ものづくり補助金平成30年度製造業北海道

サケ用ヒズカット付きオートヘッダー機導入による、鮭加工の生産性向上とヒズ(氷頭)製品の新規開発

株式会社丸あ野尻正武商店

この事例のポイント

  • 鮭の頭と氷頭のカット作業は手作業に頼っており、省人化の要求が年々高まっていた。
  • 鮭のドレス加工ラインに、サケ用ヒズカット付きオートヘッダー機を導入した。
  • ドレス加工の歩留まりが従来の目測に比べて大幅に向上した。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社丸あ野尻正武商店
所在地北海道 斜里町
業種食料品製造業
技術分野製造環境
設立1954年

事業の背景

1954年創業の水産加工会社で、水揚げ日本一を誇る知床の秋鮭や鮭卵を中心に前浜産の素材にこだわって商品を作ってきた。看板商品のいくら醤油漬けなどを卸販売の中心とし、直売店やネット、全国の物産展でも販売している。一方で地球温暖化による海水温の上昇や秋鮭の来遊不振が続き、北海道ではサケの来遊や漁獲量が低迷していた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 人手・技能鮭の頭と氷頭のカット作業は手作業に頼っており、省人化の要求が年々高まっていた。
  • 品質・精度ドレス加工の頭のカットは目測で行っており、カマまで深く切ってしまうなど歩留まりにばらつきがあった。
  • 人手・技能過疎化や少子高齢化による人手不足が続き、加工現場の人手確保が課題になっていた。
  • 新製品・新技術苦境を跳ね返す新商品やアイデア商品の開発が求められていた。

やったこと

鮭のドレス加工ラインに、サケ用ヒズカット付きオートヘッダー機を導入した。赤外線レーザーでカット位置を示し、頭と氷頭を別々に自動でカットする仕組みである。独自形状のV型カッターを用い、切り口に身肉のつぶれがなくシャープにカットできる。鮭を作業員を選ばずトレイに乗せるだけで操作でき、魚体の大小にかかわらず同じ位置でカットできる。本機をドレス後の加工ラインと連結し、生産ライン全体の効率化を図った。

  • 加工機サケ用ヒズカット付きオートヘッダー機

新しい製品・サービス:氷頭を使った氷頭なます等の水頭製品の量産化と、水頭から抽出した栄養機能性成分を使った美容液の商品化

事業の効果

ドレス加工の歩留まりが従来の目測に比べて大幅に向上した。氷頭部の採取工程の歩留まりも向上し、氷頭なますなど氷頭製品の量産化に成功した。本機をドレス後の加工ラインと連結したことで無駄な動線がなくなり、ライン全体が効率化した。さらに氷頭から抽出した成分を使った美容液の商品化も実現し、保湿性やアンチエイジング効果が注目されている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均3.1 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 5
    地域経済への波及知床の前浜産素材、水揚げ日本一の秋鮭、知床しゃりブランド4品目など地域特性を活かし、地域雇用と経済成長を目指す事業として明確に描かれている。
  • 4
    強み・弱みを踏まえた優位性前浜産素材へのこだわりや知床しゃりブランド4品目登録など強みを示し、手間をかけた味で価格競争を避けていると記されている。
  • 4
    課題の認識と解決目測カットによる歩留まり低下と氷頭採取の歩留まり低さを課題とし、専用機で歩留まり大幅向上と氷頭製品の量産化を実現したと記されている。

伸びしろがあった観点

  • 2
    付加価値・賃上げの目標歩留まり向上や効率化に触れるが、付加価値額や賃上げの具体的な目標値は示されていない。
経営戦略との整合性3.7
  • これまでの取組との一貫性3

    1954年創業の老舗が伝統的加工法を守りつつ新技術・設備を取り入れてきたと書かれ、本事業もその流れに位置づく。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    前浜産素材へのこだわりや知床しゃりブランド4品目登録など強みを示し、手間をかけた味で価格競争を避けていると記されている。

  • 課題の認識と解決4

    目測カットによる歩留まり低下と氷頭採取の歩留まり低さを課題とし、専用機で歩留まり大幅向上と氷頭製品の量産化を実現したと記されている。

事業の実現可能性2.8
  • 付加価値・賃上げの目標2

    歩留まり向上や効率化に触れるが、付加価値額や賃上げの具体的な目標値は示されていない。

  • 事業を進める体制3

    既存の加工ラインに専用機を連結し、専属職人や作業員を選ばない簡単な操作で運用する体制が示されている。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    氷頭なますの郷土料理としての価値や、秋の氷頭を原料にした美容液の商品化と注目の声があり、ニーズの裏付けがある。

  • 事業化までの道筋2

    導入後の加工ライン連結や美容液商品化に触れるが、スケジュールや中長期の検証方法は詳しく書かれていない。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    氷頭は一般に流通の少ない部位で、氷頭製品を量産化し美容液へ展開した点は新市場性と高付加価値を示している。

公的補助の必要性2.3
  • 波及効果・雇用3

    人手不足や来遊不振など地域水産業の課題に対応し、地域雇用と経済への貢献を目標に掲げている。

  • 費用対効果2

    歩留まり向上や効率化の効果は触れられているが、投入額に対する付加価値増加の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献2

    専用機の導入による生産ライン全体への効果は述べられているが、デジタル技術やサプライチェーンへの波及の記述は弱い。

政策面3.5
  • 成長分野への進出2

    水産加工の省人化・機械化の流れに沿うが、日本経済の構造転換への言及は見られない。

  • 地域経済への波及5

    知床の前浜産素材、水揚げ日本一の秋鮭、知床しゃりブランド4品目など地域特性を活かし、地域雇用と経済成長を目指す事業として明確に描かれている。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成30年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。