ものづくり補助金平成30年度製造業兵庫県

関西初、美粧段ボール印刷のデジタル化への挑戦。

トータルパック株式会社

この事例のポイント

  • 段ボール印刷には商品ごとに版代などの初期費用がかかり、小ロットでは製品単価に大きく反映されてユーザーの負担が大きくなっていた。
  • 大判の印刷に対応する段ボールデジタル印刷機(2400×3000mmまで対応)を導入し、オンデマンド印刷による段ボールの美粧化に取り組んだ。
  • 版の作成が不要になったことで、試し刷りや1枚ものの印刷が容易になった。

事業者のプロフィール

事業者名トータルパック株式会社
所在地兵庫県 尼崎市
業種パルプ・紙・紙加工品製造業
技術分野デザイン,機械制御
従業員数15人
資本金1,500万円
設立1974年

事業の背景

当社は段ボール製品の企画・販売を行い、大手や有名企業との取引も多い。段ボール箱は長期取引が多いものの薄利多売であり、収益改善が求められていた。かねてサイズオーダーの段ボール通販WEBサイトを構築・運用し、極小ロットのネット受注で得た知見があり、それを生かして印刷による高付加価値化へ進出しようとしていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • コスト・採算段ボール印刷には商品ごとに版代などの初期費用がかかり、小ロットでは製品単価に大きく反映されてユーザーの負担が大きくなっていた。
  • 納期・工程ロットごとに保管棚から版を運び出す作業によるタイムロスや、取り違いのリスクが存在していた。
  • コスト・採算段ボール箱は長期取引が多い一方で薄利多売であり、収益改善への取り組みが求められていた。

やったこと

大判の印刷に対応する段ボールデジタル印刷機(2400×3000mmまで対応)を導入し、オンデマンド印刷による段ボールの美粧化に取り組んだ。写真用紙ではないがフルカラー印刷に適した段ボール素材を探し、大型段ボールに安定した品質で出力できるよう技術の習熟を重ねた。当該設備は輸入機械で日本の気候を想定したものではなく、無調整では正常に動作しなかったため、試行錯誤を重ねて実用レベルで運用できるようにした。舞台美術企業と協業して舞台セットの作成ノウハウの提供を受け、さらに本技術を生かせるパートナー企業と提携して製品・サービスラインとして商品企画を行った。

加工機大判段ボールデジタル印刷機(2400×3000mmまで対応)

新しい製品・サービス:高精度印刷を施した段ボール製の大判パネル、展示会什器、舞台・イベント用の背景ボードや等身大パネルなど、段ボールを使った新製品。段ボール以外の再利用可能な素材との組み合わせ商品も含む。

事業の効果

版の作成が不要になったことで、試し刷りや1枚ものの印刷が容易になった。PCからの出力はUV印刷より高速で、リードタイムを短縮して短納期化を実現した。高精度印刷により一定以上の品質で安価かつ大きな印刷パネルを作れるようになり、展示会什器や舞台・イベント向けなど、従来段ボールを使っていなかった製品分野にも新たな需要を開拓した。ごく少ロットながら高付加価値商品として利益確保に貢献している。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.7 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    段ボール通販サイトの運用で得た極小ロット受注の知見を生かし、印刷による高付加価値化へ進出すると書かれている。過去の取組との連続性は読み取れるが、数値はない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    大手や有名企業との取引が多い点や、大判カラー印刷に安定対応できる企業が少ないことを挙げ、強みを外部環境との対比で述べている。

  • 課題の認識と解決4

    薄利多売による収益改善が課題とされ、版レス印刷による小ロット短納期化と高付加価値の段ボール製品で解決する方針が示されている。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    高付加価値化や賃上げの目標値は示されておらず、わずかに収益確保への貢献がうかがえる程度である。

  • 事業を進める体制3

    輸入機械の調整を重ねて実用化し、舞台美術企業やパートナー企業と協業する体制が書かれているが、人員や事務処理体制の記述は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    展示パネルは使い捨てのスチレンボードより安価で環境負荷が低いと顧客価値を示し、イベントや展示会など用途も具体的に挙げている。

  • 事業化までの道筋3

    試行錯誤で実用運用に至った経緯は書かれるが、中長期のスケジュールや課題の解決方法は具体的に示されていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    写真用紙ではない段ボールへのフルカラー印刷に高品質で対応できる企業は少ないと述べ、同分野で高付加価値化を図る点が読み取れる。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用3

    段ボールの環境負荷の低さやリサイクル性、SDGsの持続可能な消費と生産への貢献に触れているが、波及効果や雇用創出の数字はない。

  • 費用対効果1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • イノベーションへの貢献3

    舞台美術企業との協業や段ボールと再利用可能素材の組み合わせを示し、新たな商品領域の開拓に触れているが、先端的デジタル技術の記述は薄い。

政策面30%
  • 成長分野への進出2

    段ボールを加工分野へ広げ、従来使っていなかった製品分野に進出するとあり、産業構造の転換をわずかにうかがわせる。

  • 地域経済への波及1

    公開されている事例からは読み取れません。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成30年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。