ものづくり補助金平成30年度製造業山梨県

CNC自動旋盤の導入による品質改善と生産プロセスの革新

有限会社シマダ

成果製品の歩留まり 90%→100%

この事例のポイント

  • 以前の加工機では棒材の切削時に切子がドリルに巻き付き、素材の表面が粗くなったり穴の形状にひずみが生じたり、ドリルが破損したりすることがあった。
  • ものづくり補助事業で主軸台移動形CNC自動旋盤「シンコムL20Ⅸ」を導入した。
  • 製品の歩留まり 90%→100%。新たな旋盤の導入により、スリット加工とバリ取り工程を廃止でき、時間短縮につながった。

事業者のプロフィール

事業者名有限会社シマダ
所在地山梨県 上野原市
業種プラスチック製品製造業(別掲を除く)
技術分野精密加工
従業員数9人
資本金300万円
設立2000年

事業の背景

同社は1993年に大手フッ素加工樹脂メーカーの協力工場として上野原市で創業し、2000年に法人化した。フッ素樹脂は素材が高価で、加工で生じた切子は油分を含むと売却できないため、乾式切削を採用する業者が多い中、同社は温度が安定する湿式切削にこだわってきた。2018年には事業拡大に伴い新社屋への移転を準備していた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力以前の加工機では棒材の切削時に切子がドリルに巻き付き、素材の表面が粗くなったり穴の形状にひずみが生じたり、ドリルが破損したりすることがあった。
  • 生産能力巻き付き防止のために旋盤加工の前に棒材へスリット状の溝を加工しており、その工程に全体の3割におよぶ時間を費やして生産性悪化の要因となっていた。
  • 人手・技能バリ取りは一つ一つ手作業で行う必要があり、その作業にも時間を割いていた。

やったこと

ものづくり補助事業で主軸台移動形CNC自動旋盤「シンコムL20Ⅸ」を導入した。主軸が回転する間に刃物が振動する仕組みにより切子を粉状に細かく分断し、棒材への巻き付きを防ぐため、スリット加工が不要になった。複数の刃物を装着でき、バリ取り専用の刃物も装着できるため、バリ取りにかけていた手間と時間を大幅に削減できた。夜間も自動で機械に任せられるため24時間操業を可能にした。

加工機主軸台移動形CNC自動旋盤シンコムL20Ⅸ

事業の効果

  • 製品の歩留まり 90%→100%

新たな旋盤の導入により、スリット加工とバリ取り工程を廃止でき、時間短縮につながった。製品の歩留まりは90%から100%となった。切子が巻き付いて製品がだめになることがほとんどなくなり、複雑な加工にも対応できるようになった。生産ラインの効率化により、顧客の要望する材質や形状、機能に対応した製品を高品質、短納期で提供し続けられる体制となった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    1993年創業以来フッ素樹脂加工を続け、湿式切削へのこだわりとノウハウ蓄積が記載されており、過去の取組との一貫性が読み取れる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    半導体・医療機器・電気自動車など成長市場を挙げ、複雑形状対応や一貫対応という自社の強みが具体的に書かれている。

  • 課題の認識と解決4

    スリット加工に全体の3割の時間を費やすなどの課題を認識し、新旋盤導入で歩留まり90%から100%、工程廃止と述べられている。

事業の実現可能性48%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    歩留まり90%から100%という実績は書かれているが、付加価値額や賃上げの目標値は記載されていない。

  • 事業を進める体制3

    社長が代替わりを乗り越え、周囲の支えで新社屋を完成させた経緯は書かれているが、補助事業遂行の人員・事務体制は具体的でない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    顧客指定の複雑な特殊加工、図面から洗浄までの一貫対応、多品種小ロット・短納期が選ばれる理由として具体的に示されている。

  • 事業化までの道筋2

    今後は複雑形状への挑戦と既存顧客への対応が語られているが、遂行方法やスケジュールは示されていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    フッ素樹脂加工は素材が高価で乾式切削が多い中、湿式切削にこだわり高品質・複雑形状を実現している点が高付加価値化として読み取れる。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用3

    医療機器や半導体、電気自動車など国の構想と結びつく市場が挙げられているが、雇用や波及効果の具体的な数字は書かれていない。

  • 費用対効果3

    24時間操業が可能になり効率性と原価低減を実現したと記載されているが、投資額に対する効果の数字は示されていない。

  • イノベーションへの貢献2

    循環型社会への取り組みに触れているが、デジタル技術やサプライチェーンへの貢献は具体的に書かれていない。

政策面50%
  • 成長分野への進出3

    医療機器や電気自動車など成長市場への進出が挙げられ、ソサエティー5.0の構想との関連も書かれている。

  • 地域経済への波及2

    上野原市の地域企業として書かれているが、地域特性を活かした雇用創出や経済成長への言及は限定的である。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

フッ素樹脂は半導体設備関連市場、電気自動車関連市場、医療機器関連市場で今後も大きなニーズが見込まれ、生産ラインを一層効率化させて他社との差別化をさらに図っていく。

事業者の声

より複雑な形状の加工にも挑戦していきたいですね。父と同じように既存のお客さまを大切にし、ニーズに応え続けていけたら うれしいです

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成30年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。