ものづくり補助金平成24年度広島県

高圧・高速・高精度を実現する大型サーボモータプレス式通電熱加工焼結装置の試作開発

エス・エス・アロイ株式会社

成果加圧力 20トン→40トン

この事例のポイント

  • 高圧・高速・高精度を併せ持つ大型装置がなく、ユーザーから求められた高性能磁石材料・熱電材料を生産できる大型装置の要望に応えられなかった。
  • 40トンのサーボ加圧機構を開発した。
  • 加圧力 20トン→40トン。高圧・高速・高精度を併せ持つ大型サーボモータプレス式通電熱加工焼結装置を試作し、目標性能を実現した。

事業者のプロフィール

事業者名エス・エス・アロイ株式会社
所在地広島県 東広島市
業種電気機械器具製造業
技術分野切削加工
従業員数6人
資本金2,000万円
設立1990年

事業の背景

ハイブリッド車などの高性能モーターには高性能磁石材料と高性能熱電材料が必要で、その材料にはレアアースが多く使われる。レアアースの埋蔵地域は中国に偏在しており、代替材料の開発が課題となっている。当社は通電熱加工焼結装置を開発・納入しており、納入先のユーザーからより大型の装置の要望が出た。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力高圧・高速・高精度を併せ持つ大型装置がなく、ユーザーから求められた高性能磁石材料・熱電材料を生産できる大型装置の要望に応えられなかった。
  • 新製品・新技術設備の大型化に伴い確認すべき事項が多く、加圧機構や電装化などの試作・開発が必要だった。

やったこと

40トンのサーボ加圧機構を開発した。加圧力40トンを実現するにはサーボモーターが巨大になるため、複雑な加圧機構を設計した。構造体の3D化とシミュレーションは幌第一技研の協力を得た。試作したプレス構造体に高速応答アンプ等を電装し、試運転を行いながらマッチング開発を行った。高速応答アンプ等の試作とプログラミングは計測エンジニアリングの協力を得た。超高圧(200MPa)・高温(800℃)に耐える特殊金属金型を試作した。試作装置で熱電材料・磁石材料の成形検証実験を行い、九州大学、広島工業大学、千葉大学から指導を受けた。

  • 加工機大型サーボモータプレス式通電熱加工焼結装置
  • 金型超高圧・高温対応の特殊金属金型

新しい製品・サービス:高圧・高速・高精度を併せ持った大型サーボモータプレス式通電熱加工焼結装置

事業の効果

  • 加圧力 20トン→40トン
  • 速度 5mm/sec→10mm/sec
  • 位置精度 10μm→1μm

高圧・高速・高精度を併せ持つ大型サーボモータプレス式通電熱加工焼結装置を試作し、目標性能を実現した。加圧力・速度・位置精度の目標値をいずれも達成した。開発装置で高性能磁石材料・熱電材料の生産を確認し、超高圧・高温に耐える金型も試作できた。試作品の提供やデモンストレーションでユーザーから強い関心を得て、その後の引き合いが5件につながっている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均3.3 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 4
    これまでの取組との一貫性2011年のサポイン事業採択で基礎技術を開発し、その成果を基に装置を大型化する流れが記載され、過去の取組との一貫性がうかがえる。
  • 4
    強み・弱みを踏まえた優位性プラズマ焼結装置の世界ニッチトップメーカーであること、年商20,000万円・従業員6人の規模が示され、強みを生かす位置づけが読み取れる。
  • 4
    付加価値・賃上げの目標加圧力2.0倍、速度20倍、位置精度1/10倍の数値目標を設定し、全項目100%達成と記載されている。

伸びしろがあった観点

  • 2
    費用対効果補助金額や付加価値増加の数値は示されず、費用対効果はわずかにうかがえるのみである。
経営戦略との整合性3.7
  • これまでの取組との一貫性4

    2011年のサポイン事業採択で基礎技術を開発し、その成果を基に装置を大型化する流れが記載され、過去の取組との一貫性がうかがえる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    プラズマ焼結装置の世界ニッチトップメーカーであること、年商20,000万円・従業員6人の規模が示され、強みを生かす位置づけが読み取れる。

  • 課題の認識と解決3

    ユーザー要望と大型化の必要性は示されるが、高付加価値化の数値目標は限定的で、課題認識の具体性は中程度に留まる。

事業の実現可能性3.4
  • 付加価値・賃上げの目標4

    加圧力2.0倍、速度20倍、位置精度1/10倍の数値目標を設定し、全項目100%達成と記載されている。

  • 事業を進める体制3

    設計は自社、構造解析や電装で外部協力を得る体制が示されるが、従業員6人規模での人材配置の詳細は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    ユーザー引き合い5件、強い関心、自動車部品・半導体企業への提供という顧客ターゲットと需要の裏付けが示されている。

  • 事業化までの道筋3

    試運転、物性評価、ユーザー評価の段階が示されるが、中長期のスケジュールや課題解決の具体的方法は限定的である。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    レアアース代替のニッチ分野に特化し、5年後に年間100台を目標とするなど、高水準の高付加価値分野での取組が読み取れる。

公的補助の必要性3.0
  • 波及効果・雇用4

    レアアース資源制約の克服と粉末冶金産業の競争力強化、元素戦略プロジェクトへの貢献が国家戦略として明記されている。

  • 費用対効果2

    補助金額や付加価値増加の数値は示されず、費用対効果はわずかにうかがえるのみである。

  • イノベーションへの貢献3

    高性能磁石・熱電材料の開発と大学との連携は示されるが、デジタル技術やサプライチェーンへの波及は具体的に書かれていない。

政策面2.5
  • 成長分野への進出3

    レアアース代替という日本の資源制約対応と粉末冶金分野の強化が示され、構造転換への寄与がうかがえる。

  • 地域経済への波及2

    広島県東広島市の企業である所在地は示されるが、地域特性を生かした雇用や成長への言及は乏しい。

今後の展望

高圧・高速・高精度での焼結が可能になったことで、レアアース生産などのニッチ分野での市場拡大を目指し、5年後の販売を年間100台とする目標を立てている。粉末冶金産業の競争力強化やレアアースの資源制約の克服、元素戦略プロジェクトへの貢献も見込んでいる。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。