ものづくり補助金平成24年度広島県

超硬工具の再生加工における、計測と加工の連動化による寸法精度・形状精度向上

株式会社アイ・エスツール

成果不良率 15%→0%

この事例のポイント

  • 顧客は一箇所の加工に2種類の切削工具が必要で、これを一本にできないかと相談があった。
  • 高精度測定機「CNC形状・寸法測定機」を新規に導入した。
  • 不良率 15%→0%。測定の自動化と加工機へのフィードバックにより、加工精度が向上し、再加工品と新品との誤差を極小化できた。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社アイ・エスツール
所在地広島県 広島県福山市
業種金属製品製造業
技術分野切削加工
従業員数23人
資本金500万円
設立2008年

事業の背景

主力は切削工具の再研磨・製造・再コーティングである。従来のチェック体制は人的な要素が強く、熟練検査員と経験の浅い者とで結果や作業時間に大きな差があった。再研磨した切削工具は新品に比べ価格が5分の1程度で収まるが、信頼性が問われる。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術顧客は一箇所の加工に2種類の切削工具が必要で、これを一本にできないかと相談があった。
  • 品質・精度顧客から精度保証への要求があり、誤差の極小化が課題だった。
  • 品質・精度勘や経験ではなく数値で精度を保証する必要があった。
  • コスト・採算特殊切削工具のコストを削減し、競争力を確保する必要があった。
  • 納期・工程製造過程を効率化し、納期を短縮する必要があった。

やったこと

高精度測定機「CNC形状・寸法測定機」を新規に導入した。製品加工後の計測を自動化し、測定結果から精度誤差の補正データを作成して加工機へ転送し、補正を行う仕組みを確立した。測定データは商品と合わせて顧客に提出する運用とした。チタン合金製の人工関節加工用切削工具を試作した。既存工具は航空機等の大型部品用が中心のため、小径・微細加工用の工具を目指し、耐久性と切れ味の両立となるバランス点を探った。丸形状の検討、CAD/CAMによる設計、1次加工・2次加工、3次元形状測定、客先での加工テストを行い、客先要望を反映した。

新しい製品・サービス:チタン合金加工用の小径・微細加工向け切削工具(人工関節加工用)の試作品

事業の効果

  • 不良率 15%→0%
  • 測定追加リードタイム(平均) 45分→10分

測定の自動化と加工機へのフィードバックにより、加工精度が向上し、再加工品と新品との誤差を極小化できた。測定時間の短縮によりリードタイムが縮まり、短納期化が実現した。信頼性の向上により再研磨の需要が増え、顧客との間にwin-winの関係が構築された。測定データの開示によりトレーサビリティを確立し、顧客から高い評価を得た。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均3.2 / 514観点のうち13観点で評価

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 4
    強み・弱みを踏まえた優位性顧客から2種類の工具を1本にしたいという相談があり、少量・3日以内納品の強みや測定データ開示による信頼性向上が具体的に書かれている。
  • 4
    課題の認識と解決課題として精度誤差と納期が挙げられ、CNC形状・寸法測定機の導入と加工機への補正データ転送で対応した経緯が具体的に書かれている。
  • 4
    付加価値・賃上げの目標不良率15%を0%、測定追加リードタイム45分を10分とする目標と実績が示されている。賃上げや付加価値額の目標は書かれていない。

伸びしろがあった観点

  • 2
    波及効果・雇用医療器具の日本人向けサイズへの需要や地域ネットワークへの言及はあるが、国が補助する積極的理由としての波及効果は書かれていない。
経営戦略との整合性3.7
  • これまでの取組との一貫性3

    従来は勘や経験に頼る精度保証が課題で、再研磨・製造の既存事業の延長として測定機導入が位置付けられている。経営戦略上の明確な位置付けは薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    顧客から2種類の工具を1本にしたいという相談があり、少量・3日以内納品の強みや測定データ開示による信頼性向上が具体的に書かれている。

  • 課題の認識と解決4

    課題として精度誤差と納期が挙げられ、CNC形状・寸法測定機の導入と加工機への補正データ転送で対応した経緯が具体的に書かれている。

事業の実現可能性3.4
  • 付加価値・賃上げの目標4

    不良率15%を0%、測定追加リードタイム45分を10分とする目標と実績が示されている。賃上げや付加価値額の目標は書かれていない。

  • 事業を進める体制3

    従業員23人、ひろしまマイスター制度の活用、金属加工5社の共同体制が書かれているが、補助事業の遂行体制としての具体性は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    顧客ターゲットは難削材加工の顧客で、トレーサビリティや測定データ開示が選ばれる理由として書かれている。ニーズの裏付けは一部に留まる。

  • 事業化までの道筋3

    今後の展望として岡山営業所や展示会参加、販売体制整備による拡販が書かれているが、スケジュールや課題解決の方法は具体的でない。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性3.0
  • 新しさ・高付加価値3

    難削材チタン合金の人工関節用工具で高精度化を図るとされているが、市場の普及度や高価格化の水準は具体的に書かれていない。

公的補助の必要性2.3
  • 波及効果・雇用2

    医療器具の日本人向けサイズへの需要や地域ネットワークへの言及はあるが、国が補助する積極的理由としての波及効果は書かれていない。

  • 費用対効果3

    再研磨品が新品の約5分の1の価格で、不良率と測定時間の改善数値があるが、補助金額に対する費用対効果は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献2

    CNC測定機の導入と測定データのトレーサビリティ確立が書かれているが、デジタル技術による地域やサプライチェーンへの貢献は限定的にしか読み取れない。

政策面3.0
  • 成長分野への進出ー

    公開情報では判断できません。

  • 地域経済への波及3

    備後地域で金属加工5社が協力するネットワークが書かれており、地域の特性を活かす点はうかがえるが、雇用や地域成長への効果は書かれていない。

今後の展望

日本人向けサイズの医療器具需要に当社の技術を活かすため、岡山に営業所を開設し、東京にも共同事務所を設けて活用を図っている。東京ビッグサイトの展示会に年3回参加し反響を得ており、商圏を徐々に広げていく考えである。

業種と困りごとが近い成果事例

岡山県平成24年度

多品種小ロット、短納期の生産体制を実現

生産工程を改善するため、高性能の研磨設備を2台導入し、消耗品・部品を共通化するとともに、1台に不具合が生じても生産に影響が出ないようにした。

効果:塗装の乾燥時間 2日→0.67日

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。