ものづくり補助金平成24年度広島県

バラ積み素材のピッキング技術の開発

株式会社海南鉄工所

成果システム販売価格 1,500万円→700万円

この事例のポイント

  • 鍛造素材を加工設備へ供給する作業はほとんどが人手作業で、重労働となっていた。
  • 入手性が良く安価な赤外線プロジェクターと近赤外線カメラを用いた距離画像センサーを採用し、ピッキングに必要な素材の位置、傾き、裏表などを認識できるようにした。
  • システム販売価格 1,500万円→700万円。安価なビジョンシステムとバケット機構により、素材のピッキングを自動化した。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社海南鉄工所
所在地広島県 熊野町
業種輸送用機械器具製造業
技術分野組込みソフトウェア
従業員数103人
資本金1,000万円
設立1956年

事業の背景

当社はギヤー、シャフトなど丸物の精密機械加工を得意とし、従業員103人、年商28億円の企業である。切削加工業界では素材を加工設備へ供給する作業が人手に頼られ、重労働が続いていた。バラ積み素材のピッキングは他業界にも多く、低コストで自動化できれば市場は広いと見込まれた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 人手・技能鍛造素材を加工設備へ供給する作業はほとんどが人手作業で、重労働となっていた。
  • 生産能力作業者1人当たりの機械持ち台数を増やすことがコスト低減の課題だったが、素材のピッキング作業が多台持ち実現のネックとなっていた。
  • 生産能力素材の自動整列やピッキング作業のロボット化による生産性向上が求められていた。

やったこと

入手性が良く安価な赤外線プロジェクターと近赤外線カメラを用いた距離画像センサーを採用し、ピッキングに必要な素材の位置、傾き、裏表などを認識できるようにした。対象を丸物と内径のある素材に絞り込み、システムの開発に目途をつけた。内径把持と起立状態の把持を認識できるロボットハンドを開発し、外径把持と内径把持の両用機能を持たせた。試作ではロボットハンドとバケット内壁の干渉によりピッキング率が40%程度にとどまったため、安価な電動式リフターと底部昇降式バケットを組み合わせて全素材のピッキングを可能にした。各機能を制御、統合したピッキングシステムを完成させ、トライアルで機能を確認した。

  • ロボット多関節ロボット
  • 検査測定距離画像センサー赤外線プロジェクター・近赤外線カメラ
  • ロボットロボットハンド外径・内径把持両用
  • その他底部昇降式バケット安価な電動式リフター
  • ソフトピッキングシステム管理コンピュータ制御ソフト

新しい製品・サービス:低コストの自動ピッキングシステム(多関節ロボット、ビジョンシステム、バケットシステムを含む)

事業の効果

  • システム販売価格 1,500万円→700万円
  • ピッキング成功率 40%→99%
  • 掛け持ち台数は2台/人から増加(具体的な数値は未記載)
  • 運搬重量 240t(月間)→0t(月間)

安価なビジョンシステムとバケット機構により、素材のピッキングを自動化した。販売価格は競合の1500万円〜2000万円に対し700万円に設定でき、価格面で優位に立てる見通しとなった。トライアルでのピッキング成功率は99%以上を確認し、把持できない素材はリトライで再選定して高い成功率を得た。重労働の解消と掛け持ち台数の増加、工数低減も想定されている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均3.6 / 514観点のうち12観点で評価

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 4
    強み・弱みを踏まえた優位性販売価格700万円は競合の1500~2000万円より大幅に安く、強みである丸物加工技術と組み合わせた優位性が読み取れる。
  • 4
    課題の認識と解決作業者1人当たりの掛け持ち台数2台、素材供給の重労働が課題と明示され、ピッキング成功率99%以上で解決を図っている。
  • 4
    付加価値・賃上げの目標トライでピッキング成功率99%以上を確認し、年間20セット・売上1.4億円からの目標も示されている。
経営戦略との整合性3.7
  • これまでの取組との一貫性3

    ギヤー・シャフト類の精密機械加工を得意とする企業が、素材供給の自動化による多台持ち実現を課題として取り組んでいる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    販売価格700万円は競合の1500~2000万円より大幅に安く、強みである丸物加工技術と組み合わせた優位性が読み取れる。

  • 課題の認識と解決4

    作業者1人当たりの掛け持ち台数2台、素材供給の重労働が課題と明示され、ピッキング成功率99%以上で解決を図っている。

事業の実現可能性3.4
  • 付加価値・賃上げの目標4

    トライでピッキング成功率99%以上を確認し、年間20セット・売上1.4億円からの目標も示されている。

  • 事業を進める体制3

    量産加工設備や生産技術アカデミーの指導を受けた協力体制があり、社員103人の企業として開発を遂行できる体制が示されている。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    丸物・内径品に絞り込んだ対象、加工業界での素材供給作業のニーズ、問い合わせの多さが示され、選ばれる理由が整理されている。

  • 事業化までの道筋3

    バケット干渉による試作の課題をリフター・底部昇降式バケットで解決し、量産ラインでの適応確認と他業界展開の段階が示されている。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    安価な画像センサーによる距離画像ビジョンを用いた自動ピッキングは、既存品より大幅に低価格な新しい水準の製品として位置付けられる。

公的補助の必要性3.7
  • 波及効果・雇用3

    重労働の素材供給作業の解消という社会的な課題に対応し、他業界への波及も見込まれている。

  • 費用対効果4

    販売価格を700万円に抑え、重労働運搬240tをゼロにする効果と、掛け持ち台数増加による生産性向上が示されている。

  • イノベーションへの貢献4

    距離画像センサーと多関節ロボットを組み合わせた安価な自動ピッキングシステムで、切削加工業界のサプライチェーン改善に貢献し得る。

政策面判断できません
  • 成長分野への進出ー

    公開情報では判断できません。

  • 地域経済への波及ー

    公開情報では判断できません。

今後の展望

自社量産ラインへの適応で信頼性や耐久性を確認するとともに、内径品や丸物の素材加工業界へ導入を進める。事業開始初年度は20セット、売上1.4億円、利益10%を目指し、2年後から他業界への販売も手掛けて7.7億円、3年後17.5億円、4年後28.0億円の売上を目指す。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。