ものづくり補助金平成30年度製造業福井県

安全性の高い和紙綴じ冊子の量産体制構築による新たな製品分野の確立

株式会社国府印刷社

成果綴じ工程時間 50秒→5秒

この事例のポイント

  • 「色こより綴じ」は専用の製造ラインを持っておらず、展示会で得た2万冊の受注に対応する量産体制が整っていなかった。
  • 「自動和紙綴じ機」と「丁合機」を導入し、丁合から綴じ、折り込みまでの一連の工程を自動制御できるようにした。
  • 綴じ工程時間 50秒→5秒。製造リードタイムが10分の1、90%削減となり、納期を遅らせることなく顧客の要望に応えられるようになった。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社国府印刷社
所在地福井県 越前市
業種印刷・同関連業
技術分野接合・実装
従業員数31人
資本金1,000万円

事業の背景

国府印刷社は、企画からデザイン、製本まで自社で一貫して行い、小ロットや試作品にも対応できることを強みとしている。印刷業界は縮小が叫ばれる中でも着実に成長を続けてきた。新たに取り組んだ「色こより綴じ」は、ホチキス針を使わない和紙の製本方法で、環境に優しく安全だとして展示会で注目を集め、総計2万冊の受注につながった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力「色こより綴じ」は専用の製造ラインを持っておらず、展示会で得た2万冊の受注に対応する量産体制が整っていなかった。
  • 納期・工程丁合・綴じ・折り込みの工程のうちこより綴じが半自動で、1冊ごとに時間がかかっていた。

やったこと

「自動和紙綴じ機」と「丁合機」を導入し、丁合から綴じ、折り込みまでの一連の工程を自動制御できるようにした。これまで1冊あたり50秒かかっていた綴じの工程は5秒で完了するようになった。丁合と折り込みも自動化したことで製造リードタイムは10分の1に短縮され、本格的に市場投入できる体制が整った。

新しい製品・サービス:色こより綴じ

事業の効果

  • 綴じ工程時間 50秒→5秒

製造リードタイムが10分の1、90%削減となり、納期を遅らせることなく顧客の要望に応えられるようになった。量産体制の確立により人員配置を再構築でき、社内全体の生産性が向上した。色こより綴じは全て紙製で古紙として再生でき環境負荷が低いため、SDGsや環境保全に関心を持つ企業や自治体への新たな取引につながる見込みである。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均3.0 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 4
    課題の認識と解決半自動の綴じ作業が量産の課題と明示され、自動和紙綴じ機と丁合機の導入で製造リードタイムを10分の1に短縮と具体的な数字で解決策が示されている。
  • 4
    付加価値・賃上げの目標綴じ工程が1冊50秒から5秒に短縮し、製造リードタイムを90%削減とされ、受注2万冊への対応も示されているが、付加価値額や賃上げの目標値は書かれていない。
  • 4
    顧客とニーズの裏付け環境に優しく安全という特長、廃棄時の分別不要、針による怪我の心配なしなど、選ばれる理由と顧客ニーズが具体的に整理されている。

伸びしろがあった観点

  • 2
    事業を進める体制従業員数31名や県内唯一のJapan Color認定工場などがうかがえるが、補助事業の遂行体制や事務処理能力の記述は見当たらない。
経営戦略との整合性3.3
  • これまでの取組との一貫性3

    既存の印刷・製本事業と安全な和紙綴じの量産化を新分野として位置付けており、事業との一貫性は読み取れるが、経営戦略上の位置付けの記述は簡潔。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    展示会で好評を得て総計2万冊の受注につながり、印刷通販との差別化を図る方針が書かれているが、市場データや競争優位の根拠は限定的。

  • 課題の認識と解決4

    半自動の綴じ作業が量産の課題と明示され、自動和紙綴じ機と丁合機の導入で製造リードタイムを10分の1に短縮と具体的な数字で解決策が示されている。

事業の実現可能性3.2
  • 付加価値・賃上げの目標4

    綴じ工程が1冊50秒から5秒に短縮し、製造リードタイムを90%削減とされ、受注2万冊への対応も示されているが、付加価値額や賃上げの目標値は書かれていない。

  • 事業を進める体制2

    従業員数31名や県内唯一のJapan Color認定工場などがうかがえるが、補助事業の遂行体制や事務処理能力の記述は見当たらない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    環境に優しく安全という特長、廃棄時の分別不要、針による怪我の心配なしなど、選ばれる理由と顧客ニーズが具体的に整理されている。

  • 事業化までの道筋3

    SDGsに取り組む企業や自治体への提案、WEBサイトでの受注拡大など今後の展開方法は示されているが、中長期の課題検証やスケジュールは具体性が薄い。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    ホチキス針を使わない和紙の色こより綴じは、総計2万冊の受注や差別化の狙いから新しい製品分野と読み取れ、一般的な普及度は低いと判断できる。

公的補助の必要性2.3
  • 波及効果・雇用2

    環境負荷の低さや古紙再生が可能という点は述べられているが、経済波及や雇用創出など国が補助する積極的理由は書かれていない。

  • 費用対効果3

    綴じ工程の時間短縮や量産体制の確立など生産性向上は読み取れるが、補助金投入額に対する費用対効果の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献2

    自動制御化によるイノベーションの記述はあるが、先端デジタル技術の活用や地域・サプライチェーンへの貢献は限定的にしかうかがえない。

政策面2.5
  • 成長分野への進出2

    環境配慮型の製品で社会の関心に応える方向性はうかがえるが、日本経済の構造転換に資する内容としての記述は乏しい。

  • 地域経済への波及3

    越前市の伝統工芸である越前和紙を用いた商品化が地域特性の活用として書かれており、地域の成長を牽引する方向性は読み取れる。

今後の展望

SDGsに取り組む企業や自治体への提案を積極的に行うほか、自社で運営するWEBサイトでの受注増を目指す。印刷通販が台頭する中で、色こより綴じによる他社との差別化を図っていく。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成30年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。