ものづくり補助金平成29年度製造業山口県

品質の劣る廃プラスチックから高品質なフィルムへのリサイクル

株式会社島津商会

この事例のポイント

  • 低品質の廃プラスチックは海外へ輸出して再生されることが多かったが、輸出規制で入荷が制限され、国内でもリサイクルできなければ産業廃棄物として処分されるしかなくなっていた。
  • 従来の設備では難しかった低品質の廃プラスチックを再資源化するため、連続式スクリーンチェンジャー付きのプラスチック再生機を導入した。
  • 低品質の廃プラスチックをペレット状の再生原料にして再資源化できるようになり、国内での資源循環に貢献できるようになった。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社島津商会
所在地山口県 山陽小野田市
業種プラスチック製品製造業(別掲を除く)
技術分野複合・新機能材料,材料製造プロセス
従業員数70人
資本金1,000万円

事業の背景

同社は廃プラスチックのリサイクルとポリエチレンフィルムの製造を2本柱として事業を展開し、工場から廃プラスチックを引き取って資材として提供する循環型ビジネスを行っている。従来、低品質の廃プラスチックは人件費の安い中国などに輸出されて再生処理されることが多かった。しかし環境問題の高まりを受けて入荷が制限され、日本からの輸出もできない状態になっている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • その他低品質の廃プラスチックは海外へ輸出して再生されることが多かったが、輸出規制で入荷が制限され、国内でもリサイクルできなければ産業廃棄物として処分されるしかなくなっていた。
  • 生産能力従来の再生機は大きな異物により スクリーンが頻繁に詰まり、交換のたびに再生機を停止する必要があって作業効率が非常に悪かった。
  • 品質・精度テープ等の物性の異なるプラスチックの付着や不要な添加剤の影響により、低品質の廃プラスチックは成形の難易度が高かった。

やったこと

従来の設備では難しかった低品質の廃プラスチックを再資源化するため、連続式スクリーンチェンジャー付きのプラスチック再生機を導入した。この機械により、機械を止めることなくスクリーン(網)を交換できるようになった。廃プラスチックを投入し、加熱・溶融、押し出し、スクリーン(網)を通して異物を除去、定形状にカットしてペレット化する新たな生産ラインを構築した。テープ等の物性の異なるプラスチックの付着や添加剤の影響には、フィルム製造時に多層構造の成形とすることで対応した。再生原料を内層に、通常の原料を外層として多層構造のフィルムを製造した。

  • 加工機連続式スクリーンチェンジャー付きプラスチック再生機廃プラスチック再生ライン加熱・溶融、押し出し、ペレット化設備

新しい製品・サービス:再生原料を内層に用いた多層構造のポリエチレンフィルム

事業の効果

低品質の廃プラスチックをペレット状の再生原料にして再資源化できるようになり、国内での資源循環に貢献できるようになった。導入した再生機で製造したペレットは、通常のポリエチレンと比べて密度やMIに極端な違いがなく、廃棄用フィルムとして十分な強度を保てた。再生原料を内層に用いた多層構造のフィルムは軽包装フィルムや廃棄用フィルムとして既に製造・販売しており、増産による販売量拡大が順調に進んでいる。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均3.0 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 4
    課題の認識と解決紙などの異物で網が詰まり再生機を止めていた課題を、連続式スクリーンチェンジャーで解決すると具体的に示している。
  • 4
    顧客とニーズの裏付け再生原料を内層に使った多層フィルムの製造を確認し、軽包装フィルムや廃棄用フィルムの用途を示している。
  • 4
    波及効果・雇用廃プラの国内循環と資源循環促進法への対応という社会的必要性が具体的に書かれ、国が支える理由が読み取れる。

伸びしろがあった観点

  • 2
    付加価値・賃上げの目標増産による販売量拡大が順調とあるが、付加価値額や賃上げの目標値は示されていない。
経営戦略との整合性3.3
  • これまでの取組との一貫性3

    2006年の東京営業所開設、2008年のISO14001取得、2012年の宮崎工場新設など過去の取組はあるが、本事業との関係づけは薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    輸出規制で低品質廃プラスチックが処理できない外部環境に触れ、自社はリサイクルとフィルム製造の二本柱を持つと書かれている。

  • 課題の認識と解決4

    紙などの異物で網が詰まり再生機を止めていた課題を、連続式スクリーンチェンジャーで解決すると具体的に示している。

事業の実現可能性3.0
  • 付加価値・賃上げの目標2

    増産による販売量拡大が順調とあるが、付加価値額や賃上げの目標値は示されていない。

  • 事業を進める体制3

    従業員数70名や創業以来の事業展開は書かれているが、補助事業の実施体制や担当の記述は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    再生原料を内層に使った多層フィルムの製造を確認し、軽包装フィルムや廃棄用フィルムの用途を示している。

  • 事業化までの道筋3

    今後は生分解性添加剤や植物由来原料の使用を検討すると書かれているが、スケジュールや解決方法は示されていない。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性3.0
  • 新しさ・高付加価値3

    低品質廃プラスチックからの高品質フィルム化は従来難しかったとあるが、市場の普及度についての記述は薄い。

公的補助の必要性3.0
  • 波及効果・雇用4

    廃プラの国内循環と資源循環促進法への対応という社会的必要性が具体的に書かれ、国が支える理由が読み取れる。

  • 費用対効果2

    補助金投入額や費用対効果の数字は示されておらず、増産による販売拡大が順調とあるのみ。

  • イノベーションへの貢献3

    異物除去の連続化やリサイクル原料の資源循環の仕組みは読み取れるが、先端的なデジタル技術の活用は書かれていない。

政策面2.5
  • 成長分野への進出3

    プラスチック資源循環促進法への対応と循環型社会の実現に資する事業と読めるが、構造転換への言及は薄い。

  • 地域経済への波及2

    山口県山陽小野田市の本社と地域での循環型ビジネスは書かれているが、地域の雇用創出への言及は乏しい。

今後の展望

今後は再生原料を主原料とし、生分解性のある添加剤、植物由来の原料、石灰石などを使用して、より付加価値の高いフィルムの製造も検討している。環境に配慮した経済活動により、持続可能な循環型社会の実現を目指す。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成29年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。