ものづくり補助金平成29年度製造業京都府

革新的新加工方法開発による超硬合金金型の長寿命・低コスト・短納期化事業

有限会社エス・エヌテック

成果加工工具代 16,020円→8,500円

この事例のポイント

  • 大型フォーマー用金型は社内設備では十分な品質の製品を加工できず、顧客の要求に応えられなかった。
  • 超剛性かつ簡便な操作性を備えたCNC旋盤を導入し、超硬合金を加工する新たな方法を開発した。
  • 加工工具代 16,020円→8,500円。CNC旋盤の導入で加工工具代は47%、加工時間は80%削減された。

事業者のプロフィール

事業者名有限会社エス・エヌテック
所在地京都府 京都府久世郡久御山町
業種生産用機械器具製造業
技術分野精密加工
従業員数12人
資本金3,000万円
設立2002年

事業の背景

当社は2002年に京都で創業し、冷間鍛造用金型の設計と製作に特化して事業を展開してきた。主要製品は超硬合金と鋼材を焼き嵌めた金型(ダイス)で、売上の75%を自動車部品関連金型が占めており、自動車業界が最大の市場である。世界の自動車販売台数は2030年には1億2000万台に迫ると予測されており、EV化の流れもあって自動車業界は今後も市場の拡大が見込まれている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力大型フォーマー用金型は社内設備では十分な品質の製品を加工できず、顧客の要求に応えられなかった。
  • 生産能力内径部異形状ダイスは当社の設備では製作できない状態だった。
  • 納期・工程自動車の試作から量産までの期間が短くなっており、短納期化のニーズが高まっていた。

やったこと

超剛性かつ簡便な操作性を備えたCNC旋盤を導入し、超硬合金を加工する新たな方法を開発した。超硬合金を加工するにはダイヤモンド刃が必要だが市販品がないため、当社で刃を設計し、ダイヤモンド製品加工会社に依頼して特注刃を製作した。ワイヤ放電加工機では、アプローチ跡を最小にするため複数の進入角度を試して最適角度を決定し、寸法と面粗度を狙い通りにするため、鏡面状態に仕上げられる最適ワイヤカット回数を実験の繰り返しで定めた。大型フォーマー用金型を製作できるCNC旋盤と、内径部異形状ダイスを製作するためのワイヤ放電加工機を導入し、若手技術者を各メーカーに派遣してメーカー技術者の指導を受けながら超硬合金加工の条件を標準化した。

加工機CNC旋盤
加工機ワイヤ放電加工機

事業の効果

  • 加工工具代 16,020円→8,500円
  • 加工時間 10時間→2時間
  • 金型製作費 25,000円→16,500円

CNC旋盤の導入で加工工具代は47%、加工時間は80%削減された。ワイヤ放電加工機の導入で金型の内製化が進み、金型製作費は33%削減された。既存の形彫り放電加工とワイヤ放電加工を自社内で一貫して行えるようになり、顧客の緊急要請にも翌日納品で応えるスピード対応が可能になった。大型フォーマー用金型と内径部異形状ダイスを製作できる基盤ができ、若手技術者が加工ノウハウを習得して将来の競争優位性につながることが期待されている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.2 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    創業以来の冷間鍛造用金型の設計・製作に特化した事業を継続しており、一貫性は読み取れるが、経営戦略上の位置付けの記述は具体性が薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    自動車販売台数の増加や大型フォーマー用金型・内径部異形状ダイスの需要増に対し、旋盤ノウハウを活かした自社設計で対応する強みが書かれている。

  • 課題の認識と解決4

    社内設備では大型金型が製作できないという課題を認識し、CNC旋盤とワイヤ放電加工機の導入で超硬合金金型の長寿命・低コスト・短納期化を図る計画が書かれている。

事業の実現可能性68%
  • 付加価値・賃上げの目標5

    加工工具代47%減、加工時間80%減、金型製作費33%減など、数字つきの目標と成果が示されている。

  • 事業を進める体制4

    若手技術者を各メーカーに派遣し指導を受けて取り組んだ体制と、従業員12人の規模が書かれている。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    大型フォーマー用金型や内径部異形状ダイスへのニーズと翌日納品体制は書かれているが、顧客ターゲットの整理は具体性が薄い。

  • 事業化までの道筋4

    ワイヤカット回数の実験による最適化、ダイヤモンド刃の自社設計と特注製作など、課題と解決方法が具体的に書かれている。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    超硬合金の大型ダイスや内径部異形状ダイスを高精度に製作する高付加価値の分野であることが書かれている。

公的補助の必要性60%
  • 波及効果・雇用3

    自動車産業の市場拡大や電気自動車の増加に触れているが、波及効果や雇用創出への言及は乏しい。

  • 費用対効果4

    補助事業のコスト削減効果が工具代・加工時間・金型製作費の数字で示され、費用対効果の根拠がある。

  • イノベーションへの貢献2

    ワイヤ放電と形彫り放電を組み合わせた技術は読み取れるが、サプライチェーン全体への貢献は書かれていない。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    医薬品等の従来とは異なる分野への進出を今後の展開として述べているが、構造転換への言及は弱い。

  • 地域経済への波及2

    京都府久御山町への移転と地域の記載はあるが、地域の特性を活かした経済成長への言及は乏しい。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

今回獲得した加工技術、金型加工ノウハウ、スピード感のある対応力を武器に、医薬品等の従来とは異なる分野や業界に進出し、さらなる発展を目指している。

事業者の声

手を抜かず、心をこめて作れば、製品に魂が乗り移る

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成29年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。