ものづくり補助金平成30年度製造業静岡県

付加価値型ヘッドフォン部品製造に関わる工程自動化による生産体制の確立と国内生産回帰

不二化成工業株式会社

成果リードタイム 30日→24日

この事例のポイント

  • 裁断工程は熟練工の手作業に頼っており、顧客の求める水準に対応できる人材が限られている。
  • 裁断関係の工程である「裁断+型入れ+マーキング」の3つの工程を1つに集約・自動化するため、自動裁断機を導入した。
  • リードタイム 30日→24日。自動裁断機の導入により裁断までの複数工程が集約され、リードタイムが短縮され生産能力も向上した。

事業者のプロフィール

事業者名不二化成工業株式会社
所在地静岡県 沼津市
業種情報通信機械器具製造業
技術分野精密加工
資本金1億円
設立1959年

事業の背景

不二化成工業は昭和32年にビニール高周波加工業として沼津市で創業し、農業用ビニールを主力としていた。高精度な高周波加工の技術が評価され、国内の大手音響メーカーからヘッドフォンのイヤーパッド製造を受注し、現在は同社の主力製品に成長している。国内の大手音響メーカーはハイレゾ音源などの高級機種の市場ニーズの高まりに対応するため、高品質製品の開発を進めており、同社のイヤーパッドも採用されることとなり、生産体制の確立が急務となった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 人手・技能裁断工程は熟練工の手作業に頼っており、顧客の求める水準に対応できる人材が限られている。
  • 生産能力繁忙期には熟練工が他工程を兼任するため、平時よりリードタイムが延び生産性が低下している。
  • 人手・技能熟練工の高齢化が進み、当該工程の改善が急務となっている。

やったこと

裁断関係の工程である「裁断+型入れ+マーキング」の3つの工程を1つに集約・自動化するため、自動裁断機を導入した。自動裁断機は複数枚の生地を一度にかつ自動で裁断できる機種で、CADにより裁断工程を自動化した。これにより裁断関係工程の自動化によるリードタイム短縮と不良率の低下を図り、余剰人員となった裁断専属作業員は配置転換を行った。

加工機自動裁断機

事業の効果

  • リードタイム 30日→24日
  • 生産能力は従来比で約25%増加した

自動裁断機の導入により裁断までの複数工程が集約され、リードタイムが短縮され生産能力も向上した。手作業による品質のばらつきが解消され加工精度が向上し、不良率が低下してコスト削減と品質向上につながった。専任だった裁断作業員は他部署への配置転換や兼任が可能となり、工場全体の工程管理を担えるようになって生産ライン効率化に寄与した。CAD導入で製品のデータ化が進み、試作開発段階で顧客ニーズにきめ細かく対応できるようになった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.1 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    高周波加工から始まり、ヘッドフォン部品製造を主力に成長した経緯は読み取れるが、経営戦略上の位置付けは明示されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    国内に対応できる企業がほとんどない生産体制を強みとし、手作業の人材不足という弱みも示されており、優位性の根拠が具体的。

  • 課題の認識と解決4

    熟練工の手作業による裁断工程の課題を認識し、3工程の集約・自動化で対応している。リードタイム30日から24日、能力約25%増の記述もある。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    リードタイム30日を24日に短縮、生産能力約25%増と数値目標に近い結果が示されている。賃上げ目標は読み取れない。

  • 事業を進める体制2

    熟練工の人材が限られ高齢化が課題とあり、人材育成に力を入れる記述があるが、遂行体制の具体的な配置は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    国内に対応企業がほとんどない高品質なイヤーパッド製造という強みと、高級ヘッドフォン市場のニーズが具体的に示されている。

  • 事業化までの道筋2

    事業終了後の方向性として国内回帰や人材育成が示されるが、スケジュールや課題解決の方法は詳述されていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    高級ヘッドフォンのイヤーパッドで、国内に対応できる企業がほとんどない高水準の製造を行う点が示されている。

公的補助の必要性67%
  • 波及効果・雇用3

    海外に移行したイヤーパッド製造の国内回帰という記述があり、国内生産の意義がうかがえるが、経済波及の規模は示されていない。

  • 費用対効果4

    投資に対し、リードタイム短縮、生産能力約25%増、不良率低下、余剰人員の配置転換など効果が複数の数字や事実で示されている。

  • イノベーションへの貢献3

    CAD導入によるデータ化で試作段階の顧客対応が可能になったと書かれ、デジタル活用は読み取れるが、サプライチェーン全体への貢献は薄い。

政策面50%
  • 成長分野への進出2

    海外生産から国内生産への回帰が示されており、製造の構造に関わる動きがうかがえるが、日本経済全体への言及はない。

  • 地域経済への波及3

    沼津市の国内工場で高付加価値製品を製造する点は読み取れるが、地域雇用や経済成長への言及は具体性が薄い。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

一新した生産体制を武器にさらなる需要拡大を推し進めるとともに、海外に生産が移行しつつあるイヤーパッド製造の国内回帰を図っていく。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成30年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。