランキング機と新接合工法を組み合わせ、協力会社にも展開して板金加工全体を高度化している。

政策面50%
  • 成長分野への進出2

    自動車エンジン排ガス規制の強化という外部環境への言及はあるが、日本経済の構造転換に資する分野進出までは読み取れない。

  • 地域経済への波及3

    京都の多品種少量生産企業が集まる地域特性を踏まえ、大型筐体の製作を地域で担う事業性が示されているが、雇用や地域成長への言及は薄い。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

新接合工法は構造が複雑な大型筐体の溶接に有効である。近隣府県では大型筐体を製作できる業者が少なく、これまで既存取引先からの製造依頼はあったものの受注に至っていなかった。今後は本事業の成果を生かし、大型筐体の受注に向けて積極的に営業活動を展開していく。

業種と困りごとが近い成果事例

大阪府製造業平成25年度

ねじ寸法自動計測システムの試作開発

平成25年度ものづくり補助金を活用し、人手に依存せず検査精度と生産性を向上させる「ねじ寸法自動計測システム」を試作開発した。

効果:計測面の焦点深度 2mm→5mm

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成29年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。