ものづくり補助金平成30年度製造業和歌山県

「全天候型(濡れないムレない)スーツ」製造の自動縫製ライン開発プロジェクト

株式会社久保製作所

この事例のポイント

  • 水産業は高齢化により縮小傾向にあり、主力の水産向け雨合羽の需要先細りが懸念されていた。
  • 防水性を保ちつつ蒸れにくく、ビジネススーツのように見える2WAY全天候型レインウェア「スグサマ」の開発・製造に乗り出した。
  • 自動縫製ラインの導入により、縫製作業工程が効率化され、作業時間と人数がこれまでの半分程度になった。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社久保製作所
所在地和歌山県 和歌山県海草郡紀美野町
業種繊維工業
技術分野デザイン,接合・実装
資本金3,500万円
設立1963年

事業の背景

1963年に和歌山県で雨衣の製造専門メーカーとして創業し、60年近く雨衣一筋で熟練工の手仕事にこだわってきた。主力は水産業向けの雨合羽で、生地を溶着加工して高い防水性を実現しており、北海道から沖縄まで多くのプロの漁師に愛用されている。一方で水産業の縮小と高齢化、海外生産による雨衣の低価格化、熟練作業者の高齢化という厳しい市場環境に直面していた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 集客・繁閑水産業は高齢化により縮小傾向にあり、主力の水産向け雨合羽の需要先細りが懸念されていた。
  • コスト・採算雨衣業界は海外生産による低価格化が進み、価格面で厳しい競争にさらされていた。
  • 人手・技能高度な縫製技術を支える熟練作業者の高齢化が進み、技能の継承と維持が難しくなっていた。
  • 生産能力現行の縫製工程(ヒートシーラーによる仮止めと高周波ウェルダーによる溶着)を見直して効率化し、品質を保ちながら生産性を高める必要があった。
  • 販路・情報発信今後生き残るため、独自の縫製技術を生かして新たな販路を見出す必要があった。

やったこと

防水性を保ちつつ蒸れにくく、ビジネススーツのように見える2WAY全天候型レインウェア「スグサマ」の開発・製造に乗り出した。現行工程の「ヒートシーラーによるパーツ生地仮止め」と「高周波ウェルダーによるパーツ生地溶着」を見直すため、同社で「熱融着装置」を企画・開発した。一般的な仕様がミシン縫製で針孔ありとなるのに対し、当社は生地を熱融着して針孔なしとした。自動縫製ラインは、生地を移動台にセットしてミシン縫製で仮縫いし、ヒートシーラーで仮止めした後、熱融着装置で生地を融着する流れで構成した。

  • 加工機熱融着装置自動縫製ライン

新しい製品・サービス:全天候型レインウェア「スグサマ」(2WAYでビジネススーツにすぐ様変わりするレインウェア)

事業の効果

自動縫製ラインの導入により、縫製作業工程が効率化され、作業時間と人数がこれまでの半分程度になった。熟練作業者と一般作業者の区別なく一定の品質を保てるようになり、生産が安定して短納期化も図れた。熟練作業者への技術依存も軽減され、効率アップとコストダウンを両立する生産システムとして事業化が大きく前進した。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均2.8 / 514観点のうち13観点で評価

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 4
    新しさ・高付加価値完全防水で湿気もムレない2WAYレインウェアを製造し、ビジネススーツに変わる製品として従来品と差別化している。

伸びしろがあった観点

  • 2
    波及効果・雇用熟練作業者の高齢化や地域の雨衣製造の継続に触れるが、雇用創出や波及効果の定量的記載はない。
経営戦略との整合性3.0
  • これまでの取組との一貫性3

    60年近く雨衣ひとすじで、熟練工の手仕事にこだわってきたと記載があり、過去の取組との一貫性はうかがえる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    溶着加工による高防水性を強みとし、海外生産による低価格化という外部環境を述べているが、競争優位の定量的な裏付けは薄い。

  • 課題の認識と解決3

    熟練作業者の高齢化と縫製工程の課題を認識し、自動縫製ラインで対応したと書かれているが、事業計画の数値目標は示されていない。

事業の実現可能性3.0
  • 付加価値・賃上げの目標3

    人も作業時間もこれまでの半分程度と効率化を実現したと記載されるが、付加価値額や賃上げの目標値は示されていない。

  • 事業を進める体制ー

    公開情報では判断できません。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    ビジネスマン向けの2WAYレインウェア「スグサマ」という製品と販路拡大の方針は書かれるが、顧客ターゲットやニーズの裏付けは薄い。

  • 事業化までの道筋3

    今後の展開として独自ルートでの販路拡大を図る方針は書かれるが、スケジュールや課題解決の方法は示されていない。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    完全防水で湿気もムレない2WAYレインウェアを製造し、ビジネススーツに変わる製品として従来品と差別化している。

公的補助の必要性2.3
  • 波及効果・雇用2

    熟練作業者の高齢化や地域の雨衣製造の継続に触れるが、雇用創出や波及効果の定量的記載はない。

  • 費用対効果3

    自動縫製ラインで作業時間を半分程度に効率化し、コストダウンを実現したと記載されるが、投入額との比較は示されていない。

  • イノベーションへの貢献2

    熱融着装置を企画・開発し自動縫製ラインを構築したとあり、自動化の取組はうかがえるがサプライチェーンへの貢献は書かれていない。

政策面2.5
  • 成長分野への進出2

    海外生産に対抗する国内の製造業の取組とわずかに読めるが、構造転換への言及は明示されていない。

  • 地域経済への波及3

    和歌山県紀美野町で創業し雨衣を製造していると地域拠点が示されるが、地域の雇用や経済成長への効果は書かれていない。

今後の展望

熱融着装置と自動ラインにより作業効率と品質の安定が図れる環境が整ったため、水産合羽に加えて「スグサマ」などの全天候型レインウェアを製品化し、独自ルートで販路を拡大したいと考えている。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成30年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。