ものづくり補助金平成29年度製造業沖縄県

ボイラ設備染色導入による製造環境改善

成果生産量 1倍→4倍

この事例のポイント

  • 手作業の染色は1回の作業で1kgしか染められず、受注量が増えており対応しきれない可能性がある。
  • 課題解決のため、既に譲り受けた中古の染色機に温度を上げるためのボイラ設備を導入し、染色環境と品質の改善を検証した。
  • 生産量 1倍→4倍。ボイラ設備の導入により、生産量が4倍見込めることが確認された。

事業者のプロフィール

所在地沖縄県 南風原町
業種その他の製造業
技術分野製造環境
従業員数4人
設立2014年

事業の背景

当事業所は「琉球かすり」「南風原花織」の織物を製造している。これらは100年以上の歴史があり、国の伝統的工芸品に指定され、南風原町が産地指定している。工程は図案から織り上がりまで約30工程あり、染色も手作業で行っていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力手作業の染色は1回の作業で1kgしか染められず、受注量が増えており対応しきれない可能性がある。
  • 品質・精度手染めでは色ムラやシミを防ぐために職人が2〜3時間かけて糸繰りをしても、ロスが10〜15%生じている。
  • 人手・技能工程は約30あり、約9割が手作業で平均2か月ほどかかる。

やったこと

課題解決のため、既に譲り受けた中古の染色機に温度を上げるためのボイラ設備を導入し、染色環境と品質の改善を検証した。ボイラ設備染色での最大染色量は1回あたり3kgとなった。染色量を3kgとした場合、糸干しまでの作業は1時間24分で完了し、導入前より6分の1以下の時間で済むことを確認した。品質面では200gの糸を鍋と染色機でそれぞれ3回ずつ染色して比較し、ボイラ設備染色では約10%の染めムラが発生したが、従来の3分の1以下に抑えられた。

加工機ボイラ設備
加工機染色機

新しい製品・サービス:伝統工芸の特徴を生かした小物(ネクタイや財布など)

事業の効果

  • 生産量 1倍→4倍
  • 鍋染めと比較して1/3の発生率であった
  • 染色量3kgの場合、6分の1以下の時間で作業が完了することが確認できた
  • 従来の3分の1以下に抑えることができた

ボイラ設備の導入により、生産量が4倍見込めることが確認された。染色作業は6分の1以下の時間で完了し、色ムラの発生率も鍋染めの3分の1に抑えられた。現在の年間生産量500反に加え、今後の増産や注文にも対応できる体制が整った。原料糸の安定供給も進み、高齢で染色が難しい職人の外注も受けて産地全体の発展に貢献したいとしている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.7 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性60%
  • これまでの取組との一貫性2

    伝統的工芸品の織物を手作業で製造してきた経緯はうかがえるが、経営戦略上の位置付けは事例に明記されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    国の伝統的工芸品に指定された100年以上の歴史や受注増加傾向に触れるが、市場や競合に対する強み分析は具体的に書かれていない。

  • 課題の認識と解決4

    染色工程の手作業による色ムラ・ロス10〜15%と受注増への対応困難を課題として具体的に示し、ボイラ導入で解決している。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    生産量が4倍見込め、1回3kgの染色で6分の1以下の時間に短縮できたと数値で示されている。付加価値・賃上げ目標の記載はない。

  • 事業を進める体制2

    従業員4人の体制や職人の外注活用にわずかに触れるが、補助事業を遂行する体制の詳細は示されていない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    琉球かすり・南風原花織の製品特性や小物展開、直売・ECによる販路拡大の方針など、顧客や選ばれる理由が具体的に示されている。

  • 事業化までの道筋3

    今後の小物展開、ECやSNS販売、外注の受け入れといった展開方針はあるが、スケジュールや検証計画は具体的でない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    伝統的工芸品の織物を手作業で製造し、染色の品質と生産性を高める取組として、同分野内での高付加価値化の方向性がうかがえる。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用2

    南風原町の産地指定や産地全体への貢献に触れるが、波及効果や雇用創出の規模は数字で示されていない。

  • 費用対効果4

    染色時間が6分の1以下、ムラ発生が3分の1以下、生産量が年500反から増加見込みと、効果が数字で示されている。

  • イノベーションへの貢献1

    公開されている事例からは読み取れません。

政策面40%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及3

    地域の伝統工芸を活かし、産地全体の発展や高齢職人の外注受入に貢献する方針が示されているが、雇用創出の数値はない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

卸を介した取引への依存を減らすため、直売やECによる販売を増やし、SNSで情報を発信して直接取引につなげたいとしている。ネクタイや財布などの小物など新市場への取組も強化する予定。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成29年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。