ものづくり補助金平成24年度山口県

産業用繊維製品の接合技術の品質向上と作業効率アップのための設備更新とその改善

不二産業株式会社

成果溶着幅 25mm→40mm

この事例のポイント

  • 専用の製造装置がなく、アパレル用などの既存装置や海外・他業界の装置を自社で改造して使っており、その改造にも限界があった。
  • 厚物用1本針ミシンをベースに、1本針と2本針を切り替えるスイッチ機能と送り機能などを改造した特別仕様のミシンを開発した。
  • 溶着幅 25mm→40mm。溶着の幅・速度・強度を高め、ムラのない溶着が可能になったことで品質が大きく向上し、顧客からの信頼が高まった。

事業者のプロフィール

事業者名不二産業株式会社
所在地山口県 下松市
業種繊維工業
技術分野発酵
従業員数40人
資本金2,000万円

事業の背景

当社は各種工場の製造プラントや環境維持装置向けに、液体・気体のろ過に使うフィルター、搬送用袋体、テントなどの産業用繊維製品を製造販売している。企業の工場を中心に全国300社以上に納入している。専用の製造装置がないニッチ分野であり、既存の装置の改造で生産を維持してきた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力専用の製造装置がなく、アパレル用などの既存装置や海外・他業界の装置を自社で改造して使っており、その改造にも限界があった。
  • 品質・精度溶着機は溶着速度が遅く、重ね合わせて溶着できる幅も狭いうえ、溶着部にスジ(ムラ)ができるなど品質が良くなかった。
  • 品質・精度熱源のヒーター線の交換時期を予測できず、無駄な作業や不良品の発生が頻繁に起きていた。
  • コスト・採算海外から調達した装置は国による規格が違うため、修理のたびに高価で納期のかかる部品を海外から取り寄せる必要があった。
  • 生産能力4種類のミシン(極厚物用・薄物用、1本針・2本針)と2種類の送り機構を組み合わせた計8種類のミシンを製品ごとに使い分けており、工数が増え、リードタイムが長くなっていた。
  • 人手・技能装置を作る専門知識や設備が乏しく、強度・機能・精度を満たす装置を作れないため、現場職人の技術力で補っていた。

やったこと

厚物用1本針ミシンをベースに、1本針と2本針を切り替えるスイッチ機能と送り機能などを改造した特別仕様のミシンを開発した。当社が企画・試運転を行い、松江(株)が設計・製作を担当し、ミシン本来の剛性を損ねずに改造できた。このミシンにより、従来3台のミシンで行っていた機能を1台で縫製でき、途中2回の段取り替えが不要になった。溶着機は、溶着幅を従来の25mmから40mmに広げ、コテの出力を1000Wから1500W、2000Wに上げた。カートリッジヒーターを個別に管理し、アワーメーターを取り付けてヒーターの消耗時期を予測し、個別に交換できるようにした。同業他社への販売を防ぐため、松江(株)と秘密保持契約を結んだ。

  • 加工機特別仕様の縫製ミシン1本針・2本針切替、送り機構改造溶着機溶着幅40mm、コテ出力2000W、カートリッジヒーター個別管理
  • 検査測定アワーメーター

事業の効果

  • 溶着幅 25mm→40mm
  • 溶着速度 1倍→3倍
  • コテ出力 1,000W→2,000W
  • 段取り替え回数 2回→0回

溶着の幅・速度・強度を高め、ムラのない溶着が可能になったことで品質が大きく向上し、顧客からの信頼が高まった。3台分の機能を1台のミシンで縫製できるようになり、段取り替えが不要になった。ヒーターの消耗時期を予測して個別に交換できるため、保全管理が大きく改善した。作業効率と生産性が向上し、決算では売上高、利益率、1人当たり売上高がいずれも上がり、従業員3名を雇用できた。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均3.2 / 514観点のうち13観点で評価

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 4
    これまでの取組との一貫性既存のアパレル用装置の改造に限界があり、専用機の共同開発に至った経緯が示され、過去の取組からの流れがある。
  • 4
    強み・弱みを踏まえた優位性ニッチ分野の産業用繊維製品に特化し、専用機で competitor との差を作る点が明確で、業界内競争力向上の成功も示されている。
  • 4
    課題の認識と解決溶着速度が従来の約3倍、ヒーター出力アップや消耗時期の予測管理など、課題に対応した実効性の高い改善策が数字で示されている。

伸びしろがあった観点

  • 2
    付加価値・賃上げの目標生産性向上や売上・利益率の向上に触れるが、付加価値額や賃上げの目標値は示されておらず、実現可能性の根拠が薄い。
経営戦略との整合性4.0
  • これまでの取組との一貫性4

    既存のアパレル用装置の改造に限界があり、専用機の共同開発に至った経緯が示され、過去の取組からの流れがある。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    ニッチ分野の産業用繊維製品に特化し、専用機で competitor との差を作る点が明確で、業界内競争力向上の成功も示されている。

  • 課題の認識と解決4

    溶着速度が従来の約3倍、ヒーター出力アップや消耗時期の予測管理など、課題に対応した実効性の高い改善策が数字で示されている。

事業の実現可能性3.0
  • 付加価値・賃上げの目標2

    生産性向上や売上・利益率の向上に触れるが、付加価値額や賃上げの目標値は示されておらず、実現可能性の根拠が薄い。

  • 事業を進める体制3

    共同開発先のメーカーと秘密保持契約を結び、企画・試運転と設計・製作の役割分担を明確にしている。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    顧客からの信頼性向上と今後の営業活動への有利さ、300社以上への納入実績が示され、選ばれる理由が整理されている。

  • 事業化までの道筋3

    ミシンの試作検討、溶着機の導入後の効果確認など段階的な進め方は示されるが、中長期の課題検証や詳細スケジュールの記載は乏しい。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    産業用繊維製品という一般に認知の低いニッチ分野で、専用加工機による高品質化と差別化を図っている。

公的補助の必要性2.7
  • 波及効果・雇用3

    地域の製造業で従業員3名の雇用を創出しており、国が補助する雇用創出の理由として読み取れる。

  • 費用対効果3

    溶着速度約3倍、段取り替え不要化などの改善があり、費用対効果を示す材料はあるが金額対効果の数字は示されていない。

  • イノベーションへの貢献2

    特殊仕様機の開発や保全管理の変更は示されるが、デジタル技術や地域・サプライチェーン全体への貢献は弱い。

政策面3.0
  • 成長分野への進出ー

    公開情報では判断できません。

  • 地域経済への波及3

    山口県下松市の地域企業として全国へ納入し、地域の雇用創出にもつながっており、地域特性を活かした事業と読める。

今後の展望

数年後には当社製品の品質の良さがさらに知られ、受注が増えることが予想されている。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。