ものづくり補助金平成30年度製造業京都府

京和菓子の一貫生産能力を活かした小ロットOEM受注体制の構築

株式会社上尾製菓

成果落雁の1日あたり生産量 3,000個/日→32,400個/日

この事例のポイント

  • 落雁の成形を手作業で行っており、OEM受注の拡大に対して生産能力が不足していた。
  • 落雁の成形工程に、反転型の落雁成形機を新たに導入した。
  • 落雁の1日あたり生産量 3,000個/日→32,400個/日。成形工程の機械化により生産力が大幅に強化され、OEM向けの生産体制が整った。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社上尾製菓
所在地京都府 京都府綴喜郡宇治田原町
業種食料品製造業
技術分野デザイン
従業員数30人
資本金1,000万円
設立1988年

事業の背景

当社は創業時に干菓子の落雁を製造し、お盆・お彼岸のお供え菓子やひな祭りの菓子として菓子問屋や大手量販店に卸してきた。仕入先の廃業をきっかけに半生菓子の製造ノウハウを取得し、自社での内製化を進めてきた。近年は嗜好の変化により、お盆・お彼岸・ひな祭り向けの主力市場が徐々に縮小していた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力落雁の成形を手作業で行っており、OEM受注の拡大に対して生産能力が不足していた。
  • 納期・工程他社から商品を事前に仕入れて組み合わせて販売しており、見込みで発注するため納期の調整が難しかった。
  • コスト・採算需要の予測が外れると仕入れのロスが大きくなっていた。

やったこと

落雁の成形工程に、反転型の落雁成形機を新たに導入した。撹拌した原料の粉体を投入し、樹脂型の金型に押し付けて成形する機械である。通常の落雁は底面が小さく上面が大きい形状だが、導入機は下側が大きく上面が小さい形状や複雑な形状も製造できる。操作が簡単で、機械に不慣れな人でも扱える点を重視して選定した。成形工程の機械化により、導入前に約5人で行っていた作業が1人で可能になり、余剰人員は鳳瑞やカジュアル京和菓子の生産に振り分けた。

加工機反転型落雁成形機

事業の効果

  • 落雁の1日あたり生産量 3,000個/日→32,400個/日
  • 落雁の成形作業人数 5人→1人
  • 鳳瑞の1日あたり生産量 3,000個/日→6,000個/日
  • OEM事業の売上構成比 10%→30%

成形工程の機械化により生産力が大幅に強化され、OEM向けの生産体制が整った。落雁の生産量は10倍以上に増え、経験に左右されず安定した生産が可能になった。生産期間の短縮により受注から納品までのリードタイムを調整できるようになり、見込み生産による仕入れロスを大幅に減らせた。OEM事業の売上構成比も大きく伸び、大手アミューズメントパークや大手雑貨店など新たな顧客開拓につながっている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    京和菓子の一貫生産と20年ほどの半生菓子ノウハウ取得が書かれ、過去の取組との一貫性はうかがえるが、経営戦略上の位置付けの記述は薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    OEM需要の拡大、大手雑貨店・出版社からの評価、猫ブームなど外部環境と一貫生産能力という強みが具体的に述べられている。

  • 課題の認識と解決4

    手作業による増産の限界という課題を認識し、成形機械化で1日3,000個から32,400個へ生産量を増やす計画と結果が示されている。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    生産量の増加実績は数字で示されているが、付加価値額や賃上げの目標値は事例に書かれていない。

  • 事業を進める体制3

    試行錯誤を重ねて生産を安定させた経緯は書かれているが、人材や事務処理体制の具体的な記述は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    カジュアル京和菓子や猫キャラクター商品など製品の特徴と、大手雑貨店等からの高評価・OEM需要が具体的に書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    機械導入後の課題解消や次は半生菓子「鳳瑞」の自動化に取り組む予定があるが、スケジュールの詳細は薄い。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    京和菓子の機械化は導入実績が少ないと書かれ、同分野で生産量を大きく高める取組として読み取れる。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用2

    地域の伝統産業や雇用への言及はあるが、川上・川下への波及や国が補助する積極的理由は明確には書かれていない。

  • 費用対効果4

    生産量が3,000個から32,400個に増え、受注から納品までのリードタイム短縮や見込み生産ロスの削減が数字と共に示されている。

  • イノベーションへの貢献2

    センサーを用いた機械化は書かれているが、デジタル技術の活用やサプライチェーンへの貢献は限定的にしか読み取れない。

政策面40%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及3

    京都府宇治田原町の事業者として伝統的な京和菓子を守る取組が書かれ、地域性は読み取れるが、地域経済への波及の具体性は薄い。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

次は半生菓子「鳳瑞」の製造自動化に取り組む予定である。京和菓子の製法を守りながら、市場ニーズに積極的に応えていく方針である。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成30年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。