ものづくり補助金平成29年度製造業高知県

最新型しらす煮沸自動釜導入による商品付加価値の向上と視察型工場の実現

有限会社土佐角弘海産

成果煮沸釜の容量 1t→1.5t

この事例のポイント

  • シラスを茹でる煮沸釜が導入から12年経過し、老朽化が進んで品質低下や製造コスト増などの課題が生じていた。
  • 最新型のシラス用自動釜一式を導入した。
  • 煮沸釜の容量 1t→1.5t。釜の水流式により魚体への負荷が減って破損が減り、歩留まりが向上した。

事業者のプロフィール

事業者名有限会社土佐角弘海産
所在地高知県 香南市
業種食料品製造業
従業員数5人
資本金500万円
設立1987年

事業の背景

当社は高知県香南市吉川町で30年以上にわたり「ちりめんじゃこ(シラス干し)」を製造販売している。土佐湾や水揚げ漁港に近く、高い鮮度の原料を使え、完全天日干し製法で製造していることが強みである。従来は市場出荷が中心だったが、量販店への出荷に切り替え、県内70%、県外30%で販売してきた。県内量販店は県外より粗利率が低いため、近年は県外への販路拡大に注力している。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力シラスを茹でる煮沸釜が導入から12年経過し、老朽化が進んで品質低下や製造コスト増などの課題が生じていた。
  • 品質・精度煮沸釜の構造上、スクリューで魚体が破損し、品質低下と歩留まりの低下を招いていた。
  • コスト・採算煮沸に使う塩水で設備のさびが目立ち始め、バイヤーの視察や来店者の工場見学の際にマイナスイメージを与えかねなかった。
  • 納期・工程量販店への卸販売は安定供給のため在庫確保が欠かせず、水揚げ量により原材料の確保が左右される不安があった。

やったこと

最新型のシラス用自動釜一式を導入した。生シラスは水洗浄の後、100度に設定した塩水の水槽に入れ、1分40秒間水流に沿って泳がせてムラなく茹でる。その後、粗熱を飛ばす工程までが自動で行える。釜の容量は1tから1.5tにアップし、2t、3tの大規模機械もあるが、おいしさを考慮して1.5tが適切と判断した。自動感知機能で煮沸温度を管理できるため、温度管理者1名の配置が不要になった。釜は浅く水流式で、茹で上がりの様子を確認できる構造とした。

加工機シラス用自動釜一式

事業の効果

  • 煮沸釜の容量 1t→1.5t
  • 温度管理者の配置人数 1名→0名

釜の水流式により魚体への負荷が減って破損が減り、歩留まりが向上した。容量アップにより湯の交換作業が効率化し、燃料も削減できた。温度管理者が不要になり、その人員を天日干しなどの作業に充てられるようになった。新機は釜が浅く加工過程が見えるため、衛生的なイメージも向上した。視察型工場として、土曜限定の飲食事業と連動した見学や視察の受け入れ体制が整い、県外の量販店バイヤーや調理技術者の視察が増え、県外向けの販路拡大と直販売上の向上につながった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.8 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    2016年から試験的に飲食事業を始め、県外販路や視察型工場へ段階的に進んでいる経緯は読み取れるが、経営戦略上の位置づけは具体的に示されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    県内量販店は粗利率が低いため県外販路を拡大し、県外比率30%、飲食事業の来店者100名超のうち県外客50%など、市場と強みを具体的に示している。

  • 課題の認識と解決4

    釜の老朽化で品質低下や歩留まり低下が生じていたことを課題として明示し、視察型工場による付加価値向上を計画している。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    付加価値額の増加や賃上げの目標値は示されておらず、販売増や利益向上の見込みが述べられている程度である。

  • 事業を進める体制3

    従業員5名の体制と工場見学の受け入れ体制を整えたい旨は書かれるが、補助事業を遂行する人材や事務体制の詳細は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    完全天日干し製法や土佐湾近くの立地など強みを挙げ、県外量販店や視察客の関心に基づく選ばれる理由が整理されている。

  • 事業化までの道筋3

    視察型工場の構築や漁船保有などの将来像は示されるが、スケジュールや課題解決の具体的な方法は薄い。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    完全天日干し製法で高い味を追求する点は読み取れるが、ジャンル全体の普及度や同分野での高価格化の水準は示されていない。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用2

    地場産業の継承や高知の観光振興への言及はあるが、国が補助する理由となる波及効果や雇用創出の数字は示されていない。

  • 費用対効果3

    釜の容量アップで湯の交換や燃料を削減し、温度管理者1名が不要になったと書かれるが、費用対効果の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献2

    水流式の新機で工程を見える化する点はうかがえるが、デジタル技術や新ビジネスモデルの活用は明確ではない。

政策面50%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及4

    高知県香南市の地域特性を活かし、土佐湾の原料や地場産業の価値を生かして視察型工場を構想している点が具体的に読み取れる。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

今後は品質向上に加え、飲食事業と連動した視察型工場の構築を想定している。将来的には自社で漁船を保有し、生シラスの水揚げから加工・天日干しまで視察や加工体験をしてもらい、好みに応じたちりめんじゃこを製造・購入できるシステムを構築することが夢である。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成29年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。