ものづくり補助金平成29年度製造業佐賀県

仏で最上位賞を獲得した「七田」ブランドのさらなる競争力強化と拡大する海外市場の開拓

天山酒造株式会社

成果日本酒1000本の製造時間 240分→50分

この事例のポイント

  • 高付加価値ブランドとして高い品質を保ったまま生産量を拡大する必要があるが、現在の設備では限界がある。
  • 蒸した米を連続的に適性温度まで下げるための冷却・空気輸送設備を導入した。
  • 日本酒1000本の製造時間 240分→50分。放冷工程の改善により、最高品質をめざす原料処理が可能になった。

事業者のプロフィール

事業者名天山酒造株式会社
所在地佐賀県 小城市
業種飲料・たばこ・飼料製造業
技術分野バイオ
従業員数27人
資本金1,800万円
設立1959年

事業の背景

当社は明治8年に清酒製造業を始め、140年以上にわたり地酒造りを続けてきた。主力商品は清酒「七田」で、フランスで開催された日本酒コンクールで最上位賞を獲得している。国内の日本酒出荷量は減少傾向にある一方、高付加価値商品の出荷は年々増加している。2013年に和食がユネスコ無形文化遺産に登録され、日本酒の輸出額は過去最高を記録した。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力高付加価値ブランドとして高い品質を保ったまま生産量を拡大する必要があるが、現在の設備では限界がある。
  • 品質・精度従来の設備では水分量、温度、湿度を細かく調整できず、蒸米の品質劣化につながっていた。
  • 人手・技能作業が社員杜氏の経験やスキルに依存しており、再現性の高い生産が難しかった。

やったこと

蒸した米を連続的に適性温度まで下げるための冷却・空気輸送設備を導入した。温風装置と冷風装置を組み合わせ、蒸米の温度を正確に制御できるようにした。温風蒸気を均一に当てることで、外側が硬く内側が柔らかい状態に仕上げられるようにした。外気温の制御も可能になり、外気温に左右されず稼働できるようにした。操作を容易にし、社員杜氏による生産工程の最適化にも取り組んだ。

その他冷却・空気輸送設備

事業の効果

  • 日本酒1000本の製造時間 240分→50分
  • 当工程の必要人員 3人→2人

放冷工程の改善により、最高品質をめざす原料処理が可能になった。日本酒1000本の製造時間が約240分から約50分に短縮され、生産性が大きく高まった。必要人員が削減されたことで余剰人員を他工程に回せるようになり、電力費と労務費の7.5%削減も見込まれている。高い品質の酒を短時間かつ低コストで製造できる体制が整い、新市場開拓や販路拡大に進める基盤ができた。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.1 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性4

    明治8年創業の清酒製造から一貫して地酒造りを続け、今回の冷却・空気輸送設備を海外販路開拓の流れに位置づけている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    国内出荷減少と高付加価値商品・日本酒輸出の増加に触れ、強みとして酒質と社員杜氏を挙げているが、競争優位の定量的根拠は薄い。

  • 課題の認識と解決4

    蒸米の品質劣化という課題を示し、高付加価値化と単価アップの見通しにつながる工程改善を述べている。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標5

    日本酒1000本の製造時間を約240分から約50分に短縮、必要人員3人から2人、電力費と労務費7.5%削減と数値で目標と成果を示している。

  • 事業を進める体制2

    社員杜氏による工程最適化に着手すると記載はあるが、補助事業を遂行する人材や事務体制の具体的記述は見当たらない。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    高品質な地酒と海外市場の需要を示すが、顧客ターゲットや選ばれる理由の整理は具体性が薄い。

  • 事業化までの道筋2

    今後の展望としてCO2削減や重油からプロパンガスへの転換を検討するとあるが、スケジュールや解決方法は示されていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    清酒は国内で一般的な分野だが、フランスの日本酒コンクール最上位賞など高水準の品質で差別化を図る点がうかがえる。

公的補助の必要性67%
  • 波及効果・雇用3

    和食のユネスコ登録や日本酒輸出額の過去最高に触れ、地域農家活性化や小城市の雇用・経済効果にも言及している。

  • 費用対効果5

    投資に対し製造時間の大幅短縮、人員削減、電力・労務費7.5%削減と数値で費用対効果を示している。

  • イノベーションへの貢献2

    温度・湿度を制御する設備やGXモデル企業への選定に触れるが、デジタル技術や新ビジネスモデルの記載は乏しい。

政策面60%
  • 成長分野への進出2

    海外輸出への販路開拓という市場転換は述べられているが、日本経済の構造転換への言及は明示されていない。

  • 地域経済への波及4

    江里山の棚田での酒米造りや佐賀県産山田錦の活用、小城市全体への経済効果と雇用拡大への貢献を具体的に述べている。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

今後は酒造りでのエネルギー消費を抑え、重油を使った米蒸しで排出されるCO2の削減や、重油からプロパンガスへの転換を検討している。地元飲食店とのネットワークを生かし、小城市全体への経済効果や雇用拡大にも貢献したいとしている。江里山地区の棚田で酒米づくりを続け、その米だけを使ったオリジナル商品の開発にもつなげたいとしている。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成29年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。