ものづくり補助金平成29年度医療、福祉奈良県

CAD/CAMシステム導入による強度と審美性に優れた歯科技工物の提供

この事例のポイント

  • 既存の設備ではパテを塗り重ねるような加工しかできず、強度の高い素材を加工できなかった。
  • ミリングマシン(Aadvaハーモニー WET、株式会社ジーシー)を導入し、歯科補てつ物をプログラムで自動加工できる体制を整えた。
  • システム導入により、強度と審美性に優れたCAD/CAM冠ハイブリッドレジン等を新たに提案できるようになり、保険適用可能な歯科技工物のラインナップが広がった。

事業者のプロフィール

所在地奈良県 奈良県北葛城郡河合町
業種医療業
技術分野材料製造プロセス
設立2002年

事業の背景

当社は平成14年創業の歯科技工所で、保険診療・自費診療のクラウン系やデンチャー系など幅広い歯科技工を手がけている。銀歯のような金属素材より、白色に近い審美性の高いプラスチック系の素材が好まれる傾向にあり、国も材料が高騰している金属の歯に対してプラスチック製を薦めている。CAD/CAM冠ハイブリッドレジンの保険適用により市場が拡大し、取引歯科医院からの引き合いが増えていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力既存の設備ではパテを塗り重ねるような加工しかできず、強度の高い素材を加工できなかった。
  • コスト・採算強度の高い素材を加工する設備は高額で資金的なハードルが高く、設備投資に踏み込めなかった。
  • 新製品・新技術取引歯科医院からCAD/CAM冠ハイブリッドレジンの引き合いがあったが、対応できず提案できなかった。

やったこと

ミリングマシン(Aadvaハーモニー WET、株式会社ジーシー)を導入し、歯科補てつ物をプログラムで自動加工できる体制を整えた。デンタルスキャナ(Aadva スキャンE3、株式会社ジーシー)を導入し、模型をカメラでスキャニングしてデータ化できるようにした。ジルコニアの焼成には、ノリタケ製の焼成機を採用した。通常は9時間かかるジルコニア焼成を45分で行えるようにし、短納期を実現した。

加工機ミリングマシン(Aadvaハーモニー WET、株式会社ジーシー)
検査測定デンタルスキャナ(Aadva スキャンE3、株式会社ジーシー)
加工機ノリタケ製ジルコニア焼成機

新しい製品・サービス:強度と審美性に優れたCAD/CAM冠ハイブリッドレジン等の歯科技工物

事業の効果

システム導入により、強度と審美性に優れたCAD/CAM冠ハイブリッドレジン等を新たに提案できるようになり、保険適用可能な歯科技工物のラインナップが広がった。金属を使わないメタルフリーにより、患者の口腔内環境の改善にもつながった。作業工程のシステム化により粉塵やガスによる健康障害を解消し、作業環境も向上した。新たな取引先も増え、業務の拡充に結びついた。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.0 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    創業以来の歯科技工業務を背景に、CAD/CAM設備導入を取引先からの引き合いへの対応として位置づけている。経営戦略上の明確な位置付けは薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    保険適用CAD/CAM冠ハイブリッドレジンへの市場拡大と取引歯科医院からの引き合いを踏まえ、既存設備の限界を課題として示している。

  • 課題の認識と解決4

    既存設備ではパテ塗り重ねの加工しかできなかったという課題を示し、新設備で強度と審美性の高い素材を提案できるようにしている。

事業の実現可能性60%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    付加価値額や賃上げの具体的な目標値は示されておらず、わずかに業務拡充への効果がうかがえるのみである。

  • 事業を進める体制4

    創業以来約20年の技術の蓄積や、既存業務体制を基に事業を遂行できることが具体的に書かれている。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    強度と審美性に優れた白い歯、メタルフリーによる口腔内環境の改善など、製品価値と選ばれる理由が整理されている。

  • 事業化までの道筋3

    印象採得から石膏模型、スキャナ、ミリングへの工程の時短化など方向性は示されるが、スケジュールや解決方法は具体性が薄い。

  • 財務と資金の調達2

    設備が高額で資金的なハードルが高かったと書かれているが、財務状況や資金調達の見込みは具体的に示されていない。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    CAD/CAM冠ハイブリッドレジンの保険適用で市場が拡大していると述べ、高付加価値の素材加工に踏み込んでいる。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用2

    銀歯から白い歯への期待や材料高騰、国のプラスチック製推奨に触れるが、波及効果や雇用創出への言及はわずかである。

  • 費用対効果3

    焼成時間が9時間から45分になったという数字はあるが、補助金額に対する付加価値増加や費用対効果は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献3

    デジタル印象採得装置との連携やデジタル化による工程の再構築を示すが、地域やサプライチェーンへの貢献は明示されていない。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    CAD/CAMによる歯科技工のデジタル化という方向性はわずかにうかがえるが、日本経済の構造転換への言及は乏しい。

  • 地域経済への波及2

    奈良県北葛城郡の事業所であることは書かれているが、地域特性を活かした雇用や経済成長への言及はほぼない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

歯科医院内でデジタル印象採得した画像を当社システムで再現することで、患者は印象採得の苦痛から解放される。印象採得から石膏模型、読み込み、スキャナ、ミリングマシンへと続く従来の工程を大幅に時短できる。作業工程の無駄をそぎ落とした先に、未来につながる歯科技工の姿を実現することを目指している。

  • 目標:ジルコニア焼成時間 540分→45分

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成29年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。