ものづくり補助金平成24年度愛媛県

LPガス容器データ自動収集生産システムの開発

萩尾高圧容器株式会社

この事例のポイント

  • LPガス容器の流通で必要な容器データの管理が人手による作業に依存しており、普及が進んでいない。
  • 容器記号番号を工程上流で打刻し、工程下流で発生する容器データ(重量、製造年月、充てん期限等)を自動収集して紐づけ、データベース化する自動収集生産システムを設計した。
  • 容器識別情報を納品と同時に提供できるようになり、顧客の利便性が向上した。

事業者のプロフィール

事業者名萩尾高圧容器株式会社
所在地愛媛県 新居浜市
業種金属製品製造業
技術分野組込みソフトウェア
従業員数55人
資本金5,000万円
設立1961年

事業の背景

同社は四国地方に本社を置く金属製品メーカーで、家庭用・業務用の燃料供給に欠かせないLPガス容器を主力製品としている。地元四国では約50%の高いシェアを持ち、東北から沖縄まで幅広い顧客基盤がある。LPガス容器の流通ではデータ管理の負担が顧客にとって大きく、IT化の進展とともに効率化・省力化への市場期待が高まっている。一方、ガス容器の需要は一巡しており、新規顧客獲得には多様なニーズへの対応力が不可欠となっている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • コスト・採算LPガス容器の流通で必要な容器データの管理が人手による作業に依存しており、普及が進んでいない。
  • コスト・採算バーコードラベルを貼付した状態で焼鈍・塗装工程に流すことができず、人手に頼らざるを得ないためコスト・納期の課題となっていた。
  • 品質・精度容器データの手作業による記録は人為ミスのリスクを伴い、品質面の課題があった。
  • 新製品・新技術標準化が難しい多様な容器情報ニーズに対応するため、生産システムに容器データの自動収集機能を付加する必要があった。

やったこと

容器記号番号を工程上流で打刻し、工程下流で発生する容器データ(重量、製造年月、充てん期限等)を自動収集して紐づけ、データベース化する自動収集生産システムを設計した。自動収集した情報を基に総重量ラベルをラベルプリンターで貼付する仕組みとした。容器の法定質量・総重量はカメラ装置で自動的に読み取る画像処理システムを構築し、画像処理の認識精度を高めるため、照明などの仕様を検討・製作して画像処理データ装置と連動させた。画像処理システムは当初外部委託の予定だったが、社内開発担当の参画により自社開発に成功した。データベースシステムはコンピュータシステムメーカーの株式会社四国テクニカとの連携により構築した。

  • 検査測定画像処理システムカメラ装置、画像処理データ装置
  • その他ラベルプリンター
  • ソフトデータベースシステム

新しい製品・サービス:画像処理を用いた容器データ自動収集生産システム

事業の効果

容器識別情報を納品と同時に提供できるようになり、顧客の利便性が向上した。容器データの活用機会が広がり、製品価値が高まった。小ロット・短納期の強みに新たな付加価値が加わり、新規取引先の開拓にもプラスの効果が出始めている。法定質量・総重量の記録作業が自動化されたことで、コスト・納期が改善し、保安精度も向上した。また、プロジェクトリーダーを務めた中堅技術者のプロジェクト遂行力が向上し、人材育成面でもプラスの効果を得た。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均3.2 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 4
    強み・弱みを踏まえた優位性地元四国で約50%のシェアを持ち、2Kから50Kまで多様な容器を自社設計で対応できる強みを活かし、多様な容器情報ニーズに応える内容になっている。
  • 4
    課題の認識と解決人手によるバーコード貼付の作業負担・コスト・納期の課題を明確に認識し、自動収集システムで解決する実効性の高い計画になっている。
  • 4
    事業を進める体制開発担当の積極的な参画で画像処理システムを自社開発し、中堅技術者をプロジェクトリーダーに抜擢してPDCAで遂行しており、体制が確保されている。

伸びしろがあった観点

  • 2
    費用対効果人手作業の削減によるコスト・納期の改善は述べられているが、補助金投入額に対する付加価値額増加などの数値的な費用対効果の記載は乏しい。
経営戦略との整合性3.7
  • これまでの取組との一貫性3

    生産設備の自社設計・製作や高圧容器の技術蓄積を経て、容器データ自動収集を周辺需要拡大に位置付けており、既存事業との一貫性が読み取れる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    地元四国で約50%のシェアを持ち、2Kから50Kまで多様な容器を自社設計で対応できる強みを活かし、多様な容器情報ニーズに応える内容になっている。

  • 課題の認識と解決4

    人手によるバーコード貼付の作業負担・コスト・納期の課題を明確に認識し、自動収集システムで解決する実効性の高い計画になっている。

事業の実現可能性3.4
  • 付加価値・賃上げの目標3

    コスト・納期の改善と保安精度向上を目標とし、顧客への新規取引拡大も見込んでいるが、具体的な数値目標の記載は見当たらない。

  • 事業を進める体制4

    開発担当の積極的な参画で画像処理システムを自社開発し、中堅技術者をプロジェクトリーダーに抜擢してPDCAで遂行しており、体制が確保されている。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    顧客からの容器データ管理が商談で必ず話題になるというニーズの裏付けがあり、データ提供機能の強化で選ばれる理由が整理されている。

  • 事業化までの道筋3

    限られた期間でPDCAを回し、画像処理の認識精度向上を試作で検証する方法が示されており、遂行方法は概ね妥当である。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性3.0
  • 新しさ・高付加価値3

    容器データの自動収集は標準化が進まない多様なニーズに応えるもので、同分野で高付加価値化を図る内容として読み取れる。

公的補助の必要性3.0
  • 波及効果・雇用3

    流通の効率化・省力化が市場で期待される中、データ管理の負担を軽減する社会的意義があり、周辺需要の拡大にも言及している。

  • 費用対効果2

    人手作業の削減によるコスト・納期の改善は述べられているが、補助金投入額に対する付加価値額増加などの数値的な費用対効果の記載は乏しい。

  • イノベーションへの貢献4

    画像処理によるデータ自動収集とデータベース化を自社開発し、ノウハウとして他システムにも応用できる点で、業界の生産・流通のイノベーションに寄与し得る。

政策面2.5
  • 成長分野への進出2

    LPガス容器の流通の効率化は述べられているが、市場成長分野への進出や日本経済の構造転換に資する記述は弱い。

  • 地域経済への波及3

    四国を地盤に愛媛県新居浜市で事業を展開し、地元シェア約50%を持つ地域企業として地域経済に寄与する事業と読み取れる。

今後の展望

本システムから得られるデータ利用を提案して新規顧客を拡大し、既存顧客の要望に応じてデータ提供機能を強化することで顧客利便性の追求を目指す。生産現場ではロボットの普及が進む中、社員の能力と主体性を高め、製販各部門の連携を強化して周辺分野でも需要を拡大する予定である。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。