ものづくり補助金平成29年度製造業兵庫県

灰干しノドグロの本格販売体制構築に向けた新生産方式開発

株式会社魚寄

成果灰干し工程の時間 12時間→6時間

この事例のポイント

  • 従来の卸売り主体の事業から高付加価値事業への本格転換が求められていた。
  • 浜坂産のノドグロを特殊なフィルムと灰にはさんで干す灰干しを新たに開発し、必要な許可を取得して手作業での加工業務を開始した。
  • 灰干し工程の時間 12時間→6時間。灰干し工程を大幅に短縮し、乾燥機を夜間まで稼働させる製造工程を構築したことで生産量が大幅に増加した。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社魚寄
所在地兵庫県 新温泉町
業種食料品製造業
技術分野製造環境,製造環境
従業員数9人
資本金100万円
設立2010年

事業の背景

当社は創業以来カニを主体とした水産品の卸売りを行ってきた。近年近隣で出荷されるカニの1杯あたりのサイズが縮小傾向にあり、出荷量は減少していないものの、従来出荷していないサイズまで漁の対象になっているとのことだった。今後漁獲量の減少が想定され、少子高齢化もあって水産物市場は今後大幅に縮小するのではないかという危機感を持っていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力従来の卸売り主体の事業から高付加価値事業への本格転換が求められていた。
  • 生産能力灰干しの工程で塩水漬け後の熟成に約12時間かかり、生産性が低いことが問題だった。
  • 集客・繁閑近隣で出荷されるカニのサイズが縮小し、今後漁獲量の減少が想定されていた。

やったこと

浜坂産のノドグロを特殊なフィルムと灰にはさんで干す灰干しを新たに開発し、必要な許可を取得して手作業での加工業務を開始した。灰干し工程の熟成には、ツイン除湿方式を有する特殊冷風乾燥機を1台導入した。従来は冷蔵庫で12時間かけて行っていた灰干し工程を半分の6時間で実施できるようになった。開き、洗い、塩水漬けなどの味の決め手となる工程は引き続き手作業で行い、おいしさを維持している。乾燥機の稼働を日中と退勤後の夜間のほぼ一日中に広げ、生産量を大幅に増やす製造工程を構築した。

加工機特殊冷風乾燥機(ツイン除湿方式)

新しい製品・サービス:浜坂産ノドグロの灰干し(急速冷凍して冷凍流通させる商品)

事業の効果

  • 灰干し工程の時間 12時間→6時間

灰干し工程を大幅に短縮し、乾燥機を夜間まで稼働させる製造工程を構築したことで生産量が大幅に増加した。加工時間が短くなったため試作品が作りやすくなり、新商品開発や味の改善がしやすくなった。手作業で行う味の決め手の工程は維持され、品質と生産性の両方が向上した。冷凍流通により保存性と簡便性を実現し、摂取量を増やしたい消費者のニーズに応えられるようになった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.0 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性80%
  • これまでの取組との一貫性3

    従来の卸売り主体から高付加価値事業への本格転換を掲げ、カニ卸とノドグロ灰干し加工の展開は読み取れるが、経営戦略上の位置付けの詳細は薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    浜坂漁港の仲買人資格や漁獲サイズ縮小、市場縮小の見込みに触れ、自社の仕入れ経験を強みとして活かす構図が具体的に読み取れる。

  • 課題の認識と解決5

    灰干し工程12時間を半分の6時間に短縮し、1台の乾燥機で生産量を大幅増させるなど、課題と解決策が数字つきで明確に示されている。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    工程時間12時間から6時間への半減や生産量倍増の目標が示されるが、付加価値額や賃上げの目標値は書かれていない。

  • 事業を進める体制2

    従業員9人で手作業加工を行うと書かれるが、補助事業の遂行体制や事務処理能力については記載がほぼない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    急速冷凍による鮮度保持、解凍不要で焼くだけの簡便さ、簡単に食べたいという消費ニーズへの適合が具体的に書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    乾燥機導入後の稼働を日中と夜間のほぼ一日中とする工程見直しが示されるが、スケジュールや課題解決の方法の詳細は薄い。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    灰干しは冷蔵流通が一般的だが、急速冷凍で流通させる新商品として、同分野で高付加価値化を図る取組が読み取れる。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用2

    水産物市場の縮小や漁獲量減少が想定されると述べるが、経済波及や雇用創出など国が補助する理由までは書かれていない。

  • 費用対効果3

    生産量の大幅増と1台の設備の最大活用が書かれるが、補助金投入額に対する付加価値増加の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献2

    特殊冷風乾燥機の導入と急速冷凍流通は示されるが、デジタル技術の活用やサプライチェーンへの貢献は読み取れない。

政策面50%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及4

    浜坂産ノドグロや近隣漁港の未注目魚を地元で加工し流通させる計画が書かれ、地域特性を活かした事業であることが読み取れる。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

生産量を倍増させ、旅館・料亭・道の駅などのBtoB需要に応える。簡単で食べやすい鮮魚加工品を提供して魚離れの解消に貢献する。地元でしか消費されていない様々な魚の流通を目指す。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成29年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。