ものづくり補助金平成24年度香川県

競争力強化を目的としたゆで麺の生産プロセスの強化・改良

さぬき麺業株式会社

この事例のポイント

  • 機械と機械のつなぎ目で生地のロスが発生していた。
  • 工場長を筆頭とする5名のプロジェクトチームでゆで麺工程を洗い出し、生地成形の工程における機械のつなぎ目でのロス、監視作業による人的ロス、常温熟成によるムラという3つの問題点を特定…
  • 導入機械により生地のロスが解消され、機械の監視も1人体制で行えるようになり、生産コストが削減された。

事業者のプロフィール

事業者名さぬき麺業株式会社
所在地香川県 高松市
業種食料品製造業
技術分野繊維加工
設立1926年

事業の背景

香川県が「うどん県」への改名を発表し、さぬきうどんの認知が全国的に広がった。県内のうどん店・産業は盛況である一方、特に価格と品質で競争が激化し、成長する事業者がいる一方で廃業する事業者もある。同社は観光土産や贈答品としてうどんを製造・販売し、外食店も運営しており、市場競争力を高めて成長の見通しを確かなものにする必要に迫られていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • コスト・採算機械と機械のつなぎ目で生地のロスが発生していた。
  • 人手・技能機械の監視作業が必要で、人的なロスにもつながっていた。
  • 品質・精度生地成形後の常温コンテナ熟成では熟成にムラができる可能性があった。
  • その他県内のうどん市場で価格と品質の競争が激化しており、市場競争力を高める必要があった。

やったこと

工場長を筆頭とする5名のプロジェクトチームでゆで麺工程を洗い出し、生地成形の工程における機械のつなぎ目でのロス、監視作業による人的ロス、常温熟成によるムラという3つの問題点を特定した。これを解決するため、練麺機(円筒生地連続成形機)、円筒生地圧延装置、うどん(生地)熟成庫を導入した。機械の設置は福井工作所に設計・製作を依頼し、搬入・設置を行った。導入後は試験運用で製造量や品質を導入前と比較し、熟成庫で季節に左右されず一定温度で熟成させる製造マニュアルを定めた。品質検査では社内アンケートで30名中28名が新製法を美味しいと評価し、第三者機関による細菌検査では細菌数・大腸菌群・黄色ブドウ球菌がすべて異常なしだった。その後、マニュアルに従って本格稼働を開始した。

  • 加工機練麺機円筒生地連続成形機円筒生地圧延装置
  • その他うどん(生地)熟成庫

事業の効果

導入機械により生地のロスが解消され、機械の監視も1人体制で行えるようになり、生産コストが削減された。麺帯巻込方式の練麺機は圧延と成形を一体で行うため、グルテンの形成が促され、コシの強い生地ができるようになった。熟成庫で温度管理ができるためムラのない熟成が可能になり、品質が向上した。生地の製造スピードも上がったことで熟成に時間をかけられるようになり、製造能力も向上した。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均3.1 / 514観点のうち13観点で評価

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 4
    強み・弱みを踏まえた優位性うどん県の認知拡大で競争が激化する市場環境を踏まえ、価格と品質で優位に立つため生産工程を改良したと読める。
  • 4
    課題の認識と解決生地ロスや人的監視、熟成ムラという課題を特定し、導入設備で1人体制化とロス解消を実現した点が具体的。
  • 4
    事業化までの道筋設計から搬入までの日程、試験運用での熟成条件の最適化、社内アンケートと細菌検査による検証が段階的に示されている。

伸びしろがあった観点

  • 2
    波及効果・雇用地域の製麺業の競争激化への対応とされるが、経済波及や雇用創出など国が補助する積極的理由の記述は弱い。
経営戦略との整合性3.7
  • これまでの取組との一貫性3

    既存のゆで麺製造の工程(生地成形・熟成・圧延)を分析し、課題を解消する設備導入を経営の競争力強化の流れに位置付けている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    うどん県の認知拡大で競争が激化する市場環境を踏まえ、価格と品質で優位に立つため生産工程を改良したと読める。

  • 課題の認識と解決4

    生地ロスや人的監視、熟成ムラという課題を特定し、導入設備で1人体制化とロス解消を実現した点が具体的。

事業の実現可能性3.2
  • 付加価値・賃上げの目標3

    年間売上39%の増加を見込むとしているが、根拠となる算定の記述は薄く、目標の妥当性は一定程度にとどまる。

  • 事業を進める体制3

    5名のプロジェクトチームを立ち上げ、工場長を筆頭に工程洗い出しや試験運用を進めた体制が書かれている。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    品質向上した製品を新規販売先へ提案する方針と、営業社員3名の雇用、お中元としての販売開始が書かれている。

  • 事業化までの道筋4

    設計から搬入までの日程、試験運用での熟成条件の最適化、社内アンケートと細菌検査による検証が段階的に示されている。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性3.0
  • 新しさ・高付加価値3

    ゆで麺市場の競争が激しいなかで品質の高い製品を志向しており、高付加価値化を図る方向性が読み取れる。

公的補助の必要性2.3
  • 波及効果・雇用2

    地域の製麺業の競争激化への対応とされるが、経済波及や雇用創出など国が補助する積極的理由の記述は弱い。

  • 費用対効果3

    生産コストの削減分を新商品開発に充てる方針と、製造スピード向上による成果が示され、費用対効果の見込みが読める。

  • イノベーションへの貢献2

    麺帯巻込方式の機械導入は工程改善にとどまり、デジタル技術や地域サプライチェーンへの貢献は記述されていない。

政策面3.0
  • 成長分野への進出ー

    公開情報では判断できません。

  • 地域経済への波及3

    香川県のうどん産業の地域特性を背景に、県内外で外食店9店舗を運営し、雇用を伴う事業を展開している。

今後の展望

郵便局や三越でお中元(贈答品)として販売を開始した。品質の向上した製品を新規販売先に提案し、売上の増加を見込んでいる。原価率は現状のままとし、生産コストの削減で得た差額を新商品の開発や新たな包材の作成に充て、競争力のある商品で売上増加をめざす。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。