ものづくり補助金平成30年度製造業静岡県

シャフト部品のキズ不良を引き起こす切粉を除去するための自動搬送ラインの構築

金田工業株式会社

この事例のポイント

  • 取引先から電動車向けシャフトの増産を求められていたが、当時のラインの生産能力は1日あたり約1,000本が限界で、人員増だけでは2,000本への増産に対応できなかった。
  • 本事業では、ロボットハンドにエアーブロー清掃機構を組み込んだ自動搬送装置を開発し、シャフト加工から搬送までの一連工程を自動化した。
  • 自動化により、従来3交代で配置していた人員を夜間を含む自動稼働に置き換え、ほぼ無人での連続運転を実現した。

事業者のプロフィール

事業者名金田工業株式会社
所在地静岡県 浜松市
業種輸送用機械器具製造業
技術分野機械制御
資本金4,500万円
設立1949年

事業の背景

同社は昭和24年に設立された自動車部品メーカーで、四輪車・二輪車向けのトランスミッション用シャフトや建機向けシャフトを主力製品としている。取引先とは設計段階から共同開発に携わるなど長年の信頼関係を築き、冷間鍛造技術により製造工程を自社内で一貫して完結できる体制を持つ。一方、CO2削減や燃費向上の流れを受けてHEV・EVなど電動車の需要が急速に拡大し、同社にも電動車向けシャフトの増産要請が高まっていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力取引先から電動車向けシャフトの増産を求められていたが、当時のラインの生産能力は1日あたり約1,000本が限界で、人員増だけでは2,000本への増産に対応できなかった。
  • 品質・精度シャフト加工時に発生した切粉が残ったままになると表面に傷がつき不良品となることが多かった。
  • 品質・精度手作業によるエアー清掃では切粉の完全な除去が難しく、人為的な不良を防ぎきれなかった。
  • 人手・技能シャフトを機械に着脱する作業を作業者が手作業で行っており、その工程で傷が発生しやすかった。

やったこと

本事業では、ロボットハンドにエアーブロー清掃機構を組み込んだ自動搬送装置を開発し、シャフト加工から搬送までの一連工程を自動化した。これまで人手で行っていた着脱作業を2台の6軸多関節ロボットに置き換え、自動着脱と搬送を実現して生産ライン全体の効率化を図った。加工時に発生した切粉は自動エアー清掃機構によって確実に除去できるようにした。搬送装置のサイクルタイムは目標の23秒を下回る水準に達した。

ロボットエアーブロー清掃機構を備えたロボットハンドによる自動搬送装置
ロボット6軸多関節ロボット(2台)

事業の効果

自動化により、従来3交代で配置していた人員を夜間を含む自動稼働に置き換え、ほぼ無人での連続運転を実現した。軸キズの発生率が大幅に低下し、不良率は約76%減少して製品品質の安定化と信頼性の向上につながった。生産ライン全体の稼働が安定したことで納期の遅延が減り、安定した供給体制を確立した。作業者の負担軽減と人員配置の最適化にも大きく貢献した。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.6 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    手作業の着脱と切粉除去の課題を自動化で解消する流れが書かれ、取引先との共同開発や長年の信頼関係が背景として記載されている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    冷間鍛造や高い寸法精度など自社の強みが書かれ、取引先から高評価を受けている点が示されているが、市場動向との関係は触れられていない。

  • 課題の認識と解決5

    生産能力1日1,000本が限界で2,000本への増産が求められていたという課題に対し、ロボット2台による自動搬送で対応したと数字つきで書かれている。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    サイクルタイム23秒を下回り不良率約76%減少、夜間含む連続運転を実現したと数値で成果が示されているが、付加価値額や賃上げの目標値は書かれていない。

  • 事業を進める体制2

    取り組みを進めた体制として、人員配置の最適化は触れられているが、事務処理能力や補助事業の遂行体制についての記載は少ない。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    取引先からの品質・納期の評価や電動車需要の拡大は書かれているが、顧客ターゲットや選ばれる理由の整理は限定的である。

  • 事業化までの道筋3

    取組の開発・導入の流れと今後の他製品ラインへの展開が書かれているが、スケジュールや課題解決の方法の詳細は乏しい。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    電動車向けシャフトは需要拡大の分野と書かれているが、同分野での高付加価値化・高価格化についての記述は薄い。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用2

    CO2削減や燃費向上の世界的な流れと電動車需要の拡大がうかがえるが、国が補助する理由としての波及効果や雇用創出の記載は少ない。

  • 費用対効果3

    不良率約76%減少や稼働率向上など効果は書かれているが、補助金投入額に対する費用対効果の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献2

    自動化技術を他製品ラインへ展開する方針はあるが、先端デジタル技術やサプライチェーンへの貢献についての記述は限定的である。

政策面30%
  • 成長分野への進出2

    電動車市場の拡大と国際競争力の強化に触れられており、成長分野への進出の方向性がうかがえる。

  • 地域経済への波及1

    公開されている事例からは読み取れません。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

今後は拡大が見込まれる電動車市場に対応するため、増産体制をさらに強化するとともに、今回の自動化技術を他製品ラインへ展開し、品質の持続的な向上と国際競争力の強化を図る計画である。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成30年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。