ものづくり補助金平成30年度製造業香川県

食品の内部まで均一に0℃に維持する予備冷却技術を活用した、生食用冷凍魚介品の事業化

株式会社安岐水産

この事例のポイント

  • 冷凍過程で氷結と膨張により寿司ネタの細胞が傷つき、ドリップや冷凍焼けが起こって旨味と食感が損なわれていた。
  • 食品の細胞内で生じる氷結晶を大きくせず、細胞を傷つけない冷凍ができる予備冷却装置を導入した。
  • 予備冷却装置を活用した冷凍により、表面の変色がなく細胞の大きさも均一に揃っていることを確認した。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社安岐水産
所在地香川県
業種食料品製造業
技術分野製造環境
従業員数37人
設立1965年

事業の背景

海産物の加工を主な事業とする会社で、冷凍原料魚の旨味成分を最大限に留める加工をして出荷していた。取引先からは寿司ネタの製造受託について要望があった。販売は卸業者や小売業者との取引が大半を占めている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度冷凍過程で氷結と膨張により寿司ネタの細胞が傷つき、ドリップや冷凍焼けが起こって旨味と食感が損なわれていた。
  • 新製品・新技術取引先から寿司ネタの製造受託の要望があったが、流通過程の冷凍による劣化が大きな課題となっていた。

やったこと

食品の細胞内で生じる氷結晶を大きくせず、細胞を傷つけない冷凍ができる予備冷却装置を導入した。ブリの切り身を用いた試作で、予備冷却3時間後に切り身の中心温度を測定した。予備冷却を経た冷凍2日後に解凍した切り身を、表面と細胞レベルで撮影して比較した。魚の主たる旨味成分であるイノシン酸含有量を未冷凍・予備冷却活用冷凍・通常冷凍ごとに計測し、味と食感の試験も行った。

新しい製品・サービス:Kit Ikan(キットイカン):瀬戸内の魚を簡単な調理ですぐ食べられるようにした商品。

事業の効果

予備冷却装置を活用した冷凍により、表面の変色がなく細胞の大きさも均一に揃っていることを確認した。旨味成分量は未冷凍対比でマイナス5%以内に収まり、味と食感も未冷凍と比べて遜色がないことを確認した。これにより魚の鮮度と旨味を保てることが示された。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均2.7 / 514観点のうち12観点で評価

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 4
    課題の認識と解決ドリップや冷凍焼けという課題を明示し、予備冷却装置による解決策を示している。ただし事業計画の数値目標は示されていない。
  • 4
    顧客とニーズの裏付け寿司ネタ製造受託を主な対象とし、鮮度と旨味を保つ価値を示している。取引先からの要望が起点となった点もうかがえる。

伸びしろがあった観点

  • 2
    付加価値・賃上げの目標付加価値や賃上げの目標値は書かれておらず、旨味5%以内という試験結果はあるが目標の設定は読み取れない。
経営戦略との整合性3.3
  • これまでの取組との一貫性3

    冷凍原料魚の旨味を留める加工で出荷してきた過去の取組から寿司ネタ受託へ展開する流れは読み取れるが、戦略上の位置付けは具体性が薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    寿司ネタ受託で価格ではない付加価値による競争力強化を掲げ、旨味が未冷凍対比5%以内という試験結果を示している。

  • 課題の認識と解決4

    ドリップや冷凍焼けという課題を明示し、予備冷却装置による解決策を示している。ただし事業計画の数値目標は示されていない。

事業の実現可能性2.8
  • 付加価値・賃上げの目標2

    付加価値や賃上げの目標値は書かれておらず、旨味5%以内という試験結果はあるが目標の設定は読み取れない。

  • 事業を進める体制2

    従業員数37名と代表者の経歴のみで、補助事業を遂行する体制や事務処理能力は具体的に読み取れない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    寿司ネタ製造受託を主な対象とし、鮮度と旨味を保つ価値を示している。取引先からの要望が起点となった点もうかがえる。

  • 事業化までの道筋3

    中心温度測定やイノシン酸計測など試験方法は示されているが、今後のスケジュールや課題解決の手順は書かれていない。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性2.0
  • 新しさ・高付加価値2

    予備冷却による鮮度保持を示すが、同分野での高水準化を裏付ける数値や比較は薄い。

公的補助の必要性2.0
  • 波及効果・雇用ー

    公開情報では判断できません。

  • 費用対効果2

    補助金額や投資に対する付加価値増加などの費用対効果の数値は書かれておらず、読み取れません。

  • イノベーションへの貢献2

    個人客向け直接販売とお客様との共創が目標として述べられているが、デジタル技術の活用は書かれていない。

政策面2.0
  • 成長分野への進出ー

    公開情報では判断できません。

  • 地域経済への波及2

    瀬戸内の魚を扱い、海から食卓へつなぐ地域の食の価値を発信しているが、雇用や地域成長への言及はない。

今後の展望

今後は寿司ネタの製造受託に取り組み、価格ではない付加価値による競争力を強化していきたいとしている。

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出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成30年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。