ものづくり補助金平成30年度製造業京都府

顧客ニーズに応えるための飛躍的な生産性向上による車両架装事業の拡大計画

株式会社ワークヴォックス

成果車体内部寸法の測定時間 3日→0日

この事例のポイント

  • 市場の需要に生産が追いつかず、顧客への納入が遅れている。
  • Artec Europe S.a.r.l社製の3DスキャナーArtec Leoを導入し、新たな車種の車体内部の三次元測定を瞬時に行い、高精度なデータを取得して、より使いやすい3次…
  • 車体内部寸法の測定時間 3日→0日。3Dスキャナーの導入で車体内部寸法の測定がほぼゼロになり、車内家具の設計をすべてCAD上で行えるようになった。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社ワークヴォックス
所在地京都府 京田辺市
業種輸送用機械器具製造業
技術分野立体造形,測定計測
従業員数30人
資本金1億円
設立2008年

事業の背景

2005年に創業者が一人でキャンピングカーの内装・家具の設計・生産に特化した事業を始め、現状の売上の90%以上は創業当初からのキャンピングカー(遊びのクルマ)が占める。近年は移動型オフィスカー(仕事のクルマ)やユニバーサルデザインの福祉車両(人にやさしいクルマ)の需要も増えている。キャンピングカーなどのシートでは約70%の高いシェアを獲得している。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力市場の需要に生産が追いつかず、顧客への納入が遅れている。
  • 人手・技能新たな架装モデルごとに車内家具の設計・試作を手作業で行い、車体内部寸法を一つ一つ手で測定して図面化しており、設計前段階に相当な時間がかかっている。
  • 納期・工程数十種類の樹脂部品を外部協力会社に製造委託しており、成形金型を作ると修正できないため事前検証に慎重にならざるを得ず、樹脂部品の製造に大幅な時間がかかっている。

やったこと

Artec Europe S.a.r.l社製の3DスキャナーArtec Leoを導入し、新たな車種の車体内部の三次元測定を瞬時に行い、高精度なデータを取得して、より使いやすい3次元ポリゴンデータに加工できるようにした。取得データから3次元の曲線を取り出し、汎用性の高いCADシステムと連動させることで、車内家具をすべてCAD上で設計できるようにした。Markforged Inc社製の3DプリンターMarkforged Onyx Pro Gen2を導入し、多品種小ロットの樹脂部品を自社内で製造できるようにした。これにより樹脂製穴埋め部品の社内製作が可能になり、試作検証を1~2回の試作で完了できるようになった。

検査測定Artec Leo(3Dスキャナー)
加工機Markforged Onyx Pro Gen2(3Dプリンター)
ソフト3次元CADシステム(Rhinoceros)

事業の効果

  • 車体内部寸法の測定時間 3日→0日
  • 車内家具製作日数 5日→2日
  • 樹脂部品の試作検証作業時間 3週間→1週間
  • 設計・試作に要する時間は1/3程度に短縮できた
  • お客様の待ち期間 12ヶ月→6ヶ月

3Dスキャナーの導入で車体内部寸法の測定がほぼゼロになり、車内家具の設計をすべてCAD上で行えるようになった。3Dプリンターの導入で樹脂部品を自社内で製作でき、試作コストは材料代だけになった。設計・試作に要する時間は1/3程度に短縮し、顧客の待ち期間も半分以下になった。今後は設計・試作の時間を新製品開発や新分野への進出に充てて、売上拡大と利益確保、労働生産性の向上を図る予定である。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    独自の架装技術で事業拡大してきたことや、創業時からのキャンピングカー事業が売上の90%以上を占める点から一貫性がうかがえる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    キャンピングシートで約70%の高シェアを獲得し、自社の強みが示されているが、市場動向の分析は乏しい。

  • 課題の認識と解決4

    年間約20種類の新架装モデルへの設計・試作に時間がかかる課題を示し、3Dスキャナー導入で設計前段階を短縮する対策が具体的に書かれている。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    設計・試作時間が1/3程度に短縮、お待ち期間が最長1年から半分以下になるなど数値目標に近い成果が示されている。ただし付加価値額や賃上げの目標値は書かれていない。

  • 事業を進める体制2

    従業員数30人や設立年などは書かれているが、補助事業を遂行する体制や人材の配置についての記述は少ない。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    顧客要望への対応や新車種への迅速な設計が強みとして示されているが、ターゲットやニーズの裏付けは具体的に書かれていない。

  • 事業化までの道筋3

    3Dスキャナー・プリンターの導入と内製化の流れは示されているが、中長期の検証や詳細なスケジュールは書かれていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    キャンピングカーのシートで約70%のシェアがあり高い水準にあるとうかがえるが、高付加価値化の定量的な裏付けは限定的。

公的補助の必要性67%
  • 波及効果・雇用2

    社会に役立つクルマを造り続けるという趣旨の記述はあるが、波及効果や雇用創出などの国の補助理由は具体的に書かれていない。

  • 費用対効果4

    設計・試作の時間短縮や試作コストが数万~十数万円からほぼゼロになるなど、費用対効果を示す数値が具体的に書かれている。

  • イノベーションへの貢献4

    3Dスキャナーと3Dプリンターの活用により、外部協力会社とのデータ共有や樹脂部品の内製化を実現する点が具体的に書かれている。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    移動型オフィスカーや福祉車両など需要が増える分野への取り組みがうかがえるが、日本経済の構造転換への言及はない。

  • 地域経済への波及2

    京田辺市の工場や地域での取り組みには触れているが、地域特性を活かした雇用創出や経済成長への貢献は書かれていない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

設計・試作時間の大幅短縮によって生まれた時間をアイデア力や企画力の発揮にあて、新しい製品開発や新しい分野への進出の可能性を高め、さらなる売上拡大と利益確保、労働生産性の向上を図る。

事業者の声

家の中に家具があることで快適な暮らしができているように、車の中に内装・家具があることで今まで以上に上質で贅沢な時間を過ごしてしてほしいという思いを込めて、キャンピングカーや仕事のクルマなどの社会に役立つクルマを造り続けていきます。

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成30年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。