ものづくり補助金平成24年度愛媛県

顔面等の皮膚に貼付して用いる炭酸パック材の開発

丸三産業株式会社

この事例のポイント

  • 他社の炭酸パックは使う直前に2種類の薬剤を練り合わせて布に塗る必要があり、手間がかかって不便である。
  • 炭酸を発生させる2つの薬剤を融合させずに内包する5層構造のドライタイプのパックシートを開発するため、加工機のエンボスローラーを導入した。
  • 使用直前に薬剤を調製する手間がなくなり、シートを水や化粧水でぬらすだけで炭酸パックができるため、手軽さと利便性が高まる。

事業者のプロフィール

事業者名丸三産業株式会社
所在地愛媛県 大洲市
業種繊維工業
技術分野塗装
従業員数430人
資本金2.9億円
設立1948年

事業の背景

当社は綿紡績から始まり、現在は原綿の精練、不織布の製造、脱脂綿や化粧パフなどの加工品を手がけている。主力の化粧品分野の総需要は2009年度を100とすると2014年度に102.1%(2,331,000百万円)となり、2010年度を底に徐々に増加している。そのうちスキンケア部門は2013年度に化粧品総需要の46.29%を占めている。炭酸美容はエステを中心に人気が出てきた美容法である。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術他社の炭酸パックは使う直前に2種類の薬剤を練り合わせて布に塗る必要があり、手間がかかって不便である。
  • 品質・精度2つの薬剤をドライの状態で混ぜて不織布で挟んだシートは、空気中の湿気で自然に化学反応が起き炭酸ガスが発生してしまい、パックシートとして使えなかった。
  • 納期・工程裁断後のフェイスマスクでは薬剤が切り口からこぼれる可能性があり、また同じエンボスローラーに2度挿入する工程を量産に適した手順にする必要があった。

やったこと

炭酸を発生させる2つの薬剤を融合させずに内包する5層構造のドライタイプのパックシートを開発するため、加工機のエンボスローラーを導入した。原反、粉体、原反、粉体、原反の5層を作製し、エンボス上圧と粉体のラインスピードを設定して製造条件を確立した。この際、一度に5層にできないため、まず原反と粉体と原反の3層を貼り合わせ、次に粉体と原反の2層を貼り付ける2工程とした。試運転でテストを繰り返してエンボス圧と粉体量を確定し、粉体のこぼれや接着状態の改善を確認した。出来上がった製品は外部機関でパッチテストと帳流の分析を委託し、痛み・発泡の強さ・発泡時間の使用感テストも実施した。

  • 加工機エンボスローラー粉体散布装置粉体混合装置
  • その他エンボス装置制御改善部品ボイラー

新しい製品・サービス:2種類の薬剤を別々に不織布で挟んだドライタイプの炭酸パックシート。シートを水や化粧水でぬらすと、その瞬間から炭酸が発生してパックできる。

事業の効果

使用直前に薬剤を調製する手間がなくなり、シートを水や化粧水でぬらすだけで炭酸パックができるため、手軽さと利便性が高まる。2つの薬剤を別々に封入することで湿気による早期の反応を防ぎ、利用前や開封後も安定して使えるようになる。現在は関連会社を通じてネット通販で市場テストを行っており、利用者からは好評を得ている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均2.8 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 4
    強み・弱みを踏まえた優位性化粧品需要の推移やスキンケア分野46.29%のシェア、炭酸美容の人気上昇を示し、外部環境と自社の不織布技術を結びつけている。
  • 4
    顧客とニーズの裏付け水や化粧水で反応する手軽さという価値、通販で単価558円の3枚入りとして好評を得た点など、選ばれる理由が具体的。
  • 4
    新しさ・高付加価値炭酸パックは成長期の分野で、ドライタイプ・2剤を事前調剤せず使える点を差別化として明示している。

伸びしろがあった観点

  • 2
    付加価値・賃上げの目標320億円の市場を目指すとあるが、付加価値額や賃上げの目標値は書かれておらず、実現可能性の数値は乏しい。
経営戦略との整合性3.3
  • これまでの取組との一貫性3

    不織布やタオル等の既存事業の延長に炭酸パック材を位置付けているが、経営戦略上の明確な位置付けは書かれていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    化粧品需要の推移やスキンケア分野46.29%のシェア、炭酸美容の人気上昇を示し、外部環境と自社の不織布技術を結びつけている。

  • 課題の認識と解決3

    湿気による早期反応という課題を認識し薬剤を別々に挟む方式に改善したが、高付加価値化の定量的な計画は薄い。

事業の実現可能性3.0
  • 付加価値・賃上げの目標2

    320億円の市場を目指すとあるが、付加価値額や賃上げの目標値は書かれておらず、実現可能性の数値は乏しい。

  • 事業を進める体制3

    開発部長の担当体制や外部機関への委託、関連会社での通販テストが書かれており、一定の遂行体制がうかがえる。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    水や化粧水で反応する手軽さという価値、通販で単価558円の3枚入りとして好評を得た点など、選ばれる理由が具体的。

  • 事業化までの道筋3

    量産に向けて2工程での圧着や裁断時の薬剤こぼれ対策を課題として挙げ、改善の方向は示されているが、スケジュールは不明確。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    炭酸パックは成長期の分野で、ドライタイプ・2剤を事前調剤せず使える点を差別化として明示している。

公的補助の必要性2.0
  • 波及効果・雇用2

    地域の雇用や波及効果への言及はあるが、国が補助する積極的理由は事例からは十分に読み取れない。

  • 費用対効果2

    補助金額や付加価値増加の数値は書かれておらず、費用対効果を判断する情報が乏しい。

  • イノベーションへの貢献2

    不織布の新用途開発としての新規性はうかがえるが、デジタル技術やサプライチェーンへの貢献は書かれていない。

政策面2.0
  • 成長分野への進出2

    成長期にある炭酸パック美容分野への進出という点で市場成長分野への参入がうかがえるが、構造転換への言及はない。

  • 地域経済への波及2

    愛媛県の地域企業であることは書かれているが、地域の特性を活かした雇用や成長への寄与は具体的に述べられていない。

今後の展望

女性向けフェイスパック市場の約320億円の市場獲得を目指す。市場テストで得た消費者の意見をもとに、薬剤のこぼれを防ぐ改善を加えた新商品を開発し、量産に適した生産手順を整えて本格的に市場へ参入する計画である。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。