ものづくり補助金平成29年度製造業和歌山県

CADCAMシステム導入による企画提案力強化と生産性向上

有限会社オランジェ

成果CADによる自動マーキングで歩留まりが約10%改善した。

この事例のポイント

  • 小ロットでのパターン設計や裁断工程の負担が大きく、このままでは高収益案件の増加に対応するボトルネックになる。
  • 高収益案件に対応するため、CADシステム「NEW APEX3」と、CADと連動した自動裁断機「P-CAM 182S」を導入した。
  • CADによる自動マーキングで歩留まりが約10%改善した。データ共有により確認から型紙出力、裁断までの時間が短縮され、型紙運送にかかっていた日数も解消された。

事業者のプロフィール

事業者名有限会社オランジェ
所在地和歌山県 和歌山市
業種繊維工業
技術分野デザイン,精密加工,製造環境
従業員数18人
資本金1,000万円
設立1990年

事業の背景

和歌山市のアパレル製品を生産・販売する縫製工場で、各工程に数十年の経験を持つ職人を配置して高い技術力で経営を続けてきた。海外の人件費高騰や円安、地産地消意識の高まりから生産を国内回帰する傾向にある。同社は納期に合わせた生産から自社検品までを高い技術力と提案力で差別化し、高収益案件の受注が増えていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力小ロットでのパターン設計や裁断工程の負担が大きく、このままでは高収益案件の増加に対応するボトルネックになる。
  • 人手・技能現場の課題解決の必要性が増し、自社でパターン設計を引き受ける必要性も高まっていた。

やったこと

高収益案件に対応するため、CADシステム「NEW APEX3」と、CADと連動した自動裁断機「P-CAM 182S」を導入した。これまでパタンナーが郵送していたアナログの型紙を、データによるやり取りに変えた。大型デジタイザーやグレーディング機能を使い、パターン設計と企画提案をデータ上で行えるようにした。裁断工程では型紙が不要になり、データから高精度で自動裁断できるようにした。

事業の効果

  • CADによる自動マーキングで歩留まりが約10%改善した。
  • 裁断精度の向上により縫製工程の効率が最低20%以上アップした。
  • 型紙の運送で数日かかっていたサンプル修正のリードタイムが解消された。

データ共有により確認から型紙出力、裁断までの時間が短縮され、型紙運送にかかっていた日数も解消された。全サイズのパターンをデータ保存でき、紛失型紙やリピート品番にも即時対応できるようになった。自動マーキングで歩留まりが改善し、0.1mm単位の数値制御により裁断精度が上がって縫製工程の効率も大きく向上した。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均3.2 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 4
    強み・弱みを踏まえた優位性国内回帰や高収益案件の増加、差別化要請が書かれ、職人技術と提案力という強みを踏まえた投資であることが読み取れる。
  • 4
    課題の認識と解決小ロットのパターン設計や裁断工程がボトルネックと課題が明記され、CAD・自動裁断で解決する計画になっている。
  • 4
    付加価値・賃上げの目標リードタイム短縮や歩留まり約10%改善、縫製効率最低20%以上向上など数値目標が示されている。

伸びしろがあった観点

  • 2
    新しさ・高付加価値マスクや高品質な国産ブランド品に触れるが、分野の普及度や高価格化の水準については記載がない。
経営戦略との整合性3.7
  • これまでの取組との一貫性3

    数十年の職人配置と国産回帰の流れを背景に、CAD・自動裁断導入で差別化を図る方針が読み取れるが、経営戦略上の位置付けは明示されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    国内回帰や高収益案件の増加、差別化要請が書かれ、職人技術と提案力という強みを踏まえた投資であることが読み取れる。

  • 課題の認識と解決4

    小ロットのパターン設計や裁断工程がボトルネックと課題が明記され、CAD・自動裁断で解決する計画になっている。

事業の実現可能性3.6
  • 付加価値・賃上げの目標4

    リードタイム短縮や歩留まり約10%改善、縫製効率最低20%以上向上など数値目標が示されている。

  • 事業を進める体制4

    40代平均年齢の職人体制と、5~10年かかる縫製技術の人材育成計画が書かれている。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    自社の強みや高品質な国産ブランド向け受注が書かれるが、顧客ターゲットや選ばれる理由の整理は薄い。

  • 事業化までの道筋4

    裁断士の技術継承と長期計画での人材育成に触れ、導入後の課題と対応方針が示されている。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性2.0
  • 新しさ・高付加価値2

    マスクや高品質な国産ブランド品に触れるが、分野の普及度や高価格化の水準については記載がない。

公的補助の必要性3.0
  • 波及効果・雇用2

    国内回帰や地産地消の流れに触れるが、波及効果や雇用創出など国が補助する理由は明示されていない。

  • 費用対効果4

    リードタイム短縮、歩留まり約10%改善、効率20%以上向上など、投資に対する効果が数値で示されている。

  • イノベーションへの貢献3

    CADと自動裁断機の連動によるデータ共有で、サプライチェーンの効率化に寄与する方向性がうかがえる。

政策面2.5
  • 成長分野への進出2

    国内回帰という産業構造の変化に触れるが、構造転換への貢献は明確に述べられていない。

  • 地域経済への波及3

    和歌山市内の地元企業として地域ブランドを発信する点が書かれ、地域特性を活かした取組がうかがえる。

今後の展望

縫製技術は一朝一夕では身につかず5〜10年を要するため、長期計画で人材育成に力を入れ、営業拡大と並行して養成を進める。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成29年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。