ものづくり補助金平成24年度山口県

多品種少量生産に対応した各種薄板(SUS、AL、SPCC、SPHC)のTIG「共付け溶接」ロボットシステムの開発

有限会社森板金製作所

この事例のポイント

  • 薄板精密板金部品の溶接は熟練溶接工の手作業に依存しており、人件費による製造コストが高止まりしていた。
  • 薄板精密溶接に対応するため、フィラーワイヤーを用いない共付け溶接をロボットで実現するシステムを開発した。
  • 業界で初めて薄板へのロボット溶接が可能となり、美観や外観を重視する薄板精密板金分野への応用が実現した。

事業者のプロフィール

事業者名有限会社森板金製作所
所在地山口県 萩市
業種金属製品製造業
技術分野発酵
従業員数28人
資本金5,000万円
設立1968年

事業の背景

当社は工作機械・産業用ロボット・半導体製造装置向けの多品種・少量・精密板金加工を得意とし、技術力や即納体制に県内外から定評がある。半導体製造装置の板金部品市場は年間約20億円とされ、部品供給企業のほとんどは国内企業である。当社はこの競合企業の中で最小クラスの規模に分類される。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 人手・技能薄板精密板金部品の溶接は熟練溶接工の手作業に依存しており、人件費による製造コストが高止まりしていた。
  • 生産能力熟練工への依存により量産化が進まず、品質の安定化も課題となっていた。
  • 品質・精度溶接部の仕上がりに関する品質要求が高く、従来のロボット溶接では顧客の求める仕様と品質を確保できなかった。

やったこと

薄板精密溶接に対応するため、フィラーワイヤーを用いない共付け溶接をロボットで実現するシステムを開発した。取組みは3つで、一つ目は異なる材質や溶接条件ごとに熟練工が取る最適な溶接ギャップ(2方向)を収集してデータベース化し、ロボットに教示する仕組みである。二つ目は溶接機と被溶接物の最適ギャップに不整合が生じたとき、ロボットが方向を補正する機能の実現である。三つ目は、作業員が目視でロボットを操作して溶接ラインを教示し、そのラインの位置(XY方向)をロボットに入力するティーチング技術の開発である。ここでは溶接機に赤色レーザーを取り付け、焦点を見ながら溶接ラインをトレースしやすくし、目視用レーザー位置から実際の溶接位置へ溶接機の位置を変換して作業を行う。

新しい製品・サービス:業界初の薄板精密溶接ロボットシステム

事業の効果

業界で初めて薄板へのロボット溶接が可能となり、美観や外観を重視する薄板精密板金分野への応用が実現した。これにより人件費の削減、製品の量産化、納期の短縮、品質の安定化が実現した。また熟練工の溶接技術をロボットに入力できたため、ロボット操作ができれば比較的経験の浅い作業員でも熟練工と同程度の作業が可能となり、他の作業員も熟練工の技術を応用できるようになった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均3.4 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 5
    新しさ・高付加価値従来は不可能とされた薄板精密溶接のロボット化を業界で初めて実現し、同分野で高付加価値・高品位の製品展開を目指している。
  • 4
    強み・弱みを踏まえた優位性業界初の薄板ロボット溶接を実現し、熟練工の技術をロボットに移植したことで、競合に対する強力な優位性を得たと述べている。
  • 4
    課題の認識と解決熟練工依存による人件費高止まりと量産化・品質安定の課題を認識し、ロボット溶接で解決して高付加価値・高品位製品へ展開する計画としている。

伸びしろがあった観点

  • 2
    付加価値・賃上げの目標人件費削減や納期短縮を成果として挙げているが、付加価値額や賃上げの具体的な目標値や数値は示されていない。
経営戦略との整合性3.7
  • これまでの取組との一貫性3

    精密板金の多品種少量加工を得意とする事業の延長で、溶接ロボット開発を課題解決として位置付けている。過去の取組との一貫性は文中で明示されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    業界初の薄板ロボット溶接を実現し、熟練工の技術をロボットに移植したことで、競合に対する強力な優位性を得たと述べている。

  • 課題の認識と解決4

    熟練工依存による人件費高止まりと量産化・品質安定の課題を認識し、ロボット溶接で解決して高付加価値・高品位製品へ展開する計画としている。

事業の実現可能性3.2
  • 付加価値・賃上げの目標2

    人件費削減や納期短縮を成果として挙げているが、付加価値額や賃上げの具体的な目標値や数値は示されていない。

  • 事業を進める体制4

    全社員の約8割が2級工場板金技能士を取得し、少数精鋭のスタッフと豊富な設備を有すると記載されており、遂行体制が整っている。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    半導体製造装置向け板金部品の市場は年間約20億円とされ、美観重視の薄板溶接ニーズに応える点で顧客と選ばれる理由が整理されている。

  • 事業化までの道筋3

    開発の3つの取組(教示データ収集、ギャップ補正、ティーチング技術)を段階的に示し、課題解決の方法が具体的に説明されている。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性5.0
  • 新しさ・高付加価値5

    従来は不可能とされた薄板精密溶接のロボット化を業界で初めて実現し、同分野で高付加価値・高品位の製品展開を目指している。

公的補助の必要性3.7
  • 波及効果・雇用4

    熟練工の技術をロボットで再現し、経験の浅い作業員でも対応可能になったことで、雇用や人材育成の裾野が広がると読み取れる。

  • 費用対効果3

    人件費削減、量産化、納期短縮、品質安定化が実現したと述べるが、投入額に対する費用対効果の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献4

    レーザーによるトレースや熟練工の溶接データのロボットへの移植など、先端技術で業界全体の製造方式に影響を与える取組となっている。

政策面2.5
  • 成長分野への進出3

    半導体製造装置という成長分野の精密板金部品に進出し、製造の自動化で国内供給力の強化に資する取組である。

  • 地域経済への波及2

    山口県萩市の企業として県内外から定評があると記載されるが、地域の雇用創出や地域経済成長への波及は具体的に述べられていない。

今後の展望

高付加価値で高品位な製品を安定供給することで、会社規模に左右されない新たな競争を展開し、業界でのさらなるシェア拡大を見込んでいる。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。