ものづくり補助金平成29年度製造業奈良県

ITを活用した顧客接点の強化による製品開発と販売促進の構築

有限会社巽繊維工業所

この事例のポイント

  • OEM依存の事業形態では、海外工場との競争が激化し、事業存続が危ぶまれていた。
  • 製造業者への共同開発を打診し、販売協力先や製造協力業者と組んでオリジナル新製品の試作開発を行った。
  • 試作品で事業化・製品化の目処が立ち、共同開発を継続するための前例実績を得た。

事業者のプロフィール

事業者名有限会社巽繊維工業所
所在地奈良県 橿原市
業種繊維工業
技術分野デザイン,情報処理
設立1928年

事業の背景

奈良県の靴下産業は国内最大級の産地で、2016年時点で国内生産規模の約35%(ソックス限定では63%)を占める。生産形態は主にメーカーOEMだが、原材料・製造コストの高騰から海外生産へ移るメーカーも多く、価格競争や得意先の争奪戦が激化した。後継者不足も重なり、現在の事業者数は最盛期の約10分の1に減少している。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力OEM依存の事業形態では、海外工場との競争が激化し、事業存続が危ぶまれていた。
  • 集客・繁閑製造事業者は、最終顧客である消費者と直接やり取りできる体制がなく、低価格競争からの脱却が必要だった。
  • 集客・繁閑消費者ニーズや情報を把握する手段が不足していた。

やったこと

製造業者への共同開発を打診し、販売協力先や製造協力業者と組んでオリジナル新製品の試作開発を行った。OEM発注元が保持していた価格決定権などのイニシアチブを製造業者へ戻すことを目的とした。並行して、試作品の試着モニターなどで消費者の生の声を聞き、要望を受ける情報取得窓口の構築のためCTIの導入を計画し、顧客情報などのセキュリティ強化としてUTMを導入した。CTIは設備的な問題があり未導入だが、UTMは導入済みである。奈良に縁のある縁起物を刺繍した新ブランド「ならまき」の製品を開発し、クラウドファンディングで発表した。

ソフトUTM

新しい製品・サービス:奈良発の新ブランド「ならまき」(奈良に縁のある縁起物を刺繍した腹巻)

事業の効果

試作品で事業化・製品化の目処が立ち、共同開発を継続するための前例実績を得た。クラウドファンディングで製品発表を行ったところ想定以上の反響があり、Webやセレクトショップなどでの取扱いを開始した。消費者の声を集める体制の構築は、CTIが未導入のため途中段階にある。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性80%
  • これまでの取組との一貫性4

    昭和3年の漁網撚糸業に始まり、OEMから自社ブランドへ移行した経緯が事業の流れとして一貫して示されている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    国内生産規模の約35%、ソックス限定で63%を占める産地という数字を挙げ、自社の強みと海外競争の状況を示している。

  • 課題の認識と解決4

    OEM依存による低価格競争や事業者数が最盛期の約10分の1に減ったことを挙げ、課題を具体的に認識している。

事業の実現可能性44%
  • 付加価値・賃上げの目標1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 事業を進める体制2

    後継者不足や設備的な問題に触れるのみで、補助事業を遂行する人材や事務体制はうかがえない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    お家時間が増えた女性をターゲットに、自衛隊御用達の丈夫さや奈良の縁起物デザインという選ばれる理由が示されている。

  • 事業化までの道筋3

    2020年頃の展開予定がコロナ禍で頓挫したこと、今後の消費者意見収集の模索など、時系列で課題と対応が書かれている。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    当時注目されていなかった5本指靴下に着目し、自社製品として展開した経緯が示され、新市場性がうかがえる。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用3

    奈良県靴下産業の国内最大級の産地としての位置づけが示されるが、国が補助する積極的理由は書かれていない。

  • 費用対効果1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • イノベーションへの貢献3

    CTIやUTMの導入計画を示し、消費者と直接やり取りする体制づくりを図るが、イノベーションの広がりは具体的に書かれていない。

政策面70%
  • 成長分野への進出3

    健康・福祉・環境など6分野への展開を示すが、市場成長分野への進出が日本経済の構造転換に資するかは不明。

  • 地域経済への波及4

    奈良に縁のある縁起物を刺繍した「ならまき」など、地域の特性を活かした製品開発と地場産業の位置づけが示されている。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

次代の柱として、今後も注力していくブランドと位置づけている。消費者の意見の収集方法を模索しながら、体制構築を継続していく。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成29年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。