ものづくり補助金平成29年度製造業山口県

IoTを活用した菌床工場の開発及び菌床販売の事業化

株式会社サンピット

この事例のポイント

  • 菌床の購入コストや夏場の高温障害による歩留まりの悪化で、人件費や再投資に必要な利益を確保することが難しかった。
  • 植菌メーカーからの提案を受け、山口・広島・岡山近辺の農家向けに菌床の製造を開始した。
  • 菌床の原料検査から出荷までを一貫して行う生産体制を整え、農家向けの菌床製造を開始した。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社サンピット
所在地山口県 平生町
業種食料品製造業
技術分野情報処理,バイオ
従業員数14人
資本金3,500万円
設立1967年

事業の背景

同社は山口県東部を中心に給油サービスをチェーン展開し、石油製品の卸・小売、新車・中古車販売・買取、損害保険なども手がけている。少子高齢化や人口減少、カーボンニュートラルに向けたガソリン車需要の減少により、主力の燃料販売は変化の時代を迎えていた。そこで2014年にエコファーム事業部を立ち上げて農業へ参入し、当初は乾燥キクラゲを生産したが、ハウス栽培では菌床購入コストや夏場の高温障害による歩留まりの悪化などから利益の確保が厳しかった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • コスト・採算菌床の購入コストや夏場の高温障害による歩留まりの悪化で、人件費や再投資に必要な利益を確保することが難しかった。
  • 品質・精度購入した菌床ブロックでは発芽不良や生育不良も起きていた。
  • その他主力の燃料販売は、少子高齢化や人口減少、カーボンニュートラルに向けたガソリン車需要の減少などで変化の時代を迎えていた。

やったこと

植菌メーカーからの提案を受け、山口・広島・岡山近辺の農家向けに菌床の製造を開始した。高温・高圧で殺菌する高圧殺菌釜を導入し、釜の稼働に必要な貫流ボイラーも導入した。高圧殺菌釜は中国地区で初導入となる菌床内部温度センサーを備え、常圧殺菌釜に比べてコストは3倍と高額だが、短時間かつ精度の高い殺菌処理を実現した。製造棟には薬品工場並みのクリーンルーム(補助金対象外)を備え、培養棟にはIoTを活用した24時間365日全自動環境管理システム(補助金対象外)を設置し、CO2・湿度・温度センサーで3カ月培養を管理している。原料検査から培地製造、殺菌、植え付け、培養、検査、包装、出荷までを一貫して行う菌床製造工場を立ち上げた。

  • その他高圧殺菌釜菌床内部温度センサー付き貫流ボイラー
  • ソフト全自動環境管理システムIoT活用
  • 検査測定CO2・湿度・温度センサー

新しい製品・サービス:大玉(2.5kg)の菌床(シイタケ・キクラゲ)

事業の効果

菌床の原料検査から出荷までを一貫して行う生産体制を整え、農家向けの菌床製造を開始した。高圧殺菌釜により短時間かつ精度の高い殺菌を実現し、競合他社があまり製造していない大玉(2.5kg)の菌床を製造できるようになった。IoTを活用した全自動環境管理システムにより管理コストを削減した。年間17万菌床(シイタケ・キクラゲ)を製造し、菌床製造は事業全体の約7割を占めるまでに成長して売上は順調に伸びている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均3.5 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 5
    課題の認識と解決歩留まり悪化や発芽不良という課題を挙げ、高圧殺菌釜の導入で解決を図り、生産能力を2倍にする数値目標がある。
  • 4
    これまでの取組との一貫性2014年にエコファーム事業部を立ち上げ、燃料販売の縮小を背景に農業へ参入した経緯が明記されている。
  • 4
    強み・弱みを踏まえた優位性少子高齢化やガソリン車需要減少を踏まえ、植菌メーカーの販売ルートや大玉2.5kg菌床という差別化を示している。

伸びしろがあった観点

  • 2
    費用対効果管理コストの削減が書かれているのみで、補助金額に対する付加価値増や費用対効果の数値は示されていない。
経営戦略との整合性4.3
  • これまでの取組との一貫性4

    2014年にエコファーム事業部を立ち上げ、燃料販売の縮小を背景に農業へ参入した経緯が明記されている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    少子高齢化やガソリン車需要減少を踏まえ、植菌メーカーの販売ルートや大玉2.5kg菌床という差別化を示している。

  • 課題の認識と解決5

    歩留まり悪化や発芽不良という課題を挙げ、高圧殺菌釜の導入で解決を図り、生産能力を2倍にする数値目標がある。

事業の実現可能性3.2
  • 付加価値・賃上げの目標3

    生産能力2倍という目標はあるが、付加価値額や賃上げの目標値は示されておらず、実現可能性の判断が難しい。

  • 事業を進める体制4

    植菌メーカーや日本きのこ研究所と連携し、従業員14名で工場運営に当たる体制が示されている。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    山口・広島・岡山の農家向けに菌床を供給する点は書かれているが、顧客の具体的なニーズの裏付けは薄い。

  • 事業化までの道筋3

    今後さらなる設備投資や効率化を行う予定とあるが、時期や具体的な手順は書かれていない。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    競合があまり製造していない大玉2.5kgの菌床を作り、常圧殺菌釜の3倍のコストを許容する高付加価値化を図っている。

公的補助の必要性3.0
  • 波及効果・雇用3

    農家の収入増や地域活性化への貢献は述べられているが、波及効果や雇用創出の数値は示されていない。

  • 費用対効果2

    管理コストの削減が書かれているのみで、補助金額に対する付加価値増や費用対効果の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献4

    IoTを活用した24時間365日の全自動環境管理システムを導入し、中国地区で初導入の殺菌釜も備えている。

政策面3.5
  • 成長分野への進出3

    燃料販売から農業へ事業転換する構造変化への対応は読み取れるが、市場成長の見通しは具体的に示されていない。

  • 地域経済への波及4

    山口県東部の地域に根ざし、中国地区の農家向けに菌床を供給して地域活性化に貢献する方針が示されている。

今後の展望

当初の計画通り菌床の1日の製造キャパシティを2倍にアップさせた。今後はさらなる設備投資を行い、効率化を図る予定である。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成29年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。