ものづくり補助金平成30年度製造業佐賀県

カメラ画像処理によるみかん果肉選別機を導入し生産力のアップを図る

日興食品株式会社

この事例のポイント

  • みかん果肉の選別を人の目視で行っており、作業者の負担が大きく非効率だった。
  • 高解像度カメラとレーザーの複合センサーで、コンベア上のみかん果肉に含まれる異物・次雑物・ブロークンを検知する果肉選別機を導入した。
  • 果肉選別機の画像処理により、次雑物の廃棄やブロークンのピックアップが可能になった。

事業者のプロフィール

事業者名日興食品株式会社
所在地佐賀県 佐賀市
業種食料品製造業
技術分野製造環境,材料製造プロセス
従業員数180人
資本金3,000万円
設立1956年

事業の背景

創業以来、佐賀県及び九州各県の農産物・水産物を原料に缶詰を製造してきた。みかんの缶詰は主力商品のひとつである。海外製品の流入やインターネット等による流通の変化、消費者の嗜好の多様化が進んでいる。後継者不足による離農で原料確保が難しくなってきている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 人手・技能みかん果肉の選別を人の目視で行っており、作業者の負担が大きく非効率だった。
  • 品質・精度作業者の能力差により、製品品質のばらつきが大きかった。
  • 生産能力みかんシーズンに人手が みかんラインへ集中し、併設するパウチラインが休眠状態になっていた。

やったこと

高解像度カメラとレーザーの複合センサーで、コンベア上のみかん果肉に含まれる異物・次雑物・ブロークンを検知する果肉選別機を導入した。次雑物は除去し、ブロークンを全形粒と区分してピックアップできるようにした。コンベアの速度や水量、冷却装置、エアーの強度、洗浄時の水圧を調整し、果肉を潰すことなく作業できるようにした。カメラ・レーザーのレベル設定を行い、温州みかんの早生種や甘夏みかんの品種ごとに設定登録し、シーズンを問わず対応できるようにした。機械処理の後は少人数による目視で最終選別を行う体制に移行した。

事業の効果

果肉選別機の画像処理により、次雑物の廃棄やブロークンのピックアップが可能になった。機械処理後の目視最終選別に移行したことで、外皮剥きなど他の作業に工数を振り分けられるようになった。繁忙期でも複数の製造ラインを同時に稼働できるようになり、生産量が上がった。各工程の製造時間を平均化し、作業者の負担軽減と選別精度の向上により不良率も低減した。

審査の観点ごとの評価

新事業進出・ものづくり補助金

観点の平均2.9 / 514観点のうち13観点で評価

この事例が強かった観点

  • 4
    課題の認識と解決人手がみかん選別に集中しパウチラインが休眠する課題を明示し、果肉選別機で工数を再配分して複数ラインの同時稼働を実現している。
  • 4
    波及効果・雇用後継者不足による離農と原料確保の困難に触れ、農業を支えて地域の6次産業化に寄与する波及効果が示されている。
  • 4
    地域経済への波及佐賀県の農産物を原料とし、地域農業者との連携や雇用創出を掲げ、地域の中核企業として経済成長を牽引する姿勢が読み取れる。

伸びしろがあった観点

  • 2
    付加価値・賃上げの目標生産量を上げると述べるが、付加価値額や賃上げの具体的な目標値や数字が示されておらず、実現可能性は薄い。
経営戦略との整合性3.3
  • これまでの取組との一貫性3

    創業以来の缶詰製造とみかん缶詰が主力商品である点を踏まえ、果肉選別の省人化を既存事業の延長として位置付けている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    除去・選別の精度向上と季節を問わない対応が書かれ、原料確保が難しい中で自社の強みを活かす内容になっている。

  • 課題の認識と解決4

    人手がみかん選別に集中しパウチラインが休眠する課題を明示し、果肉選別機で工数を再配分して複数ラインの同時稼働を実現している。

事業の実現可能性2.8
  • 付加価値・賃上げの目標2

    生産量を上げると述べるが、付加価値額や賃上げの具体的な目標値や数字が示されておらず、実現可能性は薄い。

  • 事業を進める体制3

    機械処理後に少人数で目視最終選別する体制へ移行し、工程間の人員配分を見直したことが具体的に記載されている。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    選別の精度向上と品種別設定によるシーズン対応を述べ、安全で均質な商品の提供という顧客価値が整理されている。

  • 事業化までの道筋3

    コンベア速度や水圧などの調整を経て果肉を潰さず作業できるようになった経緯が示され、課題解決の方法が明確である。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性2.0
  • 新しさ・高付加価値2

    みかん缶詰やパウチ製品の市場環境に触れているが、高付加価値化や高価格化を図る内容としての記述は薄い。

公的補助の必要性2.7
  • 波及効果・雇用4

    後継者不足による離農と原料確保の困難に触れ、農業を支えて地域の6次産業化に寄与する波及効果が示されている。

  • 費用対効果2

    不良率の低減や工場全体の工数配分の改善に触れるが、補助金額に対する付加価値増加などの費用対効果の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献2

    画像処理やレーザーセンサーを用いた選別機を導入しているが、サプライチェーン全体のイノベーションへの貢献は限定的にしか書かれていない。

政策面4.0
  • 成長分野への進出ー

    公開情報では判断できません。

  • 地域経済への波及4

    佐賀県の農産物を原料とし、地域農業者との連携や雇用創出を掲げ、地域の中核企業として経済成長を牽引する姿勢が読み取れる。

今後の展望

缶詰びん詰業界の環境変化に対応するため、拡大するパウチ市場へ本格参入できる機能を保持していく。後継者不足の農業を支えるため、雇用拡大と仕入れ価格への転化を行い、JAや農業法人と連携して地域のネットワーク化を進める。農業の6次産業化も視野に入れ、地域の中核企業として農水産業の活性化に寄与していく。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成30年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。