ものづくり補助金平成29年度製造業和歌山県

デジタルジャガード設備導入による電車シート用高級パイル織物の品位向上及び生産性向上計画

米阪パイル織物株式会社

成果柄変更の紋紙セット作業時間 120分→10分

この事例のポイント

  • 柄を設定する紋紙は外注委託のため製作に数日を要していた。
  • パイル織機の柄を制御するジャガード装置を、紋紙を用いた穿孔式柄制御方式から電子ジャガードを用いたデジタル式柄制御方式に移行した。
  • 柄変更の紋紙セット作業時間 120分→10分。柄の生成はデジタルデータで即時にアウトプットでき、柄の修正もデジタル化により容易になった。

事業者のプロフィール

事業者名米阪パイル織物株式会社
所在地和歌山県 橋本市
業種繊維工業
技術分野デザイン,デザイン,機械制御,機械制御,製造環境,製造環境
従業員数30人
資本金4,000万円
設立1962年

事業の背景

電車用シート地は一度張ると5〜8年は張り替えないため、耐久性と経年劣化しにくい強度が求められ、鉄道法で定められた厳しい基準もクリアする必要がある。同社は新幹線N700系のグリーン車シートにも採用され、電車用シートでマーケットシェア上位に位置する。一方、インバウンド景気やイベント列車の影響で電車の観光化が進み、車内装飾としての電車用シートに多種多様な柄が求められ、色柄が今後さらに増えると予想されている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 納期・工程柄を設定する紋紙は外注委託のため製作に数日を要していた。
  • 新製品・新技術紋紙ではデザイン設定に限界があった。
  • その他紋紙の保管スペースの問題があった。
  • 新製品・新技術シート地の要求品位が高度化・多様化し、開発の強化が求められていた。

やったこと

パイル織機の柄を制御するジャガード装置を、紋紙を用いた穿孔式柄制御方式から電子ジャガードを用いたデジタル式柄制御方式に移行した。そのために電子ジャガード装置を導入し、柄パターンをスキャナーなどで読み取ってデジタル化し、そのデジタル化した柄パターンでパイル糸の動きを制御するようにした。また、織機とジャガード部分をつなぐハーネスを購入した。

加工機電子ジャガード装置
その他ハーネス(織機とジャガード部分をつなぐもの)

事業の効果

  • 柄変更の紋紙セット作業時間 120分→10分

柄の生成はデジタルデータで即時にアウトプットでき、柄の修正もデジタル化により容易になった。柄の再現性が上がり、製織前に確認できるため確認作業が短縮された。柄の不具合による生地不良が解消され、品位が向上した。段取り替えの短縮や柄再現の多様化、新規開発への対応が円滑になり、織機も紋紙破損対策が不要になって回転数が10〜15%アップした。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.7 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    電車用シート地で鉄道法基準や新幹線N700系グリーン車採用など製織技術の蓄積が書かれ、一貫性はうかがえるが、経営戦略上の位置付けは明記されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    電車の観光化や多種多様な柄要求という外部環境と、マーケットシェア上位という強みが書かれているが、競争優位の論理は具体的に示されていない。

  • 課題の認識と解決4

    紋紙の外注に数日、柄変更に約2時間かかる課題を認識し、電子ジャガード導入で約10分に短縮すると具体的に書かれている。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    段取り時間2時間から約10分、回転数10〜15%アップと数値目標的な成果は書かれるが、付加価値額や賃上げの目標値は書かれていない。

  • 事業を進める体制2

    導入や作業改善の主体は書かれているが、補助事業を遂行する人材や事務処理体制についての記述は見当たらない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    顧客ターゲットは電車用シートの製造先、要求される多種多様な柄とマーケットシェア上位という選ばれる理由が整理されている。

  • 事業化までの道筋3

    導入、成果確認、今後の新商品開発という流れは書かれているが、スケジュールや中長期の課題解決方法は具体的でない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    紋紙から電子ジャガードへの転換で繊細な柄表現と品位向上を実現し、電車用シートで高水準の高付加価値化を図る点が読み取れる。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用2

    電車の観光化やインバウンドの影響に触れるが、雇用創出や波及効果など国が補助する積極的理由は書かれていない。

  • 費用対効果3

    段取り替え短縮や回転数10〜15%アップ、不良解消など効果は示されるが、補助金額に対する付加価値増加の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献2

    柄制御のデジタル化とデータ即時出力は書かれるが、地域やサプライチェーンへの貢献は記述がない。

政策面40%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及3

    高野口地域のパイルファブリック産地での製造と書かれているが、地域経済の成長や雇用への波及は具体的に書かれていない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

電車用シート地の新たな可能性を模索しており、クラウドファンディングを活用した商品開発にも積極的に取り組んでいる。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成29年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。