ものづくり補助金平成30年度製造業岐阜県

若手技能者の未熟度を補うロボットシステムを融合した生産体制の構築

三星刃物株式会社

成果残業時間(月あたり) 40時間→5時間

この事例のポイント

  • 新規受注が増え続けたのに生産が追いつかず、納品まで最長8ヶ月とお客様を長く待たせていた。
  • ハンドル部の研削・研磨工程は作業手順を8段階に細分化し、そのうち2〜7段階目までの6工程について、新たに導入した包丁柄仕上げロボットシステムへの置き換えを図った。
  • 残業時間(月あたり) 40時間→5時間。ロボットシステムの導入により、加工工程が属人的な能力に左右されず確立され、加工精度が格段に向上した。

事業者のプロフィール

事業者名三星刃物株式会社
所在地岐阜県 関市
業種金属製品製造業
技術分野デザイン,機械制御
従業員数40人
資本金1,000万円
設立1947年

事業の背景

明治6年創業の刃物メーカーで、長年、他社製品を製造するOEM生産を主な事業としてきた。競合との価格競争が激化し、OEM生産を続けることに苦しさを感じていた。平成27年から自社ブランド「和 NAGOMI」シリーズを新規事業として立ち上げ、ふるさと納税の返礼品にも採用されたことで新規受注が大幅に増加した。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力新規受注が増え続けたのに生産が追いつかず、納品まで最長8ヶ月とお客様を長く待たせていた。
  • 品質・精度職人9名のうち6名が経験の浅い若手で、技術者ごとに加工品質のバラツキが生じていた。
  • 人手・技能熟練技能者が若手の教育をしながら加工し、仕上がりの確認と微調整に時間がかかり加工時間が長時間化していた。
  • 人手・技能一人前の技術者になるまでに最低5年かかり、熟練技能者の高齢化が進む中で人材育成に多大な時間を要していた。

やったこと

ハンドル部の研削・研磨工程は作業手順を8段階に細分化し、そのうち2〜7段階目までの6工程について、新たに導入した包丁柄仕上げロボットシステムへの置き換えを図った。ロボットへの置き換えによる加工品質低下を避けるため、最適加工プログラミングを行い品質の安定化を図った。自動ロボットシステムで10個の試作品を製作し、自動化による品質が社内の品質基準内であるかを検証・評価し、工程終了後の手直しの要否を確認した。研削・研磨工程の加工時間を従来と比較測定し、1時間あたりの生産本数を計測した。若手人材の知識を高める教育を行い、社内のデジタル人材の育成にも努めた。

ロボット包丁柄仕上げロボットシステム

事業の効果

  • 残業時間(月あたり) 40時間→5時間
  • 1時間当たりの生産本数 1倍→1.6倍
  • 納品待ちが従来の8ヶ月から3〜4ヶ月に短縮された。

ロボットシステムの導入により、加工工程が属人的な能力に左右されず確立され、加工精度が格段に向上した。工程終了後の熟練技能者による手直し工数がゼロになった。製作時間が約4割短縮され、1時間当たりの生産本数が1.6倍に増加し、残業時間も月40時間から5時間へ大幅に減った。ふるさと納税返礼品の納品待ちも従来の8ヶ月から3〜4ヶ月に短縮され、若手技能者の教育と技能の平準化にもつながった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性80%
  • これまでの取組との一貫性4

    OEM依存から平成27年の自社ブランド「和 NAGOMI」立ち上げへと続く流れがあり、新事業を守るためロボット導入を位置付けている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    OEM価格競争の激化を背景に、ふるさと納税返礼品化や技術力の認知を活かして自社ブランドを伸ばしている点が読み取れる。

  • 課題の認識と解決4

    納品まで最長8ヶ月、品質のバラツキ、若手教育に5年かかる課題を挙げ、ロボット導入で解決する計画になっている。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    生産本数1.6倍や残業40時間から5時間への削減は示されるが、付加価値額や賃上げの目標値は書かれていない。

  • 事業を進める体制3

    若手9名中6名の職人体制と社内デジタル人材育成、若手が1ヶ月で操作を習得した点は読み取れるが、体制の詳細は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    贈答品ニーズに着目し、結婚式や誕生日向けのギフトラッピングや名入れサービスで顧客と選ばれる理由を示している。

  • 事業化までの道筋3

    試作10個での品質検証や横展開、海外通販への展開方針は書かれているが、スケジュールや課題解決方法は具体性が薄い。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    名入れギフトや高付加価値化による付加価値向上の取組は書かれているが、市場の認知度や高価格化の水準は示されていない。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用2

    関市の刃物産地での事業やふるさと納税、地域ブランドとのコラボがうかがえるが、雇用創出や波及効果の数値はない。

  • 費用対効果3

    納品待ちが8ヶ月から3〜4ヶ月に短縮され生産本数が1.6倍になったが、補助金投入額と効果の比較は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献3

    ロボットシステムやシミュレーションソフトの導入、デジタル人材育成は読み取れるが、地域やサプライチェーンへの貢献は薄い。

政策面50%
  • 成長分野への進出2

    OEM生産から自社ブランドへの転換はうかがえるが、市場成長分野への進出や日本経済の構造転換への言及は薄い。

  • 地域経済への波及3

    刃物の町関市を代表するブランドを目指し、関市ブランドと他メーカー製品のコラボを進める地域性が読み取れる。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

自社ECサイトでギフト商品の展開に力を入れ、結婚式や誕生日、新築祝い向けのギフトラッピングやのし・袋を製作し、名入れサービスで付加価値向上を図っている。今後は関市ブランドと他メーカー製品とのコラボレーションや、「和 NAGOMI」のステーキナイフなどへの横展開を進め、将来的には海外通販へも挑戦して事業拡大を目指す。

事業者の声

「一生つき合える良いものを」

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成30年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。