聴覚障がい者の採用と口腔内スキャナー等を活用した生産体制の改革

千葉県の医療・福祉分野で歯科技工物を製作する会社が、ものづくり補助金で製作のデジタル化を進め、聴覚障がい者の採用につなげた採択事例です。

アドバンス柏株式会社

この事例のポイント

  • 歯科技工士の減少・高齢化と離職率の高さが業界の課題となっていました。
  • 歯科技工物製作のデジタル化を実現するため、生産レイアウトを再設計し、CADソフトや3Dプリンター等の最新デジタル機器を導入しました。
  • 歯科技工物製作のデジタル化と人員配置の適正化により、計画前と比べて技工物製作時間の短縮など生産性の向上を確認しました。

事業者のプロフィール

事業者名アドバンス柏株式会社
所在地千葉県 千葉県柏市
業種医療業
従業員数20人
資本金300万円
設立2011年

事業の背景

当社は歯科技工物の製造販売と歯科技工業を営んでおり、蓄積した伝統の歯科技工技術・ノウハウを活かしながら新しい技術・技能の開発に挑戦していました。当業界は歯科技工士の減少・高齢化と離職率の高さ、歯科技工物の多様化といった課題を抱えています。

一方で、高齢者増に伴い歯科技工物の需要拡大が見込まれています。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 人手・技能歯科技工士の減少・高齢化と離職率の高さが業界の課題となっていました。
  • 新製品・新技術歯科技工物の多様化が進み、デジタル化する新しい歯科医療ニーズに素早く対応する必要がありました。
  • 生産能力高齢者増に伴う歯科技工物の需要拡大が見込まれる中で、生産体制を革新し生産性を高める必要がありました。

やったこと

歯科技工物製作のデジタル化を実現するため、生産レイアウトを再設計し、CADソフトや3Dプリンター等の最新デジタル機器を導入しました。導入作業は設備導入トレーニングを含めて計画どおり実施しました。

2021年4月から若手の聴覚障がい者の採用を開始し、現在2名の歯科技工士が在籍しています。最新設備の使い方は字幕編集した動画マニュアルを活用するなど、人員配置の工夫を含めて2人が活躍できる職場環境づくりを推進しました。

生産性向上と労働環境の安定化の成果を踏まえ、働き方改革も推進しました。

補助金で入れた設備

経費の区分は「機械装置・システム構築費」です。

事業の効果

歯科技工物製作のデジタル化と人員配置の適正化により、計画前と比べて技工物製作時間の短縮など生産性の向上を確認しました。品質の安定化、短納期の実現、製作コストの削減といった成果も得ました。

労働環境が安定し、より働きやすい職場環境を実現したことで、聴覚障がい者の採用と活用につながりました。

出た効果の種類(押すと同じ効果の事例へ)

審査の観点ごとの評価

新事業進出・ものづくり補助金

観点の平均3.0 / 5

この事例が強かった観点

  • 4
    課題の認識と解決歯科技工士の減少・離職率の高さという課題に対し、デジタル機器導入と聴覚障がい者2名の採用で対応し、技工物製作時間の短縮を確認している。
  • 4
    新しさ・高付加価値デジタル歯科技工という分野で、3DプリンターやCADを活用した生産体制を構築し、医療のデジタル化に対応した新たな強みを付加している。
  • 4
    波及効果・雇用技工士の減少・高齢化という業界課題に対し、聴覚障がい者の雇用創出と、歯科技工士の養成校卒業生の活躍の場を生んでいる。

もう一歩だった観点

  • 2
    付加価値・賃上げの目標生産性向上と賃上げに関する目標値の記載が見当たらず、技工物製作時間の短縮を確認したとあるのみで数値目標が薄い。
経営戦略との整合性3.3
  • これまでの取組との一貫性3

    歯科技工の蓄積した技術・ノウハウを活かし、デジタル化への対応を経営理念に沿って進める流れが書かれ、過去の取組との一貫性がある。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    高齢者増による需要拡大と、千葉県内唯一の養成校出身者を採用する強みを踏まえ、受注拡大と収益性向上を図る方向が示されている。

  • 課題の認識と解決4

    歯科技工士の減少・離職率の高さという課題に対し、デジタル機器導入と聴覚障がい者2名の採用で対応し、技工物製作時間の短縮を確認している。

事業の実現可能性2.6
  • 付加価値・賃上げの目標2

    生産性向上と賃上げに関する目標値の記載が見当たらず、技工物製作時間の短縮を確認したとあるのみで数値目標が薄い。

  • 事業を進める体制3

    従業員20人の体制で、導入作業をトレーニング含め計画通り実施し、字幕編集動画マニュアルなど人員配置の工夫を行っている。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    歯科医療のデジタル化ニーズに対応し、品質安定・短納期・コスト削減を顧客の満足につなげる方針が書かれている。

  • 事業化までの道筋2

    今後の展望は述べられているが、中長期の課題検証やスケジュール、課題解決の方法の具体的な記載が乏しい。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    デジタル歯科技工という分野で、3DプリンターやCADを活用した生産体制を構築し、医療のデジタル化に対応した新たな強みを付加している。

公的補助の必要性3.3
  • 波及効果・雇用4

    技工士の減少・高齢化という業界課題に対し、聴覚障がい者の雇用創出と、歯科技工士の養成校卒業生の活躍の場を生んでいる。

  • 費用対効果2

    費用対効果を示す付加価値額や投資額との比率の記載がなく、コスト削減の成果を触れるに留まる。

  • イノベーションへの貢献4

    口腔内スキャナー・CADなどのデジタル技術を活用し、聴覚障がい者が働ける環境を整えた取組は、業界の新しい生産モデルとして示せる。

政策面2.5
  • 成長分野への進出3

    高齢化に伴う歯科技工物需要の拡大に対応し、デジタル化による生産体制の革新で医療分野の成長に資する取組となっている。

  • 地域経済への波及2

    地域の特性を活かした付加価値創出や地域経済への波及についての記述は薄く、雇用は当社内に限られている。

今後の展望

生産体制の革新・強化を推進し、競争優位性を高めることで受注の拡大と収益性の向上を図っていきたいと考えています。より働きやすい職場環境づくりを目指し、今後の事業拡大に向けて技術人材の育成も図っていく所存です。

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出典・注記
  • 出典:公式の事例集(令和元年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文からAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 審査の観点:公募要領 p.44(審査項目)
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。