ものづくり補助金平成30年度製造業山梨県

意匠物をスキャンすればCADデータ等で誰でも木工製品を製造できる工法の導入

有限会社松浦木工

成果レバーハンドル加工時間(1カ所あたり) 15分→4.77分

この事例のポイント

  • 熟練工に属人化していた切削作業工程があった。
  • NCルーターと美術工芸用CAD/CAMを導入した。
  • レバーハンドル加工時間(1カ所あたり) 15分→4.77分。NCルーターと美術工芸用CAD/CAMの導入により、加工時間が大幅に短縮された。

事業者のプロフィール

事業者名有限会社松浦木工
所在地山梨県 富士河口湖町
業種家具・装備品製造業
技術分野精密加工,機械制御
従業員数5人
資本金300万円
設立2003年

事業の背景

家具業界では木のぬくもりが感じられる製品が注目され、木製家具のニーズは種類や機能面で多様化している。特に平面的な造形よりも、フォルムに個性のある複雑で立体的なデザインの人気が高い。リフォーム市場でも需要が拡大しており、高い技術力や小ロット多品種、ミリ単位の対応、短納期が求められている。同社は1962年に創業し、保育園や学校、老人ホームなどの公共事業も多く手掛けている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 人手・技能熟練工に属人化していた切削作業工程があった。
  • 生産能力切削作業に時間がかかり、1案件に携わる時間が長く、作業案件数を増やしにくかった。
  • 品質・精度加工に精密な寸法が要求され、高度な品質と長い工数が必要になっていた。
  • 人手・技能働き方改革を進め、女性や高齢者を含む幅広い層へ雇用を広げたかった。

やったこと

NCルーターと美術工芸用CAD/CAMを導入した。無垢スギ材にレバーハンドルを取り付ける加工を比較検証したところ、従来の手作業では1カ所あたり15分かかっていたものが、平均4分46秒に短縮された。ホワイトアシュ無垢材の看板に明朝体で「山梨県中小企業団体中央会」の文字とロゴを彫刻する加工でも比較し、手作業で約3日間かかるところを1時間半以内で加工できた。美術工芸用CAD/CAMは2.5次元対応のCADを備え、手で彫刻したものをスキャンすれば立体用のCADデータになり、立体造形物の作成が可能になる。

加工機NCルーター
ソフト美術工芸用CAD/CAM

新しい製品・サービス:立体的な造形物や、さまざまなフォントで彫る看板など、複雑な形状の木製品

事業の効果

  • レバーハンドル加工時間(1カ所あたり) 15分→4.77分
  • 看板加工時間(手作業との比較) 3日→0.0625日

NCルーターと美術工芸用CAD/CAMの導入により、加工時間が大幅に短縮された。手作業で約3日かかっていた加工が1時間半以内でできるようになり、作業時間の短縮と製品品質の維持が両立した。看板では文字がよりシャープに仕上がり、初心者でも品質の誤差が出にくくなり、大量生産の受注にも対応できる見込みが立った。切削工程の自動化により、女性や高齢者を含む幅広い層への雇用拡大と働き方改革の見通しもついた。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    創業から60年の歴史と、熟練工の属人化解消へ設備投資と人材育成を続けてきた流れが述べられ、今回の導入が過去の取組の延長と読み取れる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    木製家具ニーズの多様化や小ロット多品種、ミリ単位対応の需要に触れ、丸テーブルなど円曲線加工に定評がある強みも示されている。

  • 課題の認識と解決3

    熟練工に属人化していた切削工程の課題を認識し、自動化で作業案件数を増やす方向が示されているが、目標の数値までは書かれていない。

事業の実現可能性48%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    作業時間は15分が約4分46秒、手作業3日がおよそ1時間半など具体的だが、付加価値額や賃上げの目標値は示されていない。

  • 事業を進める体制3

    従業員5人で、若い男女3人を含む体制と人材育成の取組が記載されているが、補助事業の遂行体制の詳細は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    品質の高さと良心的な価格、保育園や学校など公共事業の顧客、顧客目線の仕様提案など、選ばれる理由が整理されている。

  • 事業化までの道筋2

    導入後の検証や納品後のアフターフォローは触れられているが、事業化の中長期スケジュールや課題解決の方法は書かれていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    丸テーブルなど円の曲線加工に定評があり、一般的に高価格になりやすい特注品やオーダーメードにも対応している点が書かれている。

公的補助の必要性67%
  • 波及効果・雇用3

    保育園・学校・老人ホームの公共事業への関与や、女性・高齢者を含む雇用拡大が述べられ、地域への波及が読み取れる。

  • 費用対効果4

    1カ所15分が平均4分46秒、約3日の作業が1時間半以内になるなど数字で効果が示されているが、補助金投入額との比較は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献3

    CAD/CAMや3Dスキャンによる立体データ化など先端的なデジタル活用が示されるが、サプライチェーン全体への貢献は書かれていない。

政策面60%
  • 成長分野への進出2

    木製家具の需要拡大や多様化には触れているが、市場成長分野への進出による構造転換との関係は明確に書かれていない。

  • 地域経済への波及4

    県産ヒノキのオーダー家具や富士山木製品ブランド会議への参加など地域特性を活かし、地元の雇用や信頼にも貢献している。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

木工に興味を持つ人を一人でも多く一流の職人に育てることを今後の目標としている。

事業者の声

お客様から求められているものは納期。あとは傷や欠損を出さないこと。それを第一に考えています。そして仕事を断らない。要望があればできるだけ対応するというのが信条です

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成30年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。