ものづくり補助金平成24年度和歌山県

残留農薬迅速前処理法における固相カートリッジおよび周辺部品の開発

株式会社アイスティサイエンス

この事例のポイント

  • 分析現場では、誰が・いつ・どの溶媒をどれだけ混ぜたか分からない液体が存在し、処理方法が難しい。
  • 分析現場の課題を解決するため、異なる2液の溶媒を混合する自動溶媒混合装置を開発した。
  • 完成品を展示会で発表し既存得意先へ周知したところ、混合時の不正確さを取り除ける点や、誰が・いつ・どの割合で混ぜたかが一目瞭然となる点がユーザーから高い評価を得た。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社アイスティサイエンス
所在地和歌山県 和歌山市
業種専門サービス業
技術分野金型
従業員数13人
資本金3,000万円
設立2006年

事業の背景

2006年に代表取締役社長が前職で培った分析機器開発のノウハウを活かして設立された。残留農薬分析などの前処理自動化装置を製造・販売しており、前処理段階の自動化装置を専門に手掛ける企業は全国的にも少ない。主な納入先は食品メーカーや保健所などで、食の安心・安全への関心から残留農薬検査が日常的に行われている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力分析現場では、誰が・いつ・どの溶媒をどれだけ混ぜたか分からない液体が存在し、処理方法が難しい。
  • 品質・精度同じ分量で混ぜているつもりでも実際は異なる分量で配合しているケースがある。
  • 品質・精度固相抽出でカートリッジが詰まり不良品が発生していた。
  • 新製品・新技術カートリッジがプラスチック製のため溶媒で洗えず、利用者から容量を増やしてほしいとの要望もあった。

やったこと

分析現場の課題を解決するため、異なる2液の溶媒を混合する自動溶媒混合装置を開発した。同装置には印字機構を備え、誰が、いつ、どの溶媒を、どの割合で、どれだけの量を作ったかを容易に判別できるようにした。また、従来のプラスチック製カートリッジの問題を解決するため、新型固相カートリッジに関わる設計と金型製作に注力した。金型を修正することで、以前のカートリッジと比べて連結性と操作性が向上した。

  • 加工機自動溶媒混合装置
  • 金型新型固相カートリッジ用金型

新しい製品・サービス:異なる2液の溶媒を混合する自動溶媒混合装置、および新型固相カートリッジ

事業の効果

完成品を展示会で発表し既存得意先へ周知したところ、混合時の不正確さを取り除ける点や、誰が・いつ・どの割合で混ぜたかが一目瞭然となる点がユーザーから高い評価を得た。新型固相カートリッジは金型修正により連結性と操作性が向上し、自動前処理装置での使いやすさも高まった。一方で3つ以上の溶媒の混合を求める声が多く、改良を進めている。海外企業からの引き合いも増えている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均2.9 / 514観点のうち13観点で評価

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 4
    課題の認識と解決混合溶媒の判別不能や分量のばらつきという課題を示し、印字機構付き自動混合装置で解決、3溶媒以上への拡張や製品化の計画まで書かれている。
  • 4
    顧客とニーズの裏付け混合の不正確さや溶媒の所在不明といった顧客ニーズが示され、ユーザーから高い評価を得たと書かれている。ターゲットとして研究機関や他分野も挙げられている。
  • 4
    新しさ・高付加価値自動溶媒混合装置は国内外で製品化している企業が非常に少ないと書かれており、新しい分野であることが読み取れる。

伸びしろがあった観点

  • 2
    付加価値・賃上げの目標付加価値額や賃上げの目標値は書かれておらず、販売先の拡大方針のみ記載されている。
経営戦略との整合性3.3
  • これまでの取組との一貫性3

    残留農薬分析の前処理に強み、2006年設立以来の分析機器開発ノウハウを活かしたと書かれており、過去の取組との一貫性はうかがえる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    分析現場での溶媒混合の不正確さという課題に対し、納入後フォロー体制や農薬データの蓄積が強みと書かれているが、市場規模などの外部環境の記述は薄い。

  • 課題の認識と解決4

    混合溶媒の判別不能や分量のばらつきという課題を示し、印字機構付き自動混合装置で解決、3溶媒以上への拡張や製品化の計画まで書かれている。

事業の実現可能性3.0
  • 付加価値・賃上げの目標2

    付加価値額や賃上げの目標値は書かれておらず、販売先の拡大方針のみ記載されている。

  • 事業を進める体制3

    従業員13人、自社で製造から販売まで一貫して行う体制と書かれているが、補助事業の遂行体制の詳細は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    混合の不正確さや溶媒の所在不明といった顧客ニーズが示され、ユーザーから高い評価を得たと書かれている。ターゲットとして研究機関や他分野も挙げられている。

  • 事業化までの道筋3

    3溶媒以上の試作・開発を順次進め、最終的にボタン操作の装置を目指すという段階的な計画が書かれているが、期限や体制は示されていない。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    自動溶媒混合装置は国内外で製品化している企業が非常に少ないと書かれており、新しい分野であることが読み取れる。

公的補助の必要性2.3
  • 波及効果・雇用2

    食の安心・安全への関心の高まりや研究所での導入余地が書かれているが、波及効果や雇用創出の記述は薄い。

  • 費用対効果2

    補助金額や付加価値額の増加などの費用対効果を示す数字は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献3

    分析現場の前処理自動化とデータ蓄積が書かれているが、サプライチェーン全体への貢献は具体的に書かれていない。

政策面2.0
  • 成長分野への進出ー

    公開情報では判断できません。

  • 地域経済への波及2

    和歌山市に所在することはわかるが、地域の特性を活かした事業としての記述はわずかである。

今後の展望

研究所を中心に導入余地が大きいため、混合可能な溶媒数を増やす改良を経て販売につなげ、他分野の研究機関にも販路を広げる。残留農薬分析で蓄積したノウハウを医療や製薬分野に活用し、新たな領域に進出する。海外では販売方法を模索している。

  • 目標:現状は2つの溶媒しか混合できないが、3つ以上の溶媒を自動で混合できる装置の試作・開発を進めている

事業者の声

まずはユーザーに、混合溶媒の管理方法に疑問を持ってもらうことから始めたい

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。