ものづくり補助金平成24年度和歌山県

パイル織物を利用した油分対応型の排水処理システムの研究開発

エコ和歌山株式会社

この事例のポイント

  • 和歌山県田辺市では排水処理業者の多くが小規模で、地域外の企業が参入する状況にあった。
  • 紀北地域の特産品であるパイル織物を利用した排水処理システムの研究開発を進めた。
  • 魚加工工場での排水処理システムの設置工事が完了し、現在は季節による水量・水質の変動について検証段階にある。

事業者のプロフィール

事業者名エコ和歌山株式会社
所在地和歌山県 田辺市
業種その他の生活関連サービス業
技術分野繊維加工
従業員数25人
資本金2.2億円
設立1992年

事業の背景

和歌山県田辺市の産業・家庭排水処理業者は小規模な企業が多く、地域外の企業が参入する状況にあった。同地は下水道の普及率が低く、環境面への配慮も求められていた。1992年に前身のエコ和歌山協業組合が「地元の海や川は地元企業が責任を持って浄化すべき」という考えのもと設立された。売上の60~70%は浄化設備のメンテナンス業務が占め、得意先は一般個人宅から官公庁まで幅広い。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 集客・繁閑和歌山県田辺市では排水処理業者の多くが小規模で、地域外の企業が参入する状況にあった。
  • 生産能力同地は下水道の普及率が低く、環境面への配慮も求められていた。

やったこと

紀北地域の特産品であるパイル織物を利用した排水処理システムの研究開発を進めた。ポリエステルとアクリル素材のパイル織物に微生物を付着させ、食物連鎖を活性化させて排水中の有機物を浄化する。2011年から2013年にかけて和歌山県みなべ町の梅加工工場の既存設備で実証実験を行い、イトミミズの仲間を付着させて生態系のバランスを整え、濃度が変化する排水を安定的に浄化できるシステムを作り上げた。今回の補助事業では、梅加工工場での実績をベースに油分が多い魚加工工場の排水に応用できる技術の開発を目指した。排水処理機械設備の製造のための材料購入費と技術協力を得るための研究委託費に補助金を充当し、通常業務の合間に試作開発を進めて排水処理システムの設置工事完了まで至った。

  • その他排水処理システムパイル織物を用いた機械設備

新しい製品・サービス:パイル織物を活用した排水処理システム(魚加工工場向けの応用版)

事業の効果

魚加工工場での排水処理システムの設置工事が完了し、現在は季節による水量・水質の変動について検証段階にある。今後は一年を通じたデータ収集と分析を行い、パイル織物の経年劣化や汚泥付着量の変化も中長期的に把握して製品レベルの向上を図る。梅加工工場の導入例では排水処理費用や薬品代・電気代などのランニングコスト低減にもつながっており、魚加工工場でも同程度の成果が期待される。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均3.0 / 514観点のうち13観点で評価

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 4
    これまでの取組との一貫性梅加工工場での実証実績をベースに魚加工工場へ応用する計画で、紀北のパイル織物の研究開発を続けてきた経緯が一貫して書かれている。
  • 4
    地域経済への波及和歌山県紀北地域の特産品パイル織物を活かし、地元企業が地元の排水を浄化する地域密着型の事業であることが具体的に書かれている。

伸びしろがあった観点

  • 2
    付加価値・賃上げの目標ランニングコスト削減の効果は梅加工工場で確認されたとあるが、付加価値額や賃上げにつながる数値目標は書かれていない。
経営戦略との整合性3.3
  • これまでの取組との一貫性4

    梅加工工場での実証実績をベースに魚加工工場へ応用する計画で、紀北のパイル織物の研究開発を続けてきた経緯が一貫して書かれている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    地元特産のパイル織物と研究開発力が強みと書かれ、食品工場排水への普及拡大も述べられるが、市場規模や競合との比較は示されていない。

  • 課題の認識と解決3

    小規模工場の導入コストが普及のネックと課題が認識され、低価格体制の構築を目指すとあるが、具体的な価格や手段は示されていない。

事業の実現可能性2.8
  • 付加価値・賃上げの目標2

    ランニングコスト削減の効果は梅加工工場で確認されたとあるが、付加価値額や賃上げにつながる数値目標は書かれていない。

  • 事業を進める体制3

    社員25人で通常業務の合間に試作開発を進め、大学や県の工業技術センターとの協力も挙がっているが、事務処理体制の記述は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    排水処理の顧客像として紀南地域の梅・魚加工会社が挙げられ、導入の理由として環境負荷とランニングコスト低減が示されている。

  • 事業化までの道筋3

    魚加工工場の排水データを一年間収集し、パイル織物の経年劣化も中長期で分析する計画とスケジュールの方向性が示されている。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性3.0
  • 新しさ・高付加価値3

    排水処理分野で県内有数の環境関連製品開発型企業とされ、2014年に技術開発で共同受賞したとあるが、高価格化の記述はない。

公的補助の必要性2.7
  • 波及効果・雇用3

    水質悪化の進む紀南地域の環境負荷軽減や、きれいな海を後世に残す公共性が述べられているが、経済波及や雇用数の記載はない。

  • 費用対効果2

    梅加工工場で排水処理費用とランニングコストが削減されたとあるが、補助金額に対する費用対効果の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献3

    パイル織物による微生物の食物連鎖を用いた新しい排水処理システムで、地域資源を活かした技術革新が示されている。

政策面4.0
  • 成長分野への進出ー

    公開情報では判断できません。

  • 地域経済への波及4

    和歌山県紀北地域の特産品パイル織物を活かし、地元企業が地元の排水を浄化する地域密着型の事業であることが具体的に書かれている。

今後の展望

紀南地域の梅加工会社や魚加工会社に排水処理システムの提案を進め、小規模工場にも低価格で導入できる体制を構築して和歌山県内全域への普及を目指す。大学などの研究機関とも協働し、新たな製品アイデアを創出していきたいとしている。

  • 目標:梅加工工場での余剰汚泥の大幅な削減により排水処理費用のコスト削減効果が確認された。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。